About us データのじかんとは?
企業のDX推進、個人の生活の質の向上などでますます利便性の高いサービスが登場し続けているクラウドサービス。
クラウドサービスは、外部のネットワークに繋がっているデータサーバーやアプリケーションサーバーから提供されるブラウザライクのものあれば、任意の言語やプログラミングでアプリを構築するための環境でもあるため、利用する側の立場によってメリット、デメリットが大きく異なります。
コンピュータやスマホといった情報端末を繋ぐインターネットは、通信網(ネットワーク、インターネット)、中継機器、サーバーで構成されています。
「クラウド」とは不明確でモヤモヤとした雲のような塊を意味する英単語ですが、インターネットは複雑かつ巨大で、まるで雲のような塊・群に似ていることから、IT分野ではいつからか、これらを「クラウド」と呼ぶようになりました。
また「クラウド」は、インターネットを介して遠隔で使用するシステム、ツールを指すこともあり、ITに関わる立場(利用者、開発者、工事者)によってこの言葉の捉え方が異なります。
そのため、混乱を避けるために、クラウドを利用する人向けに提供されるツール、システムを「クラウドサービス」という場合があります。
クラウドサービスは基本、アプリやツールとしての機能、処理をクラウド上に設置されているサーバーが担っています。
そのため、端末のPCやスマホには、ディスプレイ表示、操作といった必要最低限の負荷とリソースで大規模かつ高機能なアプリ、ツールを使用することができます。
クラウドサービスはインターネットを介して利用するシステムやツールで、企業から個人に至るまで様々なサービスが提供されています。
企業であれば、経理、人事、総務などの管理業務を行うためのソフト、個人であれば自身がデジカメで撮影した写真データを保存するためのオンラインストレージやWEBメールなどがその代表格です。
昨今、企業ではヒト、モノ、カネとビジネス戦略を紐づけるためのDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進しており、既存のPCツールによる業務運用からクラウドツールへの差し替え、導入を積極的に進めています。
個人に至っても従来のPCツールのクラウド化はもとより、データを保存するためのストレージやコンテンツ視聴するための機器・メディアがクラウドサービスで提供されており、充実したエンタメが人気を集めています。
クラウドサービスではアプリ・ツールをインストールするための機器を購入することなく、必要な時に、必要な機能を手軽に、しかも比較的リーズナブルに利用できることから企業、個人にとって利便性の高いサービスが増え続けることが期待されています。
Microsoftが提供するクラウドサービスであるOneDriveのように、企業、個人問わず使用されているアプリと企業の特殊な業務に特化したアプリとでは、データをやり取りに使用する通信網が大きく異なります。
OneDriveの場合、企業の外部にあるデータセンターに広域ネットワークを使用してアクセスするため、どうしても高速性が損なわれます。
これはあらゆる人があらゆる場所からそのクラウドサービスが利用できるという利便性によるもので致し方がないのですが、スピードを重視する企業の業務では生産性を律速させてしまうので“オンプレミス”というデプロイ方法で対処しています。
オンプレミスとは情報システムのハードウェアを自社内に設置・導入し、アプリ、ITツールを運用するデプロイ方法です。
通信技術の進歩、インフラの整備などはクラウドの規模を膨張させ、昨今のような利便性の高いクラウドサービスを実現してきましたが、2020年からさかのぼって15年くらい前までのシステム、ITツールはオンプレミスによる運用が一般的でした。
オンプレミスは、自社専用のクラウドサービスのようなもので、高速回線が敷かれている自社内にデータセンターやアプリケーションサーバーが設置されているため、通信の輻輳に巻き込まれることなく快適な社内業務を実現してくれます。
企業内でのみ使用するツール、業務システム、会議システム、メールサーバーなどはオンプレミスで運用されており、またこれらの多くは機密情報や個人情報も取り扱うため、セキュリティ対策としても役割も担っています。
オンプレミスは、利用規模の大きさ、セキュリティの堅牢性にメリットはあるものの、機器、インフラの購入、設置、保守、運用といった負担が強いられることが大きなデメリットになります。
様々なクラウドサービスが登場してはいるものの、先ほども申し上げたように、機密性、高速性の問題上、オンプレミスの役割を全てクラウドサービスに置き換えることは現状難しく、多くの企業は役割分担を配慮しながらクラウドサービスとオンプレミスを併用しています。
クラウドにはパブリッククラウドとプライベートクラウドがあります。
パブリッククラウドは、専用のハードウェアなどを所有することなく、企業、個人問わず、どなたでも、いつでもどこでも自由にアプリ、ITサービス、サーバーなどが利用できるサービスです。
一方、プライベートクラウドは、企業が専用のクラウドを構築し、企業の各部署やグループ会社など、利用者を限定したクラウドです。
プライベートクラウドには、先ほど紹介したオンプレミス型(所有)とホステッド型(利用)があります。
ホステッド型は企業がハード、インフラを持たず、クラウド事業者に提供してもらって利用するクラウドです。
そのため、機器の購入、社内環境の構築、インフラの保守・管理・運用の負担が強いられることなく、企業の用途、目的にマッチした柔軟なクラウドを導入できる点がメリットになります。
なおオンプレミス型と違い、社外の広域通信網を使用してアクセスするため、リアルタイムに大容量のデータを取り扱う科学技術計算などにはホステッド型は不向きです。
経理、帳票といった業務システムの多くは、ホステッド型のクラウドで運用していますが、日中はデータの蓄積にリソースを割り当て、集計、分析といった処理は終夜に集中して行うようにすることで負荷分散しています。
バックオフィス関係のデータが翌日にならないとシステムに反映されないのはなぜ?と常日頃感じている人は大勢いらっしゃると思いますが、これはホステッド型のクラウドの多くがこのような形態で運用しているからです。
クラウド事業者は、利用する側の目的、用途に沿えるようにサービスをタイプ分類した形で提供しています。
クラウドで利用するアプリケーションソフトを提供するサービス
アプリケーションソフトを稼働するためのデータベースやプログラム実行環境を提供するサービス
情報システムの稼働に必要な仮想サーバーやハードディスク、ファイアウォールといったインフラを提供するサービスSaaS、PaaSはパブリッククラウド、PaaSはホステッド型のプライベートクラウドに分類されます。クラウドの種類・タイプについては、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひ併せてお読みください。
さて、ここまではインターネットを介して使用するアプリやITツールの運用環境、サービスの提供方法の違いについてご紹介しました。
オンプレミス型、パブリッククラウド・プライベートクラウド、タイプ(SaaS・PaaS・IaaS)とクラウドサービスは様々な形態で提供されているため、現状、どの形態でアプリやITツールを運用しているかによってメリットも変わってきます。
例えば現状PaaSを利用しているがそれに相当するSaaSを導入しようとしている企業とオンプレミス型で全てのアプリ、ITツールを運用している企業とでは得らえるメリットが大きく異なってきます。
クラウドサービスは企業や個人が利用するアプリ、ITツールを基本+拡張(オプション)といった形で提供しているため、目的や用途に合わせて自由に選択することができます。利便性の高い様々なサービスがソフトウェアベンターやクラウド事業者から提供されており、これらを利用することで自社の業務効率の向上やアプリ、ITツールの開発、運用に強いられていた負担の軽減を実現してくれます。
クラウドは企業の従業員の情報端末と繋がっているので、データやスケジュールなどが共有でき、業務効率や働き方の柔軟性を向上してくれます。データやスケジュールは、サーバーに置かれたファイルをただ参照するのではなく、クラウドツールを介して適切に管理・集約・表示してくれます。
昨今の新型コロナウイルスの対策で急速に広まったテレワークZOOMやTeams(Microsoft)をはじめとするクラウドサービスは最適なプライベートオフィスを提供してくれます。企業の業務に使用するBI、CRM、SFA、帳票といったツールもクラウドで利用できるため、場所を問わない働き方を実現してくれます。
タイプにもよりますがクラウドサービスは、基本的にアプリやITツールを稼働させるための環境の構築を必要としないため、簡単に利用することができます。
クラウドサービスは、アプリやITツールを稼働させるための機器やインフラを構築することなく、ソフトウェアを購入するイメージで利用できます。そのため機器やインフラといった設備の購入費だけでなく、保守や管理といった人件費も削減することができます。
オンプレミスでアプリ、ITツールを運用している企業では,常に快適な状態でユーザーが利用できるよう専任の管理者を設けています。クラウドの運用、保守、管理には知識だけでなく、迅速にトラブルに対処できる問題解決のスキルも求められるため、専門性の高い人材を必要とします。オンプレミスの運用は労力的な負担も大きいのですが、クラウドを利用することによってこのような問題を一掃することができます。
オンプレミスでアプリ、ITツールを運用する場合、サーバーやバックアップのための機器を用意する必要があり、それらを設置するためのスペースが必要になります。大企業であれば専用のデータセンターやサーバー室があるため、スペース上の制約は個人や中小企業に比べて少ないのですが、様々なツールを使う開発系の個人事業主の多くは、サーバーや機器の設置に頭を抱えています。
クラウドサービスは使用する人数、機能、リソース(CPU、メモリ、記憶容量)などをケースバイケースで増減できる仕組みを備えています。使用者の増減、業務規模の拡張・縮小に適宜対応でき、またこのような仕組みは適切なラーニングコストでの運用も実現してくれます。
クラウドサービスでは大切なデータを外部のサーバーに保存しています。そのため、万が一、自社が災害に見舞われてもデータを失わずに済みます。また、クラウドサービスでは、データを複数の拠点でバックアップしているため、万が一、クラウド事業者が被災してもデータを失うことはありません。
クラウドサービスはクラウド事業者が定めるルールやもともと備わっている機能の範囲内で運用することが前提のため、細かいところまでカスタマイズすることができません。後述の連携性などにも関わることですが、自社にあった最適な環境を構築できず、使用者にとって複雑で扱いにくい業務プロセスを形成してしまうことも珍しくありません。
クラウドサービスには企業の重要な機密情報や個人情報などが保存されています。そのため常にハッキングの対象となっており、セキュリティの脆弱性をついてデータが流出してしまう恐れがあります。
またパブリッククラウドでは、一つのシステムを不特定多数のユーザーが共有して使用するため、何らかの方法で取得したアカウントを用いてユーザーになりすますし、不正にデータを漏洩させてしまう可能性も否定することはできません。
インフラにおいては、ファイアウォール、WAF、IDS/IPS、セキュリティプロトコル(暗号化・認証)などの対策は導入していますが、未知のウイルスには対応できないこともあるため、完璧とは言えません。
企業の業務は他のシステムやITツールを連携させることで効率を大幅に向上させることができます。ただクラウドサービスの場合、同じベンダー同士のアプリやITツールとの連携性は配慮されているものの、他社製との連携は配慮されていないことも珍しくはありません。
ベンダーが異なるクラウドサービスをURLのリンクで無理やり連携させたりするなどして、ウインドウが何度も切り替わったり、シングルサインオンに対応しておらず、その度にパスワードの再入力を求めるような運用をしてしまっている企業も少なくはありません。
クラウドサービスを提供している事業者側のうっかりミスでサービスが利用できなくなることは実は少なくありません。
システムを再起動するにも企業側で対処できないため、クラウド事業者側の対応を待つことになりますが、場合によっては復旧に数日間、要する場合もあります。
また上記のようなトラブルだけでなく、サービスそのものが終了してしまう可能性も0ではありません。
クラウドは現状のアプリ、ITツールの運用形態、利用しているクラウドサービスのタイプによって導入時の選定ポイントが変わってきます。
利便性が高く、費用もリーズナブルなクラウドサービスが登場したからといって安易に導入してしまわずに、全社的に連動して活用することを想定して選定するのもポイントの一つです。
自社では構築が困難なクラウドサービスが続々と登場しています。人手を必要としない紙関係の業務やコミュニケーションツール等、ネクストノーマルの世の中を実現するクラウドサービスが続々と登場し続けています。
主機能が同じクラウドサービスが複数あるため、どのクラウドサービスを選べば良いか?といったことが選定の際の懸念事項になります。実現できることは同じなものの、微妙な操作などがストレスになってしまうことがあるため、企業の推進・導入担当者はまず、お試し期間などでトライアルしてみることをおすすめします。
クラウドサービスは機器やインフラ、保守、トラブル対応を必要としないため、利便性の高いアプリ、ITサービスをリーズナブルに使用することができます。ただ、費用形態としては(基本利用料+オプション)×使用者数になるので、数万人規模の大企業では、自社のオンプレミスの運用より高くなってしまう場合があります。また費用が抑えられているサービスは、拡張性や連動制が乏しい可能性もあるので、DX化の妨げにならないことも配慮するようにしましょう。
クラウドは利用する人数、機能によって必要とする処理能力やハードウェア的なリソースが異なってきます。これらが比較的、簡単に変更できることは、快適に業務を行うことにおいて実はかなり重要です。またクラウトツールの多くは単機能なものが多いため、他のツールとの連動制を配慮し、ラインナップが豊富なベンダーを選定することも大切です。フレキシブルな拡張はコストの削減にも繋がりますので、料金形態と併せて確認しておくと良いでしょう。
今回は、クラウドサービスのメリット、デメリットを企業観点で紹介させて頂きましたが、活用、選定、導入に向けたポイントをご理解頂けたでしょうか?
最後に今回紹介させて頂いた要約をまとめとして、以下に記載させて頂きます。
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