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日本のキャッシュレス化が本格的にスタートしました。通信や決済、サービスなど、大小さまざまな事業者が参入し、市場拡大に取り組んでいます。いわば国家的ビジョンとして推進中のキャッシュレス化を土台として支えているのが経済産業省。
我が国におけるキャッシュレス社会のめざす将来像や現状と課題などを、同省商務情報政策局商務・サービスグループ消費・流通政策課の永井岳彦課長と小暮千賀明係長に聞きました。
(聞き手はウイングアーク1st株式会社 営業・ソリューション本部 金融・公共ストラテジックビジネスユニット副ユニット長の吉山潔)
前編はこちら。
吉山 それでは決済インフラに話題を移したいと思います。現在の日本では銀行系のクレジットカード決済インフラが整備されており、この環境上で決済が行われています。しかし、このインフラは日本中に普及するには決済コストが高額だといわれています。その点はどうお考えでしょうか。
永井氏 クレジットカード系は信頼性が重要とのことで専用線を使っていますが、それらの決済システムもだいぶ償却が進んでいます。また、現在はインターネットでも十分信頼性の高い通信インフラが提供されており、これからは利便性とコストの競争になるかと思っています。政府としては、安全性が確保できれば、特に決済インフラを指定はしません。
小暮氏 現在のクレジットカード決済システムは重層構造になっています。各事業者がサーバを各自で立てたり、システムを独自に構築したり、CAFISとJCNという大規模な決済システムが別々に存在していたり、国際ブランドが独自で保有するシステムがあったり――。この現状が本当に正しいのか、検討してもよい時期にきたのではないでしょうか。
多くの人たちはいま、インターネットをベースにE-メールを使っていますが、メールの情報が簡単に漏洩していたら誰も使っていません。お金を送るデジタルデータと個人同士の大事な話を送るメールデータ、両者に求められるセキュリティにどれほどの差異があるでしょうか。この点を含めて、いまいちど考えてみるよい機会なのかもしれません。
吉山 決済インフラネットワークはこれまで重厚で大規模なものでしたが、インターネットの普及や中国の台頭などによって、そのあたりの意識も変わってくる可能性はありますね。さて、今後のインフラ整備は民間ベースの競争で進めていくのか、政府として交通整理をすることもあり得るのか、そのあたりはいかがでしょう。
永井氏 純粋な競争が効率よくなされる事が望ましいと思われます。たとえばQRコードの標準化に関しては、事業者が多数出てきて独自の番号(ID)を店舗に提供しています。そうなると、店舗は決済事業者を増やすたびにアップデートする必要が出てきます。これはコストと手間がかかります。標準化が定まってくると、決済事業者間の合従連衡は進み店舗と顧客へサービスの質で競争するでしょう。つまり、トータルの投資コストを下げていく方向ですね。標準化が定まってくると、決済事業者間の合従連衡は進みやすくなるでしょう。競争がより公正で効率的な方向に進む環境をつくることが理想で、社会コストも最も低い形に収れんしていくのではないかと考えています。
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