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日本経済を成長させていくことを目的にしている日本再興戦略の中心的な取り組みのひとつが、国民の健康寿命の延伸です。健康寿命を延ばすためには、国民1人ひとりが健康を意識し、国は健康を維持できる環境やインフラを用意しなければなりません。その中にあって経営的な視点から健康管理を考えた政策が、「健康経営銘柄」の選定です。

高齢化社会で注目される健康経営銘柄

様々な経営方針がある中で、健康経営は、従業員などの健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実行していくことを指しています。企業において従業員が健康であることは、会社組織の活性化につながり業績向上に結びつきます。そうすれば会社の価値や株価も上がります。従業員へ健康投資がいかにうまく行われているかも経営手腕によるところとなります。

高齢化社会に突入して久しい今の日本においては、人材不足が明白で、経営課題にもなっています。だからこそ健康経営に着目する企業は少なくありません。その姿勢を後押しするのが、健康経営銘柄の選定となります。 健康経営銘柄は経営の立場だけではなく、現場レベルでの活動にも注目しており、その方向性、戦略、組織、精度、施策など様々な方面から健康に対する取り組みを評価しています。

2016年は25社、2017年は24社が健康経営銘柄に選ばれました。特に2017年は、IT業界や運輸業など幅広い企業がリストアップされています。

参考HP:経済産業省ホームページ
http://www.meti.go.jp/press/2016/02/20170221004/20170221004.html

経営者の健康に対する取り組みが問われる

健康経営銘柄はどのように選ばれるのでしょうか。経済産業省が東京証券取引所と共同で、東京証券取引所に情報している企業の中から選定しています。

経済産業省が国内すべての上場会社に対し実施した健康経営度調査の回答から、「経営理念・方針」「組織・体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」という5つのフレームワークから評価し、これに財務上の数値などを考慮して決定します。ですので、いくら健康に対する取り組みを実施していても、実際に効果が表れていなければ選定されることはないのです。

投資家にとっては企業の健康経営戦略が、どのように改善に役立っているか、あるいは、事業に効果が表れているかを見ることは重要です。一方、企業はデータをしっかりと取り解析することで、健康経営を実現し、次の一手となる戦略を立案することができます。

さらに、超高齢化となっている環境においては、ただ単に長生きするだけではなく、元気で健康的な高齢者が働き手となり、社会の一員となる必要があります。そのために企業は健康を維持し守る環境づくりは不可欠です。企業が提供する職場環境がいかに健康な生活を送るために役立っているのか、そのためにどのような経営を行っているかは注目されるべき事柄です。投資家にとっても、な企業データや環境データが必要になります。

健康経営はいいことづくめ!ビッグデータは宝の山?

1980年代にアメリカで誕生したWell-Being(健康・幸福)経営。「企業が従業員の心と体の健康に配慮することによって、経営の面でも成長できる」というこの考え方は、日本でも多くの企業に取り入れられつつあります。

これまで従業員の健康は、福利厚生の一環として捉えられてきました。しかし、人口の減少や高齢化などで人を募集してもすぐには人が集まらないという環境下では、1人の従業員に健康で長く働いてもらうことが経営にも欠かせない戦略的な視点になってきています。政府も積極的に健康経営を後押ししています。

経済産業省は2015年から健康経営銘柄を選定することによって、健康経営を導入した優良な企業を投資家に紹介する取り組みを始めました。企業にとって人は財産。人に投資している企業は中長期的にも成長が期待できるので、健康経営を実践している企業の取り組みを見える化し、社会的な評価を可能にすることで企業のブランドイメージの向上を手助けしています。

政府がこのような施策を行うのは、日本が直面している大きな問題が背景にあるからです。それは、医療保険制度崩壊の危機。1961年に始まった日本の国民皆保険制度は、少子高齢化のために存続の危機を迎えています。これは、個人の利害だけではなく社会全体で捉えなければならない問題です。Well-Being(健康・幸福)経営は、政府と企業とが一体になった医療費削減の取り組みといえるかもしれません。

健康データがビジネスチャンスに?!日本だからできること

病気になってから治療のために時間や医療費をかけるのと、病気を未然に防ぐためにお金をかけるのとどちらが低くコストを抑えられるのでしょうか。

健康経営を実践している企業によると、たしかに運営にかかる費用は無視できない金額だといいます。しかし、せっかく育ててきた社員を休職や離職などで失うことに比べれば、費用は低く抑えることができるそうです。全社的に運動プログラムを取り入れた企業では、社内のコミュニケーションが活発になり、新しいプロジェクトも誕生し、業績アップにつながっています。このような取り組みは大企業だけではありません。中小企業の多く加入する協会けんぽ(全国健康保険協会)でも、社員の健康データの分析を行う取り組みを始めています。

データを分析することで、自社の特徴や自分の特徴が分かるようになり、予防医学的な面からも大変役に立っているということです。これまで、健康への支出は単なるコストという内向きな取り組みと捉えられてきました。しかし、日本は世界の中でも健康データの蓄積が進んでいる国のひとつと言われています。健康データの活用は、外向きにも使える大きなビジネスチャンスを秘めており、健康データがビジネスに生かせるかどうかは、Well-Being(健康・幸福)経営は「投資」である、という認識の広がりがカギになりそうです。

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