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2019年10月1日から、消費税が10%に増税されることが予定されています。消費税と言えば、話題となっているのが軽減税率。コンビニなどに陳列されている商品に対しては軽減税率(従来通り8%)が適用されますが、財務省はコンビニの商品に軽減税率を導入する条件として、店内で飲食しないことを提示しています。今後はイートインのスペースは「飲食禁止」となります。
このように現在進行形で議論が進む間接税ですが、海外ではビッグデータを導入することで、間接税の不正を防ごうという取り組みが進められています。
世界では、間接税にビッグデータを導入するという潮流があります。間接税の電子データを収集してビッグデータとして運用することで、税務当局は調査コストを削減できるだけでなく、トレンドの分析やリスクの抽出によって不適切な申告を防ぐことが可能だそうです※2。
EY税理士法人の調査によれば、調査対象86カ国のうち69カ国が税務調査に電子データによる情報収集を行っているという結果が出たといいます。取引データの提出を求める国はまだ23カ国ですが、この数字も増加傾向にあります。
日本政府は消費税増税から4年後の2023年10月に、複数税率に対応した仕入税額控除(口述)の方式として「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」を導入する予定です。インボイス制度は、複数税率制度の下で適正な課税を確保するための仕組みです。
ここで、消費税について押さえておきましょう。企業などが国内で商品の販売やサービスを提供した場合、基本的に消費税が課税されます。消費税の納付税額は、期間中の課税売上げ(商品の売上げなど)にかかる税額から、課税仕入れ(事業のために購入した商品など)にかかる税額を引いて計算します。これを「仕入税額控除」といいます。
現在の制度では、消費税はすべて一律なので、合算して税額を計算すれば問題ありませんでした。しかし、軽減税率制度が導入されると税率が複数になるため、軽減税率の対象となる取引があればその取引を区分して、仕入税額を計算しなければならなくなります。
このように消費税の軽減税率、そしてインボイス制度により、税務当局の業務量の増加が予想されています。そこで国税庁は、ビッグデータやAIを活用することで、個々の納税者の納付能力を判定したり、過去の滞納処分の状況などを加味しながら優先着手事案の選定を行うことを目指しているようです。
当局の持つ資料情報などのビッグデータと納税者の申告内容を照合すれば、申告漏れなどの把握を効率的に行うことが可能になります。またビッグデータの活用によって第三者からの情報がより得られるようになるため、納税者の不正を防ぐこともできるようになるのです。
すでにシンガポールでは、納税者の質問に対して自動的に回答するAIを利用した質問応答システムの試行版が導入されています。またアメリカでは、滞納者との接触方法の自動判定システムが行われているなど、海外ではITやAIなどの技術がすでに取り入れられています。日本の税務当局でもこれらの技術を導入することで、納税者の利便性向上と、課税・徴収の効率化・高度化を進めていく予定です。
行政によるビッグデータ活用がどのくらいのスピードで進められるかはまだまだ未知数ですが、事業取引やお金の流れがデータ化されることにより、管理される側も管理する側も手間をかけずに透明化されたやり取りができるようになっていくでしょう。マイナンバーとビッグデータを組み合わせれば、各自が確定申告せずとも各個人の所得を国が一円単位まで正確に把握している、なんていう時代が想像しているよりも早く訪れるのかもしれません。
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【参考記事】 1. 軽減税率:コンビニ食品に 「店内飲食禁止」条件 財務省 - 毎日新聞 2. 世界はビッグデータで間接税の不正を防ぐ _ Tax insights|EY税理士法人 3. 消費税軽減税率制度、インボイス制度が実施されます! | 財務省広報誌「ファイナンス」 4. No.6355 課税売上げと課税仕入れ|消費税 |国税庁 5. 軽減税率、経理処理はどうなる? _ 業務の教科書 6. 税務行政の将来像~スマート化を目指して~ | 国税庁
(安齋慎平)
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