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創業の志とビジネスモデル、未来のビジョン。この3つが「データ」によって上手にリンクしている会社があります。株式会社JM。主な事業は「保守・メンテナンス事業」「ライフサイクルマネジメント事業」「エネルギーマネジメント事業」「地域創生事業」の4つ。ICTによるデータ利活用を最大限に行い、職人さんの負担軽減と効率化、顧客のトータルコスト削減を実現しています。現在は「保守・メンテナンス事業」が売上の8割ほどを占めていますが、上記の順番で自らを進化させていく計画です。

さらには、同社に蓄積されたデータを使って、人口減と高齢化に悩む地方の自立を助ける地域創生プラットフォームをめざすといいます。その全貌を「創業の志とデータ」「Matabeeシステム」「思想とカルチャー」「地方の未来」という4つのキーワードから探ってみました。

今回はマーケティング本部 事業企画部長 力武剛さん、事業運営本部 エンジニアリング部部長兼CMプロジェクト管掌 小林保貴さんのお二方にお話を伺いました。


【会社概要】
株式会社JM (Japan Management) (商標:なおしや又兵衛)
設立:2002年12月
所在地:東京都千代田区
資本金:3億5000万円
売上高:301億円(2019年3月期)
従業員数 (2019年10月1日現在)
従業員数:1535名  
(正社員)317名、(準社員)1,218名
※準社員とは、フランチャイズ認定制度により認定された社員です。
※JM登録職人数 12,015名


Keyword①:創業の志とデータ

同社の創業は2002年。それ以前からも大手ゼネコンの前田建設工業の一事業部として、保守・メンテナンス事業を進めていました。立ち上げたのは現在の社長でもある大竹弘孝さん。当時の建設業界は談合や政治献金、現場の職人さんたちへの負担拡大などが大きな問題となっており、新しいビジネスモデルの構築と転換が急務となっていました。

そこで同社が見出したのが、建築物の保守・メンテナンスという小口工事の開拓です。小口工事は大手ゼネコンにとって競合が少ないというメリットがある一方、効率性を追求しないと成長が望めないという課題があります。つまり、ポイントとなるのは、ICTによる徹底した効率化=データ利活用だったわけです。

「建設業界の生産性向上をめざそう」


「当時は、いい腕をもっているのに報告書が遅かったり、エビデンスがきちんと残っていなくて請求ができなかったりする職人さんが数多くいました。そこで私たちは、データやITツールという“武器”を職人さんに提供して、建設業界の生産性向上をめざそうと考えました」。そう語るのは、同社マーケティング本部事業企画部長の力武剛さんです。

同社が提供した“武器”は何なのでしょうか。たとえば「Matabee iReporter」は、これまで紙で作成していた報告書などの業務を電子化することで作業現場の効率化を実現させています。

Matabee INSIDE」はスマートフォンで撮影した写真データから3Dモデルが作成できます。現場の職人さんたちの業務プラットフォームを構築したことになります。(注釈:同社の商標が「なおしや又兵衛」(またべえ)なので、同事業のシステム・ツール名にはすべてMatabeeが付いています。)

エビデンスはMatabee MotionBoardでお客さまと共有


この体制を早く構築したことにより、創業当時から大手コンビニチェーンなどの店舗保守契約を受注することができました。全国で多店舗展開する企業には、全国どの店舗でも同じ工事は同じような金額で同じクオリティで実施してほしいというニーズがあります。もちろん、できるだけ低コストで。

「全国多店舗展開しているお客さまは、施設管理のコストはできるだけ抑えたい。『Matabee INSIDE』のデータは3次元(3D)なので現場とほぼ同等の情報が得られます。このデータが使えることで担当者が現場に出向く回数を減らせます。職人さんと私たちがお客さまの目になることで、たとえば、お客さまはこれまで10人でやっていた仕事を5人に減らすことが可能になります。」こう語るのは、同社事業運営本部エンジニアリング部部長の小林保貴さん。

ここで大事になるのが透明性です。3Dの現場映像を見ることができるとはいえ、職人さんとJM、顧客企業でそれを共有できなければ意味がありません

「社長の大竹は『建設業界がオープンでなかったことに問題の根源があった』と考えており、作業工程の写真や3D映像はお客さまの見えるところに置いています。」(力武さん)

具体的には、作業工程の写真はエビデンスとして「CCWEB」という予定管理システムに積み上げており、Matabee MotionBoadによって進捗状況を共有することが可能です。「工程写真の撮り方も大事で、直した場所を撮るのは誰もが知っていますが、当社では工事完了後に見えなくなる場所(過程)も必ず撮るように徹底しています。」(小林さん)

施設管理コストを25%削減。職人さんへの支払いも迅速化


また、力武さんは「お客さま施設の保守・メンテナンスコストは当社を使うことで25%削減できる」と明言します。

「お客さまの施設部門の人員コストを含めて、トータルでのコスト削減が可能ということです。たとえば大手コンビニチェーンのお客さまでは、1万店で30~40人だった施設担当者は店舗数が倍の2万店になっても増えていません。当社のデータやツールを使っていただくことで、企画検討段階での時間削減や無駄な積算がなくなるからです。」

透明性を高めることは、職人さんにもメリットを生んでいます。JMからの支払いが早くなることです。「完了写真と現場のお客さまのサインを『Matabee iReporter』で送れば工事終了で、工事代金は月2回お支払いしています。建設業は普通、翌月末の1回です」と小林さん。地元の小規模工務店や個人事業主にとっても、うれしい仕組みといえるでしょう。

小林さんは自社の強みを、職人さんとJM、顧客企業をつなげたオープンなデータプラットフォームに加えて、圧倒的な全国ネットワークを挙げます。

「毎週、JMグループ社員300~500人が参加するウェブ会議で情報を共有しています。すぐに全国へ広がりますね。『Matabee iReporter』でも、たとえば、私たちが新しいフォーマットをつくって提供するとすぐに広まって、翌日にはそのフォーマットでデータが上がってくる。これは大きな強みですよね。」

Keyword②:Matabeeシステム >>

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