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最近何かと話題になることの多い地球温暖化。2019年9月の国連気候行動サミットで話題を呼んだ、16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんの演説は記憶に新しいのでは。日本でも近年の激しすぎる台風などは温暖化の影響と言われ、いよいよ実害が出る身近な問題となってきました。
筆者の住むドイツ・ベルリンでも毎週のように温暖化関連デモが開かれています。2019年9月のサミット後、ドイツのメルケル首相は高まる国内の声に応える形で6兆円規模の気候変動対策が発表しました。
ところ変わって日本。ドイツと同様に自動車産業が盛んな日本では、すでに自動車製造に応用できるエコな新素材が実用化間近だと言います。いったいどんな素材なのでしょうか?
その素材を使用したスーパーカー「NCV(ナノセルロースヴィークル)」が、東京モーターショー(2019年10月〜11月)の環境省ブースで展示され、話題となりました。来場した小泉環境大臣が、ボンネットを片手で持ち上げて素材の軽さをアピールしてみせました。
車体に使用された「セルロースナノファイバー」と呼ばれるこの超軽量素材は、鉄の5倍の強度を持つ一方、重さは鉄の5分の1。まるで夢のようなこの素材、原料は何だと思いますか?
それは実は日本の国土の7割を占める「木」なのです。約40年間に渡りセルロースナノファイバーの研究開発を続けてきた矢野浩之教授(京都大学)は、以下のように説明します。
「セルロースナノファイバー(CNF)とは植物に含まれる数十nm(ナノメートル)の極細繊維のことで、肉眼では確認できないほど細かい繊維です。直径は髪の毛の数万分の1ほど。木材をチップ化し、次にパルプを特殊な薬品でほぐしナノレベルまで細かくして製造します」
(環境省You Tubeチャンネルより)
それにしても、通常は割れやすい木材が鉄の5倍の強度を持つというのは、どういうトリックなのでしょうか?
「パルプを薬品でほぐす過程で、セルロースナノファイバーの表面をプラスチックと親和性の高いものに加工し、溶かしたプラスチックと混ぜ合わせてCNF複合プラスチックを成形します。このとき繊維状のセルロースナノファイバーがプラスチックの強度を上げてくれるのです」
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