越境者たちよ!ヒトはより自由になることで成長できる! 【書評】新時代を生き抜く越境思考 | データで越境者に寄り添うメディア データのじかん
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越境者たちよ!ヒトはより自由になることで成長できる! 【書評】新時代を生き抜く越境思考

         

今皆さんが読まれている『データのじかん』の副題をご存知ですか? そう、「データで越境者に寄り添うメディア」です。データがこのメディアの軸であるのはなんとなくわかりますが、「越境者」とは何なのか。データのじかんのサイトでは、以下のように説明しています。

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重要なのは、企業組織の古い慣習や旧態依然としたビジネスモデルを乗り越えるBoundary Spanner(越境者)の存在です。適応課題が技術ではなく人の問題である以上、組織間における人材の変化がまずは求められており、その変化をリードするキーパーソンとしての越境者が、日本には必要なのです。 データのじかんとは? =========================================================

すなわち、越境者とは企業組織の古い慣習や旧態依然としたビジネスモデルを乗り越える存在であり、今の日本に求められている存在でもあるということです。

そして、今回紹介する沢渡あまね著『新時代を生き抜く越境思考~組織、肩書、場所、時間から自由になって成長する』という本では、この越境についてより深い洞察をしています。倦怠感と停滞感に覆われた日本に、どこから風穴を開けるか。どのように大企業病を脱していくのか。そのような問題意識を持っている方に、刺さる内容となっています。

まずは越境とはどのようなものなのか、本書を元に紐解いていきます。

越境には3種類ある

本書では、越境とは「3つのハイブリッドを乗りこなすこと」だと書かれています。そのハイブリッドとは、「場所」「顔」「職種」の3つです。

場所のハイブリッド


1つ目は場所のハイブリッド。コロナ禍を経て、働く場所が以前に比べ柔軟になってきました。完全在宅勤務という会社も話題になっています。中にはワーケーション(ワークとバケーションを組み合わせた働き方)をする人も増えてきています。

働く場所に縛られてしまうと、独創的で新奇的なアイデアは生まれにくいでしょう。本書では「#ダム際ワーキング」という、ダムおよび近隣のカフェや宿泊施設などで仕事をしつつ、自然の中でリフレッシュするという新しい働き方を提唱しています。筆者はダムのそばで本の原稿を書いたりWeb会議をしたりしているそうで、効率的に仕事をされています。

顔のハイブリッド


2つ目は顔のハイブリッド。これは単一組織だけに属しているわけではない人材、すなわち「複数の顔を持つ人材」の活用です。複業(あえて副業と書かないのには理由があります。それについては後述)人材やフリーランス、顧問などがこれに該当します。

複業を解禁する大企業が増えてきている現在、会社のプロジェクトに社内の人間だけが属しているというのは珍しくなってきているのかもしれません。外部人材のマネジメントが必要になってきます。また、「すべて対面で」「出社して」「自社独自の仕事の進め方に合わせて」プロジェクトを進めるのは難しくなるでしょう。業務のデジタル化やスリム化が求められます。

職種のハイブリッド


3つ目は職種のハイブリッド。フィンテックやアグリテックという言葉を聞いたことがあると思いますが、前者は「金融×IT」のハイブリッド、後者は「農業×IT」のハイブリッドと見ることができます。本書では、これらのように業界や職種を越境することで、既存の問題を解決したり新たな価値を生み出したりするコラボレーションが生まれてきた、と主張しています。

例えば兵庫県にある神姫バスは、農協と協力して貨客混載を実現しました。同県西脇市にある農園で朝に収穫した獲れたてのいちごを、同社高速バスを利用して大阪市の阪急うめだ本店に輸送。西脇~大阪便は過疎化による顧客の減少に加え、コロナ禍による影響が続いており、空席が目立つようになっていました。今回の貨客混載は、その空席を有効活用した形になります。筆者はこれを「異業種越境プロジェクト」と捉えています。

以上が、3つの越境の形になります。こうして見てみると、特段目新しいものではなく、関係者の調整が進めば実現しそうなものばかりです。難しく考えることなく、まず「動いてみる」ことを意識することが大切なのではないかと思います。

越境に欠かせない「複業」

ここまでの文章で、「副業」という漢字を使わずに、あえて「複業」と表現している理由について見てみましょう。副業と複業の違いについてですが、大きい違いでは副業が「あくまでもサブの仕事」であるのに対し、複業は「主従関係はなく、どちらもメイン」であるとしています。また、副業は「副収入を得ることのみ」を目的としているのに対し、複業は「自分らしい生き方の実現や、他者貢献」などが目的となっているという違いがあるようです。そのため、複業の場合は他者貢献さえ達成できていれば、副収入が無いというケースも含まれるということです。

複業のメリットは以下の通り。「個人のメリット」と「組織のメリット」があります。

(個人のメリット) ①異動に左右されず、専門性/キャリアの軸を確立できる ②複数職場で活動することになるため、スキルに汎用性を持たせることができる ③複数職場で活動することになるため、プロとしての経験値が増える ④複数のキャッシュポイント(収入を得る先)を得られる ⑤「下請けマインド」から脱却できる (組織のメリット) ①業務のデジタル化、標準化が進む ②自組織にない知見や経験、人的ネットワークをシェアできる ③組織風土のアップデート&健全化につながる ④飽きっぽい人の離職を防ぐことができる

このなかで、特に大きなメリットとなると私が感じるのが、個人のメリットの⑤「下請けマインド」から脱却できる、です。会社勤めは指示待ちになりがち。時として自分のアイデアを黙殺しなければならない場面もあります。ところが複業であれば、指示待ちは致命的で、むしろ自分から営業していかなければなりません。また、自分のアイデアを言わないのは仕事をしていないことと同じ。これはフリーランスとしての話になりますが、「自分の能力は果たしていくらで売れるのか」を常に考える必要があります。そのような思考を考える機会を得られるという意味で、複業はぜひ取り組みたいワークなのです。

越境でDXを加速化

DXに関しても、越境するスキルが活きてきます。本書では、DXの本質について「垣根を越えて、新たな『勝ちパターン』を生み出しましょう。そのためにはITを使ったほうが早いよね」と述べられています。そして、その勝ちパターンを見つけるには、越境して成果を出す能力が求められます。

越境者がDXにおいて成果を出す際のキーワードは、「すっ飛ばす」です。デジタルの力で地域や時間の壁を「すっ飛ばし」、業種への参入を通して業界の壁を「すっ飛ばし」、間接業務を「すっ飛ばして」業務をスリム化し、データ活用によって人材育成にかかる時間を「すっ飛ばす」。このようにして、越境者はDXを推進することが可能です。

そして旧来のヒエラルキー構造を「すっ飛ばす」こともできるようになります。従来のように、大手企業が下請け企業に仕事を依頼するビジネスモデルが、下請け企業が単独で仕事を受注する構造に変化します。これはまさにトランスフォーメーション。技術やナレッジさえあれば、これまで大企業の下請けに過ぎなかった中小企業も、世界で戦う優良企業に生まれ変わることができるのです。

まとめ

今回は、越境および越境者について見てきました。いつの時代も、災害や危機による社会変化によって優秀な人材が越境して新たな時代を作ってきました。この度の新型コロナウイルス感染症による社会変化においても同様で、次のトップランナーはアフターコロナを見据えてすでに動き出しているのかもしれません。

(安齋慎平)

 
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