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第3回 BIツールの導入の流れを把握しよう!成功確率をあげるポイント BIツールユーザーによる、BIツールユーザーのための、BIツールのトリセツ

世の中にBIツールは数多く存在します。ですが、インターネットで検索して、BIツールを比較した記事を見ても、今ひとつイメージがわかない。そんな経験をもつ人も多いと思います。そんな人のために、BIツール研究所のメンバーが、合計8本のBIツールについてのトリセツを作成。前半4本ではBIツールを探すポイントや導入時の注意点、そして導入後に実施しなければならないことを解説、後半4本はよりテクニカルな内容で、データ利活用の推進のポイントを解説していきます。

         

BI(Business Intelligence)ツールを活用するイメージが持てた! 導入してみたい! でもどうやって導入していけばいいんだろう?」

前回の記事では「BIツールのユースケース」を紹介しました。皆さんも自社で活用してみたいと感じているところではないでしょうか?

この記事では、BIツールのコンサルタントとして多くの会社を支援し、自身がデータアナリストとしてデータ活用をしてきた経験を活かして、BIツールの導入方法を紹介します。

過去の失敗例を教訓に成功の秘訣をご紹介します。

選定に一番大事なことはなにか?

BIツールを選定するときのわかりやすい判断軸には、「予算とライセンス体系」があります。

利用者1人ずつに課金する「ユーザーライセンス」の形を採用するものが多いので、全社員に展開することをマストにする場合はライセンス利用料がかからないBIツールを選択します。一方で、機能を重視しつつも予算の制約が大きい場合は、全社員への展開を諦め 、アウトプットをメールで配信するような方法をとって、高機能なBIツールを選択することが多いです。

ザーライセンス コアライセンス チケットライセンス セッションライセンス
  大企業向けで稀にある 珍しい 珍しい
利用者1人ずつに課金。機能により金額が異なるケースが多い サーバーのCPU数など性能に対する課金。 1時間参照するチケットを月100本など時間に対する課金。 同時接続数5人など接続数に対する課金。

このように「予算とライセンス体系」は運用上のポイントではあるものの、BIツールの導入で一番大切なことは「自社の環境にあったツールを導入すること」です。いくら高機能なBIツールを導入しても、活用する目的に合わないと宝の持ち腐れとなってしまいます。

各種のBIツールの特徴についてはBIツール研究所のYouTubeをご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCElyJ5Z_1mQWpUWLjs2-gaQ

BIツール導入の流れ

導入までの大まかな流れを表にしました。私の経験上、導入の開始から終了まで3~5ヶ月かかることが多いです。

項目 内容 目安
製品選定 比較製品を選定項目に照らし合わせて確認する 1ヶ月ほど
試使用 期待値に合う製品を試しに使用してみる 2週間〜1ヶ月ほど
社内稟議 選定理由や期待値を社内に説明する 2週間〜1ヶ月ほど
初期導入 データを可視化できる状態を作る 1ヶ月~3ヶ月ほど

 

製品選定

まずは製品選定です。最低限考慮したほうがよい内容をまとめました。この6項目を確認するだけでも、導入の成功確率がグッと上がります。

項目 やること ポイント
可視化表現力 グラフや表の表現力を確認します。最近のBIツールは、主要な表現方法を網羅していますが、同じグラフ表現でも質の違いを確かめましょう。グラフに関するオプション機能などを見るのが良いです。 表のレイアウトにこだわる企業が日本には多いです。セル結合や合計表示などの細かい体裁を整えることができないBIツールが多いため、どこまでできるか確認して、役職者に事前説明します。
アカウント体系 開発者・利用者などの種類があるものが多いです。開発者だけでなく、利用者ができることが想定通りであることを確認しましょう。 導入後、いざBIツールを参照するときにできないことが発覚した場合、費用面が計画よりも上振れしてしまいます。
開発のしやすさ データ可視化の業務では、反復的な設定をすることが多いです。効率的に開発できることを確認しましょう。 グラフを作成するのに急を要するケースも多いです。開発効率が悪く、余計なステップが多いとそのようなときにミスをするリスクが高まります。
ITリテラシー 開発者のITリテラシーと利用者のITリテラシーを確認します。 開発スキルを要するものの細やかな設定ができるツールと簡単に誰でも運用できるツールがあります。利用者にどこまで操作をさせるかなども確認するとよいです。
ガバナンス データを見せる・見せないという設定をどこまで細かく定義できるかを確認しましょう。 導入後、別の部署でもBIツールを使いたいとなった場合に、部門限定で見せる設定をすることがあります。ファイル単位やデータ単位で設定できると良いです。
利用規模 BIツールを利用する人数や部署を見積もります。 規模が大きい場合、ガバナンスがしっかりしていること、利用人数が増えても利用コストを逼迫しないライセンス体系、利用する全ての人が扱える製品かどうかなどを検討します。
メーカーサポート どのような質問に答えてくれるのか、その回答の品質はどうかを確認します。 試使用や製品説明の時に質問をしながら、回答に安心できるかを確かめます。

 

試使用

次に試使用です。可視化表現力や開発のしやすさなどを、実際にツールを操作しながら確かめていきます。ポイントは3点あります。

操作のストレス

機能の良い悪いではなく、使いやすいかという観点で、操作にストレスを感じるかどうかを確かめるとよいです。BIツールは データをグラフで何度も可視化していくので、どれだけ手に馴染むかで作業効率が変わってきます。少しでも使いづらさを感じたときは、慣れると解消されそうか、継続的に業務するのが大変そうかを確認しましょう。

データ接続の設定

BIツールの導入でよくある失敗は、テストデータの接続は成功しても実際の本番データの接続が上手くいかず、導入計画が大幅に崩れることです。そのため、この試使用の期間中に本番データの接続の設定を済ませておきましょう。

試使用時間の確保

BIツールの試使用期間は、2週間 ~1ヶ月が多いです。データを分析する人は多忙な場合が多く、まとまった時間を確保するのが難しいケースがあります。きちんと予定しておかないと、大抵の場合、試使用期間に検証を終えることができません。試使用が開始されたら最初の1週間で完了するくらいの気持ちで時間を確保しましょう。

社内稟議

会社の慣習やルールによって異なりますが、多くの場合、導入には社内での承認や説明が必要です。製品選定時のチェック項目の比較や試使用により期待する効果が発揮できそうだということが確認できたら、社内稟議を通しましょう。導入稟議書によく出てくる構成要素をまとめてみました。

構成要素 内容 補足
BIツールとは 知らない人のために念のため記載します。 本特集記事参照。
自社で期待する効果 BIツールの効果を記載します。 本特集記事参照。
他社の事例 関連する業界や機能に関する成功事例を掲載します。 メーカーから資料をもらいます。
今回導入したい製品 導入したい製品の基本情報を記載します。 メーカーから資料をもらいます。
なぜこの製品か 特によいと思った点を記載します。 BIツール研究所のYouTubeでも解説しています。
他ツールとの比較結果 比較結果を表でまとめます。 本特集記事参照。
費用 そのツールにかかる費用を記載します。 初期の費用、ライセンス体系を記載します。
費用対効果 現業務とBIツール導入後の工数を比較します。業務が改善される点を抜粋します。 現在の業務にかかる作業時間を集計してBIツールで代替した場合と費用比較します。
導入スケジュール いつから自社で活用できるのかを示します。 本特集記事参照。

このBIツールの連載記事を読んで頂ければ、どの要素もスムーズに記載できると思います!

初期導入

そしてメインプロセスである初期導入です。これまでの準備がきちんとできていれば、スムーズに完了できます。

ポイントは「一発で完成させようとしないこと」です。BIツールのアウトプットは数値の計算式というロジックと、グラフの見せ方というデザインからできています。

計算式の難しいところは人によって言葉の定義が違うことです。同じ「売上」という数値の集計でも、セールスの人は「新規商談に絞った売上」を、経営メンバーは、「全社の総売上」を見たいというように、言葉の定義 が揃っていません。そのすり合わせを行う必要があります。

またグラフの見せ方についても、職種や人によって見やすさに違いがあるため、レビューをこまめに実施することをおすすめします。

項目 内容 ポイント
環境設定/データ接続 自社のデータをBIツールで扱えるようにしましょう。 SaaS型製品で、ある程度知識があれば、1時間もかからずにデータ接続してデータを可視化できるようになります。
※試使用の段階で設定しておきましょう。
グラフ作成 作りたいグラフ群を作成しましょう。 1回で完璧なアウトプットを作ることは難しいです。グラフの体裁や条件式がブレることもあります。そのため、条件式を棒グラフなどの簡単な表現方法で出力して、参照者とレビューをするとよいでしょう。
グラフレビュー グラフの体裁や条件式を確認します。 ポイントは何度も使ってもらえる「愛されるグラフ」を作ることです。どのように使うのかを意識して、補足コメントを記載 するなどの気配りをしましょう。

 

全体像をつかんで、失敗に注意しながら進めよう

いかがでしたでしょうか?ここではBIツールの導入方法をご紹介しました。多くの予算と時間をかけるBIツールの導入についてかなりマニアックな記事を書けたと思います。

BIツールの導入は一大事業で、成功への期待はとても大きいものです。導入終了までの全体像をつかみ、失敗を防ぐための視点をもって進めてみてください!

ご不明 点やご相談などがありましたら、BIツール研究所のTwitterや各メンバーへDMなどでご連絡ください。次回以降の記事ではBIツールの活用方法について紹介していきます。

BIツールのアハ!体験③データから課題発見!

ある大企業の製造業のお客様では、これまで部署単位で部品の発注をしていましたが、BIツールで社内の部品発注データを可視化しました。部品ごとにグルーピングすると、同じ部品でも部署によって発注金額がバラバラなことが判明しました。全社のデータを統合して一元管理するだけでもコストの見直しができたと喜んでもらった経験でした。

この記事を書いた方



株式会社オープンエイト データ戦略グループ マネージャー 前側 将さん
1992年北海道生まれ。動画制作ツールVideoBRAINを扱う、株式会社オープンエイトのデータアナリストとして、データ基盤の開発やデータ分析など幅広い業務を手掛ける。 また、BIツールに関する情報を発信するYouTubeコミュニティ「BIツール研究所」を主宰し、データ可視化の実践と普及に日々まい進中。監修を行った「『BIツール』活用 超入門 Google Data Portalではじめるデータ集計・分析・可視化」(秀和システム)が2021年11月下旬に出版。
BIツール書籍:https://www.amazon.co.jp/dp/4798065412/
前側さんTwitter:https://twitter.com/willanalysts
BIツール研究所 
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCElyJ5Z_1mQWpUWLjs2-gaQ

Twitter:https://twitter.com/bitoollabo

 
 

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