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帳票ツールとは?選ぶポイントと2023年おすすめの帳票ツールの紹介

         

帳票ツールとは?

帳票ツールとは帳票の設計、OCR(読み取り)、出力、編集、閲覧、管理などを備えたソフトウェア、およびクラウド上で動作するITサービスです。

帳票とは主に企業の活動内容を示す書類(伝票、帳簿)のことを指しますが、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)を重視する昨今においては、領収書や請求書をはじめ、様々な帳票の作成・管理が企業に求められています。

そのため複雑で多様な帳票業務の負担は増加しつつもありますが、適切な帳票ツールやシステムを導入することで、経理や財務といった業務だけでなく経営、新規事業の立案、マーケティングといったデータドリブンな企業運営にも活用することができます。

○帳票ツールの導入が進む理由

e-文書法」(2005年4月施行)や「マイナンバー制度」(2016年1月利用開始)等の法整備により、多くの企業が「電子帳票」を推進し続けています。これは紙帳票の保管・管理・ペーパーレス化によるコストカット、一元管理による検索・管理機能、帳票設計の簡略化などの業務効率の向上、セキュリティといった費用対効果の高い様々なメリットを企業にもたらしてくれるからです。

○帳票ツールの主な機能

帳票ツールには、帳票業務の様々なシーンを支援する機能を備えています。

  • 帳票設計(作成)
  • 帳票取り込み(紙帳票から電子帳票へ)
  • 帳票出力(プリンタ、PDF、Excel)
  • 帳票検索
  • 帳票編集
  • 帳票閲覧(パソコン、タブレット、スマホ)
  • 帳票管理(管理権限、マイナンバー消去、帳票廃棄、ライフサイクル設定)
  • 別ツール・システムとの連携機能

○帳票ツールを導入するメリット

・大幅な業務効率の向上
帳票ツールは増え続ける帳票を電子データとして一元的に管理するので、アクセス権限が許された範囲内であれば、閲覧、出力、作成、編集が場所や時間に依存することなく行えるので業務効率が大幅に向上します。

・コストカットの実現
帳票ツールでは、紙ではなく電子データで帳票を保存するため、保管・管理に強いられていたコストのカットを実現します。

・堅牢なセキュリティ
帳票ツールには帳票ファイル毎にアクセス権を付与することで閲覧者や使用者を限定する機能を備えています。またバックアップ、暗号化、文書改ざん禁止、ログや監視機能により、大切な帳票データをしっかり守ってくれます。

帳票ツールの選ぶ際のポイント

帳票の業務は設計、出力だけでなく、保守、管理、データ活用など多岐に渡ります。既存データの活用や別ツール、業務システムとの連携などの機能を備えたツールの活用は帳票の劇的な生産性の向上を実現してくれます。

ここでは帳票ツールの選定の際にチェックすべきポイントを機能毎に紹介させて頂きます。

○データのインポート仕様

帳票ツールには別ツールで作成したExcel、Word、PDF形式の帳票や既に蓄積した帳票のデータベースを取り込む(インポート)機能を備えています。今までExcelで帳票開発を実践していた企業でも過去の資産をスムーズに統合することができます。

○ユーザーインターフェース

帳票の作成、編集、閲覧などの操作画面のことです。プログラミングを必要とせず、マウスや必要最低限のキーボード入力で作業が完結できるGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)に対応した帳票ツールがお勧めです。

○デザイン・レイアウト設計

帳票の各フィールドを紙面に配置し、出力や閲覧時のフォーマットを設計する機能です。帳票の手早い作成を支援するテンプレートやイメージ通りに設計できる操作機能などはツールによって大きく違いがあるため、しっかり押さえるようにしましょう。

○ビジュアル化機能(グラフ、表)

帳票にはフィールドに記載する項目や数値だけでなく、視覚的に理解が得られやすいグラフや表の使用も有用です。これらを生成する機能を使用することでクオリティの高い帳票が作成できるようになります。

○出力、配信、配布

作成した帳票をプリンタで印刷したり、ExcelやPDFファイルとして出力したりする機能です。メールでの配信、FAXでの配布なども含まれます。出力、配信、配布機能が豊富な帳票ツールほど様々な利用シーンに対応できます。

○表示・閲覧

設計した帳票をパソコン画面やタブレット、スマホなどに表示、閲覧する機能です。様々な情報端末機器にマッチした表示画面を自動で生成してくれます。

○セキュリティ

帳票データに対し、ユーザー毎に参照、編集などの権限を指定することで情報漏洩から大切なデータを守ってくれます。暗号化や文書改ざん禁止といった機能に加え、アクセスログや監視機能などにより、不正なアクセスや操作が発生した場合、システム管理者にアラート通知する機能も備えています。

○コスト

帳票ツールの導入費用です。帳票ツールそのもの費用に加え、初期導入費用や年間保守費用なども発生します。帳票ツールの費用は製品一律、従量制(ユーザー数、データ容量)などがあり、導入する企業の事業規模に依存する傾向があります。

○サポート

帳票ツールの操作やトラブル等へのサポート体制のことです。急なトラブルに対するスピーディーな対応は帳票業務の効率低下のリスクを軽減してくれます。

2021年におすすめの帳票ツール トップシェア4選

SVF(ウイングアーク1st)

製品サイト

https://www.wingarc.com/product/svf/outline/what.html

紹介文

導入企業数23,000社以上、市場シェア率69%を誇る「総合帳票基板ソリューション」です。帳票設計を初め、各種ツールを組み合わせることにより、システム連携、印刷運用管理、帳票出力、メインフレーム帳票マイグレーション、他社連携ソリューションなど、あらゆるフェイズに活用される「帳票基盤」として利用されています。

特徴

  • 帳票開発分野での圧倒的な生産性
  • 多様な帳票作成環境を標準化し、帳票開発のプロセスを最小化
  • 最短・省力化される帳票設計のフローを実現
  • 多言語でのチャート生成とタイ語を含む8ヶ国語対応

製品ラインナップ

  • SVFX-Designer:帳票設計
  • SVF Web Designer:帳票設計
  • SVF Connect SUITE:システム連携
  • RDE SUITE:印刷運用管理
  • SVF Print SUITE:帳票出力
  • SVF PDF Enterprise:帳票出力
  • SVF File SUITE:帳票出力
  • SVF for TIFF図面:帳票出力
  • SVF Client:帳票出力
  • SVF for Mainframe:メインフレーム帳票マイグレーション
  • OpenBOST for SVF:他社連携ソリューション
  • SVF for System i:他社連携ソリューション
  • SVF for Oracle E-Business Suite:他社連携ソリューション
  • SVF for RV:他社連携ソリューション
  • SVF for FiBridge II/Java Edition:他社連携ソリューション

費用

非公開

開発元

ウイングアーク1st株式会社  


EUR(日立製作所)

製品サイト

https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/eur/index.html

紹介文

帳票の作成から、出力、運用、展開までトータルにサポートする多彩な機能をオールインワンで搭載している帳票ツールです。なお、EURはSVFを提供しているウイングアーク1stが資産を取得し、2020年を目処に「SVF」との統合を現在推進しています。

特徴

  • マウス操作でイメージどおりの「帳票作成」
  • データを準備して起動するだけの「帳票出力」
  • 大切な帳票データを守る「帳票運用」
  • 多言語対応によるスムーズな「帳票展開」

製品ラインナップ

  • EUR Developer:帳票作成機能、クライアント帳票出力機能、サーバ帳票出力機能
  • EUR Designer:帳票作成機能
  • EUR Viewer:クライアント帳票出力機能
  • EUR Server Enterprise:クライアント帳票出力機能、サーバ帳票出力機能、独自スプール機能
  • EUR Server Standard:クライアント帳票出力機能、サーバ帳票出力

機能

 
  • EUR Server – Cipher option:暗号化機能を使用する場合に必要なサーバオプション
  • EUR Server – Client License:クライアントPCのライセンスオプション

費用

  • EUR Developer:200,000円(税別)〜
  • EUR Designer :50,000円(税別)〜
  • EUR Viewer:15,000(税別)〜
  • EUR Server Enterprise:2,000,000円(税別)〜
  • EUR Server Standard:1,000,000円(税別)〜
  • EUR Server – Cipher option:50,000円(税別)〜
  • EUR Server – Client License:1,000,000円(税別)〜

開発元

日立製作所

【関連記事】
ウイングアーク1st、日立の帳票ソフト「EUR」の資産を取得し、2020年をめどに「SVF」との統合を推進
https://enterprisezine.jp/news/detail/10636


Interstage List Creator(富士通)

製品サイト

https://www.fujitsu.com/jp/products/software/middleware/business-middleware/interstage/products/listcreator/

紹介文

企業で使われる様々な帳票を簡単・きれいに設計・出力し、業務の効率化・スピードアップを支援する帳票ツールです。紙帳票などの帳票イメージを自動認識(OCR)して帳票レイアウトを自動生成することができ、また紙やPDF、Excelなどさまざまな媒体への出力に対応しています。QRコードなどの各種バーコードの埋め込みや、13言語に対応した海外現地語での帳票作成も簡単に行えます。

特徴

  • 表現力豊かな帳票を簡単に設計
  • 現場で利用しやすい形式で帳票を出力
  • 様々な環境や運用に柔軟に対応
  • あんしん価格/あんしんサポートで提供

製品ラインナップ

  • デザイナ:帳票レイアウト設計
  • Connector:分散出力環境(送信側)
  • Standard Edition:分散出力環境(送信、受信側)、
    紙/電子帳/FAX出力機能、クライアントPC経由のリモート印刷
  • Enterprise Edition:Standard Editionの機能、PDF/Excel/TIFFファイル出力、Web環境での手元印刷

費用

  • デザイナ:378,600円(税別)〜
  • Connector:248,500円(税別)〜
  • Standard Edition:532,500円(税別)〜
  • Enterprise Edition:1,538,200円(税別)〜

開発元

富士通  


OPROARTS(オプロ)

製品サイト

https://www.opro.net/products/service/OPROARTS/

紹介文

システムを選ばないドキュメント作成や、様々なクラウドサービスとの連携を思い通りに実現するクラウド帳票のドキュメントフレームワークです。帳票・カタログ作成、BIツール連携、CSVデータ、Excel、Word、PDF出力、OCRと連携した紙文書のデータ活用や、電子契約サービス連携による法的効力を持たせた文書管理など様々な機能を備えています。

特徴

  • ノンプログラミングでデータをハンドリング(ViewFramer)
  • WebAPI経由で膨大なシステムデータから
    様々なサービスへの連携を自動化(D3Worker)
  • 高品質なドキュメントデータを豊富なファイル形式で出力(Documentizer)

製品ラインナップ

  • Starter:年間出力ページ数 36000、データ連携容量 30GB/月、テンプレート数 100、帳票デザイナー、メール送信
  • Starter Plus:年間出力ページ数 75,000、データ連携容量 50GB/月、テンプレート数 150、Starter機能
  • Business:年間出力ページ数 200,000、データ連携容量 100GB/月、テンプレート数 200、Starter機能+らくらくExcel機能
  • Business Plus:年間出力ページ数 360,000、データ連携容量 120GB/月、テンプレート数 200、Business機能+Cloud Print、自動リクエスト機能
  • Enterprise Plus:年間出力ページ数 無制限、データ連携容量 200GB/月、テンプレート数 300、Business Plus機能+Business Plus
  • Private Plus:年間出力ページ数 無制限、データ連携容量 200GB/月、テンプレート数 300、Enterprise Plus機能

費用

  • Starter:初期費用 100,000円、月額利用料 30,000円
  • Starter Plus:初期費用 150,000円、月額利用料 50,000
  • Business:初期費用 200,000円、月額利用料 100,000円
  • Business Plus:初期費用 300,000円、月額利用料 150,000円
  • Enterprise Plus:初期費用 700,000円、月額利用料 380,000円
  • Private Plus:初期費用 2,000,000円、月額利用料 600,000円

開発元

オプロ


○導入実績が豊富な優良帳票ツール 16選

  1. Create!Form(インフォテック株式会社)
  2. CoReports(株式会社エイチ・オー・エス)
  3. Contents EXpert/Digital Form(NRIセキュア)
  4. Docurain(ルート42株式会社)
  5. EdiGate/POST(大興電子通信株式会社)
  6. FILIST SYSTEM(株式会社イーバイピー)
  7. FiBridgeII(JFEシステムズ株式会社)
  8. LinkPrint CLOUD(TB株式会社)
  9. OCRデザイナー(株式会社ユニオンシンク)
  10. OZ Report(日本フォーシーエス株式会社)
  11. Pandora-AX(株式会社NTTデータビジネスブレインズ)
  12. Paples(日鉄日立システムエンジニアリング株式会社)
  13. CrystalReport(SAPジャパン社)
  14. FineReport(ファンランソフトウェア株式会社)
  15. Zoho Invoive(ゾーホージャパン株式会社)
  16. ActiveReports(グレープシティ株式会社)

まとめ

増え続ける企業の帳票業務を支援する「帳票ツール」についてと導入の際に選ぶポイント、そして2020年でおすすめの帳票ツールを紹介させて頂きましたが、「帳票ツール」が企業にとって多大なメリットをもたらしてくれることをご理解頂けたでしょうか?

最後に今回紹介させて頂いた要約をまとめとして、以下に記載させて頂きます。

  • 「e-文書法」(2005年4月施行)や「マイナンバー制度」(2016年1月利用開始)等の影響により、企業の帳票業務は複雑化が進んでおり、それに伴い業務量も増加し続けている。

  • 「帳票ツール」とは帳票の設計、OCR(読み取り)、出力、編集、閲覧、管理などを備えたソフトウェア、およびクラウド上で動作するITサービスで、2020年現在、ウイングアーク1st社の「SVF」をはじめ、20製品以上市販されている。

  • 帳票ツールは「帳票設計」、「帳票出力(プリンタ、PDF、Excel)」をはじめ、業務効率を向上させる様々な機能を備えており、コストカットや堅牢なセキュリティといったメリットも企業にもたらしてくれる。

  • 帳票ツールは製品によって強み、弱みがあり、選定の際には、機能毎のトレードオフに加え、「コスト」や「サポート」を配慮して選定すると良い。
 
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