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夏はビールが美味しい季節。

ビール好きなら、仕事終わりについつい1杯飲みたくなりますよね。そんなビールですが、最近はクラフトビールと呼ばれる様々なスタイルのビールが人気です。

一般的な大手ビールのスタイルはピルスナー。他には、ペールエール、IPA、セゾン、ベルジャンホワイト、スタウトなどなど、細かく分類すると、なんと100種類以上

ビールのオリンピックと称され、2年に1回、アメリカで開催される「World Beer Cup (ワールドビアカップ)」(以下、WBC)の2018年開催では、101種類のビアスタイルに分かれて、金、銀、銅を競いました。WBC 2018には、過去最高の66カ国・地域の2,515ブルワリーから8,234銘柄が出品されたというから驚きです。

ちなみに、日本のビールでは、コエドブルワリー(埼玉県)の「白」が銀賞、麗人酒造(長野県)の「信州浪漫ビール オリジナルエール」が銅賞を受賞しました

本当にたくさんの種類があるビールですが、この中から自分好みのビールを選ぶのはなんだか難しそうです。

そこで、今回紹介するのはビール選びに役立つ「IBU=苦味」と「SRM(EBC)=色」を表すデータの話。そして人間は、舌だけではなく頭でも味わいを感じる生き物です。知識を得ることによって、「おいしい!」も、きっとより深みが増すことでしょう。ビールを呑みながらのちょっとした会話の糸口にもなるお話ですよ!

それではさっそく、データから紐解くビールの秘密。その世界をのぞいてみましょう。

IBU(International Bitterness Units):国際苦味単位

ビールの味の特徴と言えば、「苦味(にがみ)」ですよね。他のアルコール類にはあまり無い特徴と言えるでしょう。苦味のもととなるのは原材料の1つである「ホップ」です。

ホップこそ、ビールのために神様が用意してくれたような植物。ビール独特のフルーティ、ジューシーな香りや、スッキリした苦味はホップがあればこそです。ホップはアサ科のつる性多年草で、和名はセイヨウカラハナソウ といいます。

実は、ホップはオスとメスがある珍しい植物。メスのホップは花が咲いたあと、未受精のまま枯れると「毬花(まりばな)」と呼ばれる松かさのような形になります。この毬花を割ってみると、中には黄色い粒々があります。これがホップの香りや苦味の元になる「ルプリン」。ルプリンには、様々な成分が含まれているのですが、特に重要なのがα酸(アルファ酸)。α酸は、熱を加えることによりイソα酸に変化します。このイソα酸こそ、ビールの苦味の正体です。

さて、ここでデータが登場。イソα酸が苦味の重要な成分と分っているなら、イソα酸の量が分れば苦味の傾向が分るのではないか、と考えた人がいます。

それが、「IBU(International Bitterness Units):国際苦味単位」です。

IBU の計算は、少々複雑なので、割愛しますが、ホップに元々含まれているα酸の量と、ボイル(煮沸)することによる影響を考慮して計算されます。値の範囲は、通常、1~100で、数値が高いほど苦味が強くなります。

つまり、α酸の含有量が多いホップを大量に投入し、ボイルの時間が長くなればなるほど、よりイソα酸の量が多くなり、IBU の値も高くなる傾向にあります。

IBUの値は、軽いアメリカンスタイルのラガーで5、日本の大手ビールメーカーのピルスナーが20~25、最近、人気となっているIPA(インディアペールエール)は、50以上の値があります。

しかし、人間の味覚は興味深いことに相対的にできています。

つまり、甘さがあれば苦味は感じにくくなり、香りが強ければ、苦味の感じ方にも影響が出ます。例えば、IBU が高いIPA が必ずしも苦く感じにくいのは、苦味と同時に、グレープフルーツやオレンジのような柑橘系の香りが鼻に飛び込んで来るからです。ビールは苦いから嫌いという女性の方に、IPA を試していただくと、意外と好きになってくれたりすることがあります。

もちろん、IBU の値だけでビールの味が決まるわけではありませんが、そこに投入されたホップの量をこの数値から想像することができます。

SRM, EBC=ビールの色

クラフトビールには実に様々な色合いがあります。

輝くように透明な黄金色から、霞がかったホワイト、赤銅色、アンバー(琥珀色)、そして漆黒まで。この色彩を楽しむこともクラフトビールの醍醐味の一つと言えるでしょう。

では、この色は、いったい何に由来するものなのでしょうか?

実はこの色味は、ホップとともにビールの最も重要な原材料である麦芽(以下、モルト)から来るのです

麦のままでは酵母が発酵できないため、麦に水を与えて、発芽させたものがモルトです。発芽した麦は乾燥させることによって発芽を止めます。温風で乾燥されたモルトは、薄い茶色。さらに、香ばしい風味と焦げた色味を出すために、120℃から230℃という高温で熱します。そうすると色が濃いモルトができます。つまり、温度により様々な色合いのモルトを作ることが可能なのです。薄い色は麦本来の香り、濃い色は焦したコーヒーのような香りなど、実にバラエティー豊かです。これらのモルトをブレンドすることにより、ビールの様々な色合いが生まれるのです。

さて、ここでデータが登場します。色合いもまた数値で表現することができるのです。使われる単位には、2種類あります。

1.SRM(Standard Reference Method)
2.EBC (European Brewery Convention)

SRM は、米国醸造化学者学会が採用したものであり、アメリカを中心に使われます。EBC は、ヨーロッパ醸造協議会による規格であり、主にヨーロッパで使われています。

SRM の値は、2~70の範囲の値であり、数値が小さければ色が薄く、大きければ大きいほど濃色です。SRM からEBC への変換は約2倍(x 1.97)することによって求められます。

最も歴史あるピルスナーのひとつであるチェコの「ピルスナーウルケル」のSRM は4。18世紀から作られているバス・ペールエールは8ギネスで有名なスタウトは35と値が大きいです。

SRM の値が大きければ、それだけ色が濃いモルトが使われています。つまり色合いが違うということはモルトの風味が違うということであり、自分の好きな味わいのビールを選択する重要な要素のひとつとなります(※1)。

(※1)ビールの原料として、フルーツ等が使われている場合は、フルーツの色がビールの色にも反映されることがありますので、この限りではありません。

まとめ

今回の記事では、ビールに使われているデータについて説明してみました。

普段ビールを飲む際には、いちいち数値を確認する必要はないと思いますが、新しいビールに出会った時、自分の好きなビールを見つけた時、IBUの値や、色合いをぜひチェックしてみてください。

数値は缶や瓶の記載、クラフトビールのお店のメニュー、ブルワリーの公式サイトを見ると確認できますので、それを知っているだけでもビールを飲むのがより楽しくなります。

データって面白いですよね。

最後にスーパーで買えるおすすめのビールとそのデータを紹介します。

“ダイレクトな柑橘系のアロマとシャープな苦味が魅力的”
商品名:OH!LA!HO BEER「キャプテンクロウ エクストラペールエール」

こちらは、長野県東御市の「OH!LA!HOビール」が作っているビール。名前の通り、通常のペールエールよりも、香りと苦味が強いスタイル。飲んでみると、グレープフルーツの皮を囓ったかのようなシャープな苦味と香りが、口の中いっぱいに広がり、アフターはスッキリと切れ、実に心地いい。鼻に抜けていく香りも涼やか。一口飲めば虜になるビールです。

《データ》原材料:麦芽・ホップ、アルコール分:5%、IBU:57、SRM:9
取扱店舗:成城石井、ナチュラルローソン、イオンリカー、小田急OX
※ただし、一部お取り扱いの無い店舗があります。

夏はまだまだ続きます、暑さに気をつけながら、この時期ならではのビールの美味しさをぜひ満喫してください!

参考:Beer measurement
BREWERS ASSOCIATION BEER STYLE GUIDELINES 

文&写真:川野 亮(かわの りょう)さん

美味しいクラフトビールが飲めるお店を紹介するサイト「クラフトビール東京」代表。ビールイベントや新商品情報も掲載中。
URL: http://craftbeer-tokyo.info/

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