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スポーツの未来はデータ分析の中にある?ラグビー日本代表の「番狂わせ」を支えた最新技術とは?

         

2019年、翌年に控える東京オリンピックを目前に、日本中を最も沸かせたスポーツと言えば、ラグビーです。日本で開催されたラグビー大会において、日本代表は格上だったアイルランド代表を降し、初のベスト8入りを果たしました。

ホームで開催される大会での予想外の番狂わせは、日本中に大きな衝撃をもたらし、ファンが急増。大会における日本チームのキャッチコピー、「ONE TEAM」が流行語大賞に選ばれるなど、 社会に大きなインパクトを与えました。

世界の番狂わせとも呼ばれるこの勝利の背景には、選手のひとりひとりの努力や、チームの緻密な連携、周囲からのバックアップなどさまざまな要素があげられますが、その中でも、再現性が高い要素が、最新技術を駆使して採取したデータを活用した分析です。

映像技術と共に、スポーツ界におけるデータ分析もアップデートされつつあり、ラグビーの日本代表もまた、技術の恩恵を受けたチームの一つと言えます。

そこで今回は、技術が支えるスポーツ界のデータ分析についてご紹介いたします。

「にわかファン」を急増させた「番狂わせ」を裏から支えるデータ分析

数年前まで、日本において注目度の低いスポーツだったラグビー、しかし2015年の世界大会で、日本代表が最初の番狂わせをしたことで、注目度は一気に高まりました。それが世界屈指の強さを誇る南アフリカ代表との試合における日本代表の勝利でした。

当時、エディー・ジョーンズヘッドコーチを筆頭に5人のコーチが率いたこのチームの大きな強みというのが、データ分析でした。

チームにデータ分析専門のアナリストが専属でつき、得点などの数値データから試合や練習中の映像データまで、多種多様な方法で分析。それぞれのコーチの要望に合わせて、適切なデータを提示し、データとコーチの感覚の双方を活用して練習のスタイルや内容を決めることで、より的確に選手やチームが成長できる方法を模索していたそうです。

また。データの活用は練習だけでなく本番中でも行われていたということで、テレビ局などから送られてくる映像を参考に、試合におけるミスの修正方法をデータから導き出し、ハーフタイムにコーチから伝えられる作戦や声掛けなどに生かされていたそうです。

そして、衝撃の番狂わせから4年、さらにアップデートされた技術で収集されたデータが現場で採用されています。

ラグビー日本代表の練習中の風景は、小型無人ドローンで常に上空から撮影され、陣形の乱れがないか、スクラムがきちんと組めているか、などを即座に映像で確認、分析できるようになっているそうです。その他にも、 GPSを活用し、選手の加速度を高い精度で測定し、ちょっとした変化でも数値から導き出せるようになっているということです。

こうした分析を支えるのが、分析専用のソフトウェアです。ラグビーではスポーツデータ分析ソフト専門の開発会社、データスタジアムが手掛ける「データスクラム」などをはじめ、さまざまなラグビーデータ・映像閲覧ソフトが販売 ・公開されています。

ラグビー以外にも、野球やサッカー、バスケットボール、バレーなどスポーツ種別にデータ分析ソフトが存在し、ソフトによっては無料で活用できるというものも少なくありません。スポーツにおけるデータ分析は、今後プロ業界だけでなく、中学校や高校での部活や、社会人チームなどでも活用されるようになっていくのかもしれませんね。

ビッグデータで試合の会場調整がより手軽に。NBAの取り組み

死力を尽くし、代表入りを果たした各国のラグビー代表チームですが、大会中、思わぬトラブルによって悩まされました。立て続けに日本に上陸した10月台風と呼ばれる大型の台風です。

台風の影響は大会前から生じており、台風15号の上陸により交通機関の遅延や欠航が相次ぎました。それにより一部の代表チームのために開催が予定されていた事前キャンプ地での歓迎イベントが中止される処置がとられました。

そして、大会中、非常に強い勢力を保ったまま日本に上陸した台風19号の影響で、ラグビーワールドカップ史上初となる天候による試合の中止が決定されました。中止となったのは、10月12日に予定されていたニュージーランド対イタリア戦とイングランド対フランス戦の2試合。台風という不可避のトラブルに不満をあらわにする大会参加者も少なくありませんでした。

しかし、最近では、データ分析を活用して、スポーツ大会において無視することができない、天候などのトラブルによる試合の中止リスクを少しでも削減しようとする動きも生まれています。

例えば、アメリカの男子プロバスケットボールリーグのNBAでは、30あるチームの試合会場のスケジューリングについて、ビッグデータを用いて会場と試合のマッチングを行っているそうです。

NBAでは1シーズンに1200回を超える試合をこなすため、試合会場の事前確保自体が非常に大変な作業になります。

さらに、広大な面積をもつアメリカゆえに、州によって天候も全く異なり、交通状況も刻一刻と変化するため、選手たちの移動できるかどうかも加味しつつ直前まで試合会場の調整を行います。そうなると人間の手で管理するのはほぼ不可能になるため、ビッグデータを活用した管理が実践されているのです。

データを活用することで状況に合わせた臨機応変な対応はもちろん、短期間で多数の試合をこなす選手たちに配慮し、試合で対戦するチームの移動コストが公平になるような工夫も行われているとのことです。

また、日本でも、 気象データを活用し、試合会場の天候や開催可能かを判定するサービスに取り組む企業などもあるため、今後、データを活用したより柔軟な対応が可能になるかもしれません。

技術×スポーツでスポーツをもっと楽しく

ラグビー日本代表が証明したようにデータ分析を活用することで、チームを成長させることができるという事実が、他の多くのスポーツにおける更なる成長への期待へつながっているなと感じます。

また、近年の映像技術の発達やデータ分析の高速化は、試合に臨む選手たちのみならず、試合を観戦する私たち自身にも様々な恩恵をもたらしてくれます。

例えば、ドローンカメラや360度カメラを活用した臨場感たっぷりの試合の動画配信や、高度な画像解析によって、試合中の選手の心拍数を測定し、試合の視聴者に選手の緊張状態をグラフなどで提示することで、緊迫感を持って試合を楽しめるサービスなども開発されています。

未来のスポーツの姿を今まさに成長しつつある技術の中にあるのかもしれませんね。

これから技術がどのようにスポーツを進化させるのか楽しみに見ていきましょう。

「スポーツとデータ」と言えば、2020年1月にウイングアークが京都府宇治市にオープンさせた世界最大規模のBMXフリースタイルパーク「WingPark1st」も技術でスポーツを進化させる試みの一つですね。スポーツ観戦もデータによってまた新たなステージに投入したと言えるかもしれません。今後がますます楽しみです!

【参考引用サイト】
・ 最先端をいくラグビーのデータ活用法 日本代表アナリストが語るW杯への準備ラグビーW杯2019:データ分析、攻守に活用 ドローン映像で陣形確認 加速度をGPS自動計測 ビッグデータやAIが活躍する米国プロスポーツビジネス ラグビーワールドカップ2019 - Wikipedia

(大藤ヨシヲ)

 
データ活用 Data utilization テクノロジー technology 社会 society ビジネス business ライフ life 特集 Special feature

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