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なにはともあれ、西野ジャパン、決勝トーナメント進出おめでとう!
日本代表は1998年フランス大会以降、ワールドカップには6大会連続で出場しているが、決勝トーナメントまで進んだのは2002年日韓・2010年南アフリカ、そして今回で3回目となる。50%の確率で決勝トーナメント進出を果たしていることになり、アジア勢では最多回数となる。ちなみに自国開催だった02年日韓のトルシエ監督を除けば、いずれも日本人監督でグループリーグ突破している。もちろんその間の外国人監督の功績もあると思いますが、少し気の早い話をするとこの大会後の監督が誰になるのかが楽しみだ。
日本はセネガルと1勝1分1敗勝ち点4、そして得失点差までも同じという成績だった。その場合は、どのように順位が決められるのだろうか。
グループリーグの順位は、次の条件で上から順番に決定される。
(1)全試合の勝ち点(勝ち3点、引き分け1点、負け0点、今回の場合は日本・セネガル共に4点。)
(2)全試合の得失点差(相手チームに取られた得点の総計。日本・セネガル共に4点。
(3)総得点(決めた得点の総計。日本・セネガル共に4点。)
ほとんどの場合であれば、ここまでで上位2チームが決まるが、今回の場合はここまで同点だったため、下記の条件が適用された。
(4)同点のチーム同士の試合の勝ち点(今回の場合、日本対セネガル戦は引き分けだったためこれも決定打とはならず。)
(5)同点のチーム同士の試合の得失点差(同様にこれも決定打とはならず。)
(6)同点のチーム同士の対戦での得点(同様にこれも決定打とはならず。)
(7)フェアプレーポイント(日本はマイナス4ポイント、セネガルはマイナス6ポイント。)
(8)抽選
今回決め手になったのは(6)のフェアプレーポイントという制度だ。これは今大会から新しく導入された。イエローカード・レッドカードが出るたびに減点となる。減点のルールは以下の通りだ。
イエローカード一枚目:マイナス1点
イエローカード2枚で退場:マイナス3点
レッドカード(一発退場):マイナス4点
イエローカードを受けた選手がレッドカードで退場:マイナス5点
今回のケースでは、日本はイエローカード4枚でマイナス4ポイント、セネガルがイエローカード6枚のマイナス6ポイント、わずかイエローカード2枚分で決勝トーナメントへの切符を手にしたことになる。フェアプレーポイントも同じだった場合は、抽選によって順位が決定されることになる。フェアプレーポイントもそもそも賛否両論あるルールだが、さらに抽選となってくるとその前に行われた試合はなんだったのか、という気がしないでもない。
実際に、セネガルサッカー協会はFIFAに対し「日本のプレーに対してペナルティーを科すべきだ」と抗議し、フェアプレーポイントのルール見直しを求めている。
ともあれ、この試合の統計データを振り返ってみよう。
まず、ボール保有率は日本が54%、ポーランド46%と日本が少し上回った。
コロンビアが先制したという情報が入った後半残り10分、1−0とポーランドにリードを許していたにも関わらず、日本代表はあえてゴールを目指さず、DFラインでのボール回しに徹した。これがフェアプレーポイントを死守するためのプレーだと考えると、斬新なアイロニーを感じざるを得ない部分もあるが、リードしていたポーランドもあえてボールを追いかけることをしなかったため、パス数も日本557本(うち成功478本)・ポーランド462本(うち成功382本)と偏りを見せている。パス成功率は日本が86%・ポーランドが83%と両チームともやや低調気味だった。先発6人を変えた西野監督の采配が影響しているのかも知れない。ポーランドはグループステージ3試合平均でも83%と振るわず、本来のサッカーができていたとは言い難いのではないだろうか。
この日のサプライズでスタメン、しかもサイドハーフに入った酒井高徳は走行距離で柴崎岳10.818km、山口蛍10.489kmに次ぐ10.481km。役割としてはやはり前線からのプレスだったのかも知れないが、ゲームを組み立てるという意味では、酒井高徳と柴崎岳のパス交換は2回、山口蛍とは3回と、この3人の連携は芳しくなく、徐々に攻め手を失うゲーム展開となった。
シュート数はブロックされたものも含めると、前半いくつかチャンスを作った日本が放ったシュートは10本、枠内が3本。ポーランドのシュート数は11本、うち枠内が2本だった。セネガル戦でのパンチング失点が非難の的となった川島が汚名返上のビッグセーブを見せたが、もう一本は残念ながらチームとしてセットプレーの対応が悪く失点に繋がった。
ゲーム後半、ポーランドによる最終ラインからのロングパスとカウンターがうまく機能し始めていたことを考えると、日本がパス回しをしていた最後の10分に日本が積極的に点を取りに行った場合、逆に追加点を取られていた確率は、決して低いものではなかったようにも思える。追加点を取られる確率、イエローカード、またはレッドカードを受ける確率、日本がゴールを奪う確率、西野監督の采配はこれらを天秤にかけて導き出した答えだったはずだ。
いずれにせよスタメンの大幅な変更、後半残り10分のパス回し、など西野監督の大きな賭けは成功したと言えるだろう。難敵がそろうグループを1勝1分け1敗で突破したことは、期待以上の出来だ。
次の戦いは初のベスト8を賭けた挑戦になる。
相手は現在、 4ゴールを決め得点王争いで2位につけているFWルカクを擁し、今大会最多の9ゴールを決めているベルギーだ。ルカクは第2戦チュニジア戦で足首を痛め、第3戦イングランド戦は欠場したが、日本戦には出場予定だ、と6月29日にマルティネス監督が明らかにした。グループステージ、チュニジア戦では驚異の7ゴールで、これも今大会最多となっている。
2002年日韓ワールドカップで日本が初めて勝ち点を挙げた相手がベルギーだった。過去の戦績を見ると2勝2分1敗と五分五分の戦績だが、過去のデータは全く当てにならないと言ってもよいほど現在のベルギーは黄金期を迎えており、FIFAランク3位というのも大きくうなずける。
だが、予測不可能なのことがワールドカップの醍醐味だ。ポーランド戦の戦略的敗北、という指揮が正しい選択だったことを証明するためにも、コロンビア戦の勝利に続き、西野監督率いる日本代表がもう一度世界を驚かせてくれることを期待したい。
6月30日にフェアプレーポイントの差でグループリーグ突破を逃したセネガル出身の審判がこの試合を担当することも発表され、色々な面から話題性が高い試合となりそうだ。日本・ベルギー戦のキックオフは7月2日の早朝3時、とファンの熱心さが試される時間帯ではあるが、日本列島が歓喜の声で目覚めてしまうような白熱した試合を心待ちにしている。
(マシタアツシ)
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