“完璧に無意味で、不必要で、有害な仕事”
──話題の新書「ブルシット・ジョブ」を日本のデータとともに読む

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産業別就業者数に見るブルシット・ジョブの増殖

以下の日本の産業別就業者数の推移をご覧ください。

引用元:早わかり グラフでみる長期労働統計_図4 産業別就業者数┃独立行政法人労働政策研究・研修機構

1951年から2019年にかけて農林漁業に従事する人数は激減し、代わりに「その他」の割合が増加しています。

「その他」には一般事務員、情報処理技術者、他に分類されない労務作業者などの職業が多く含まれることが、2000-2015年に就業者数が増加した職業から予測されます。

引用元:産業別・職業別就業者数の将来予測┃独立行政法人労働政策研究・研修機構

これらの職業は『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論 』「第5章 なぜブルシット・ジョブが増殖しているのか?」で、ブルシット・ジョブ増殖の犯人として示唆されている「情報労働」に重なります。

やたらとカタカナが連ねられた大仰な肩書を持つ割に何をやっているかわからないITコンサルや、第三次AIブームにあやかって現れたにわかデータサイエンティストも「その他」の「ブルシット・ジョブ」に当てはまるでしょう。

「データの世紀」といわれる21世紀に花開いた職務に従事する方々は、特に自身の仕事がブルシット・ジョブではないか一度胸に手を当てて考えた方が良いかもしれません(もうお気づきかも知れませんが)。

終わりに

データを見る前から感じられていましたが、日本は“世界有数のブルシット・ジョブ大国”です。

ハンコを押すための出社や会議のための会議など「この仕事、クソどうでもいい!」と感じたことのある瞬間は皆さんも容易に思い浮かぶのではないでしょうか。

ブルシット・ジョブの縮小につながる策の一つとしてデヴィッド氏が示唆するベーシックインカムの実証実験が、2020年8月仕事の幸福度が日本に次いで低いドイツで始まりました。
その効果は今後どのように表れるのか? 日本とドイツの仕事の幸福度は枝分かれすることになるのか?

我々日本の労働者として、ぜひ注目していきたいですね!

【参考資料】
・デヴィッド・グレーバー著、酒井隆史・芳賀達彦・森田和樹訳 『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』岩波書店、2020
・Will Dahlgreen「37% of British workers think their jobs are meaningless」┃YouGov
・4 op de 10 medewerkers vinden hun werk niet zinvol┃SCHOUTEN&NELISSEN
・早わかり グラフでみる長期労働統計_図4 産業別就業者数┃独立行政法人労働政策研究・研修機構
・The Indeed Job Happiness Index 2016: Ranking the World for Employee Satisfaction┃indeed
・産業別・職業別就業者数の将来予測┃独立行政法人労働政策研究・研修機構
・ドイツでベーシック・インカムの実証実験が始まる──3年間、月15万円支給┃YAHOO! JAPAN ニュース

宮田文机

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