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リモート・テレワーク急増で「健康経営」に異変。求められる新たな視座と変わらぬ願い

         

働き方改革が引き続き議論される中、企業の生産性と、従業員のモチベーションや満足度の交わるところに「健康経営」の視点がある。

昨今重要視する企業も多いこのキーワードと、「世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る」を理念に掲げる株式会社リンクアンドコミュニケーションの取り組みにオーバーラップする部分は多い。

同社は、6,000社を超える導入実績を持つ健康経営支援アプリとスポーツクラブ会員向けアプリを、先ごろ「カロママ プラス(旧:カラダかわるNavi)」として統合を発表した。

そして、BtoB法人向けアプリは「カロママ プラス」、BtoC 個人向け「カロママ(旧:カロリーママ)」と位置づけ、カロママシリーズ展開を行うことで、また一段事業を理念に向け加速した。ビジネスとプライベートを一体的に捉えて健康を管理する意欲的な姿勢に賛同する個人、企業、自治体は多く、さらなる広がりを予感させる。同社代表取締役の渡辺敏成氏に、ヘルスケアとデータの関わりについて話を聞いた。

生きる目標が「健康」ではない。だからこそアプリで“自然に”

私たちのミッションは、「世界中の誰もが、自然に健康になれるような社会を創ること」です。健康維持・増進を事業目標に掲げる企業は少なくありませんが、私たちは“自然に”という言葉を意図的に入れています。

健康でありたいというのは、世界中の人に共通する願いですが、実際のところ、それを人生の目標としている人は多くないでしょう。仕事や自分の好きなことに打ち込みたい、家族と幸せに過ごしたいといった願いが最初にあり、「それには健康が大切」という位置付けなのです。

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そうであるならば、強力に働きかけるようなサポートではなく、日々の生活の中でごく“自然に”寄り添うような仕組みが理想的だろうと考えたのです。

例えば、私たちのアプリでは、料理を撮影すると大まかなカロリーを算出する仕組みがあります。AIを活用して学習したデータからメニューを推定しているのですが、皿の横にあるスプーンや箸の大きさから料理の量も判断します。ユーザーは写真を撮るだけで、食事で摂取するおおよそのカロリーを記録できるわけです。

アプリと連動してタイムラインに届くAIのアドバイスにも気を配っています。性別や年齢層、食事習慣などの要素を分析、2億通り以上のパターンから、その人にぴったりフィットするメッセージを送っています。

ウエアラブルデバイスと連携して睡眠時間や歩数は自動的に記録されますし、提携スポーツクラブとも情報連携を行います。さらにまだ一部ではありますが、私たちの趣旨に賛同してくださる医療機関や自治体から、健康診断のデータ提供をしていただき、それらもアプリ上でユーザー情報と“自然に”ひも付けられます。

こうしてアプリ上でライフログと健康関連データが統合されていき、誰よりもユーザーの健康状態に詳しいアプリというエージェントが手のひらの中にいて、いつもアドバイスをしてくれるというわけです。こうしたリアルとの連携は、「“自然に”健康になる」を実現する上で欠かせないポイントだと思っています。

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「カロママ プラス」は食事・運動・睡眠・気分というユーザー自身の毎日のライフログを起点に、企業・スポーツクラブが保有する健康診断データや自治体などと連携したPHR(パーソナルヘルスレコード)を推進。PHR DBに収集されたデータは、個人へのパーソナルなアドバイスサービスとして提供していくのと同時に、所属する企業の健康経営やスポーツクラブでのサービス向上に役立てていくという。

こうした取り組みは、事業会社ばかりでなく、自治体にも広がりつつあります。神戸市がそのいい先行事例といえます。同市では、市民パーソナルヘルスレコード(PHR)システム「MY CONDITION KOBE」の”健康アプリ”として私たちのアプリを採択し、市民は自身の歩数、食事などのライフログや、神戸市が保有する各種健康診断結果をまとめて管理できます。さらに、個人ごとの統合データを基に「カロママ プラス(旧:カラダかわるNavi)」内で食事や健康に関するアドバイスを受けることができます。

増え続ける健康課題と健康に関する情報。迷うユーザーに適切なアドバイスを届ける

ここ約20年を振り返ってみると、当初は生活習慣病対策が企業の課題として取り上げられ、2006年ごろにはその前兆を捉えて予防するという考えからメタボリックシンドローム対策が叫ばれるようになりました。

さらに2011年あたりから、運動不足によるロコモティブシンドローム(運動器症候群)対策の必要性が訴えられ、最近では認知症も生活習慣から予防するべきだといわれるようになっています。つまりこの20年、健康課題は増え続けているわけです。

一方で、こうした「増え続ける健康課題」に対して、「健康に関する情報」も爆発的に増えていきました。当初はテレビや紙媒体が中心でしたが、インターネットが発達してくると、健康系のウェブサイトが乱立、さらにスマートフォンアプリとウエアラブルデバイスでライフログを取り、自身の健康状態を手軽に可視化できるようになりました。また、情報だけでなく、摂取するものも変化しました。当初サプリメントが主流でしたが、その後特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品と、次から次へと現れました。

ユーザーにしてみれば、課題は増えたし、体にいいというものも増え、いったいどれを選べばいいのか分からないという状態だと感じています。こうした時代だからこそ、的確なアドバイスを提供できる健康に関するコンシェルジュの役割が必要だと感じました。

健康関連サービス利用にあたって困った内容に対して希望するサービスが見つけにくかったという回答が最も多い。
参照:健康関連サービスの動向整理(消費者庁第26回インターネット消費者取引連絡会)|三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2017.9.27)

2016年4月にエンドユーザー向けのAI健康管理アプリとしてリリースした「カロリーママ」、同年10月にリリースした企業、健保、自治体向けの「カラダわかるNavi」、スポーツクラブ向け「カラダかわるNavi forスポーツクラブ」には、そうした思いを込めました。

そして今回、2020年5月に企業・健保・自治体向けとスポーツクラブ向けアプリを統合、「カロママ」と「カロママ プラス」というシンプルな構成にしました。「カロママ」はBtoC向けのアプリ、「カロママ プラス」はBtoBtoC向けのアプリです。健康はパーソナルなものですから、最後はエンドユーザーに集約されていくべきかもしれませんが、より連続的にそのユーザーの健康状態を補足するには、プライベートな時間のデータだけでは足りません。

3つのAI健康アプリ「カラダかわるNavi」「カラダかわるNavi for スポーツクラブ」「カロリーママ」)を「カロママ」シリーズとして2020年5月12日統合された。

社会人の多くは、起きている時間の半分くらいの時間を勤務先で過ごしています。リアルとの連動をさらに強化しようと思えば、企業との連携が欠かせないわけです。例えば食べた社員食堂のメニューが登録されていて、健診データとも連動している、というようなイメージです。

企業の人材の流動性は高まってきていますから、会社を辞めた途端、それまで蓄積されたデータが引き継げないのでは、エンドユーザーにとって有益とはいえません。会社に所属している間は「カロママ プラス」を使い、求職中や定年退職したのちは「カロママ」にデータを引き継げる。これが一連の「カロママ」アプリシリーズとした狙いです。

今回の統合に加え、トピックスもあります。今年から診療報酬が改定されて、オンラインでの外来栄養食事指導が許可されました(初回のみ対面が必要)。この機を受けて、ビデオチャットで栄養指導を受けられるようアプリも改良し、満を持してリリースという運びになりました。また、コロナウイルスによるライフスタイルの変化により消費者ニーズも変化するでしょう。もちろん、正しく把握するためには慎重な調査が必要ですが、ある調査では、「衛生の保持」「安心や安全の確保」「健康の改善」などを優先していることが見て取れます。

参照:新型コロナウイルスの影響による消費者ニーズの変化を調査(株式会社エフアイシーシー)

リアル x デジタルから健康の意識改革やアクションにつながる調査報告を提供

現在、「カロママ プラス」は6000社を超える企業、団体が利用していますが、データを解析すると、面白い傾向が見えてきます。

例えば、都心のあるエリアにオフィスのある企業では、女性の歩数が少なく、健康指標も悪い。なぜだろうと分析してみると、ハイヒールを履いて通勤される方が多いということが分かりました。そこで、都心部にお勤めの女性には「休日は積極的に歩きましょう」とか、「たまにはスニーカーを履いてみては」といったアドバイスが望ましいことが見えてきます。今後、職種、業界、地域による傾向をもっと多角的に捉え、アプリの機能拡充に生かしていきたいと思っています。

こうしたデータの分析で得られた事実・インサイトを社会に還元していくことは、私たちの使命だと考えています。特に新型コロナウィルスによる自粛要請を受けて在宅勤務が広まった今、生活習慣が大きく変化しています。たとえ自粛が終わっても、完全に元に戻ることはないのではないかと考えています。どう変わってきているのか、またこの先どう変わるのか、データとして示していくことは、健康ソリューション企業である私たちに課せられた役目といえます。現在も、在宅勤務が増えてからの歩数や体脂肪の変化といったユーザーデータの統計は定期的に発信しており、個人の意識改革や、企業の施策立案に役立つと信じています。

「カロママ プラス」のユーザーを対象の新型コロナウイルス感染拡大による身体状態や健康行動の変化に関する調査分析によると自粛要請期間では、ランニングやスポーツ、スタジオプログラムなどの有酸素運動(図4・左)が一気に減っています。一方、自宅内で実施可能な筋肉トレーニング(図4・中)や、ストレッチなどの軽い運動(図4・右)を行う方が増えたという。

リンクアンドコミュニケーションは、「世界中の誰もが健康になれる」ことを目指していますから、当然、グローバル展開も視野に入れています。国内の企業からも、海外駐在員の健康データを把握したいから、急いで展開してほしいという要望をいただいています。

ただ、一筋縄ではいきません。なにしろ食事管理の柱となっている食品成分表がない国も多く、食習慣も働く環境も異なるからです。一方で、アフリカでは母子手帳がスマートフォンアプリとして配布されているなど、ICT化に関しては日本よりも進んでいる部分もあります。これから人口が爆発的に増えると予想され、健康課題も多いこうしたエリアでは、将来を見据えると有効な健康ソリューションを展開できそうな兆しもあります。私たちの経験が役に立つ場面も多いのではと期待しています。

お話をお伺いしたDataLovers:渡辺 敏成(わたなべ としなり)さん

リンクアンドコミュニケーション_カロママ_健康経営

株式会社リンクアンドコミュニケーション 代表取締役社長

一橋大学商学部経営学科卒業後、味の素株式会社に入社。 家庭用冷凍食品のプロダクトマネジャー、マーケティング意思決定支援システム開発等、マーケティング関係に従事する。その後、株式会社ケアネットにて常務取締役として、医師向けコンテンツ事業を管掌。医師向けポータルサイトの立ち上げに携わる。 その後、リンクアンドコミュニケーションを創業、食と健康、医療の側面から、新しい健康サービスプラットフォーム構築を推進中。


 

「世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る」というビジョンを標榜し、リンクアンドコミュニケーション社は、BtoB法人向け健康管理アプリ「カロママ プラス(旧:カラダかわるNavi)」BtoC 個人向け健康管理アプリ「カロママ(旧:カロリーママ)」などを展開している。
https://www.linkncom.co.jp/

 

 

(取材・TEXT:JBPRESS+田口/稲垣/藤田 企画・編集:野島光太郎)

   

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