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そもそも事の原因は

そもそも日本の基幹系システムというのは、2000年代初頭から推し進められてきたデジタル化の中で、随時エンジニア達によって集中処理型システムにツギハギされてきたものが中心。そのためいわばブラックボックス化しており、データ移行や体系化のためのマップを作ろうとしても手が付けられない状態です。

さらに、システムのベンダー側の思惑も絡んでいます。専門的なエンジニアを自所で多数抱えるとコストがかさむため、ほとんどのユーザーは自社のシステム構築をベンダーに外注しています。ベンダーとしては、ユーザーにはカスタマイズできないシステムを構築すれば永遠に自分のところに仕事が回ってくるわけですから、当然クローズドシステムを構築します。こうしてブラックボックス化が進行します。

このベンダー以外の他者と情報が共有されないクローズドシステムは、「ベンダー・ロックイン」と呼ばれます。地方自治体のシステムはベンダー・ロックインだらけだと言われています。DXの推進はもちろんベンダー・ロックインの解除が前提ですが、自社の首を絞めることになるためベンダーが率先してロックイン解除に取り組むことはないでしょう。

このような状態では、基幹系システムをイチから作り直す方が容易だと考えられています。しかし、新しい基幹系システムを構築するためのリーダーを選び、ある程度全体に共通するスキームを取り決めるところからの話になるため、多額の投資と人材が必要で、政府や企業が刷新に着手するのを先延ばしにする原因となっています。

じゃあもう日本はガラパゴス化して滅びるしかないの?

このまま何もせずに座して2025年を待てばそうなるかもしれませんが、経産省はさすがにそれではまずいと考えてDXレポートを発表したわけです。経産省としては、法律で規制をかけてでもDXを推進していく構えです。

この法律は各企業について強制力を持つものでないといけないため、これまでの「IT基本法」や「情報処理促進法」のようなデジタル化促進のための環境整備のための法律とは違い、チェック機能を持つことになるでしょう。

例えば、基幹系システムの根本改革をコーポレート・ガバナンスやコンプライアンスのように企業が遵守するべき法規として整備しようとする動きがあります。こうすることでユーザー・消費者の企業に対する信用度を担保に入れるわけです。

数兆円にのぼると言われるDXコストがこの先どう国家予算に計上され、どう振り分けられるのかも興味深いポイントです。

参考記事
経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」
《2025年の崖》があぶり出すのは「適正な経営と投資」の問題
「2025年の崖」で12兆円の経済損失、経産省が報告書

佐藤ちひろ


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