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働き方を改革し、多様性を活かして新たな価値を創出する取組みが企業で活発化する。
その一方で、自社組織内だけの活動では閉塞感を抱き、イノベーションにつながらないジレンマが指摘されている。
この解を導くために2017年9月、株式会社フューチャーセッションズ株式会社スノーピークビジネスソリューションズがトークセッションを主催した。渋谷if spaceに多様な業種の企業やNPO団体で働き方改革に取り組む参加者約30名が集い、組織変革へのアプローチを模索するトークセッション&ワークショップ「オープンコラボレーションの未来」が開催された。その過程を綴るレポートを通じて、10年後の企業のあり方と働き方の未来像を共有したい。

あるべき未来の姿からのイノベーション

焚き火をモチーフとしたオブジェを、輪になって参加者たちが囲む。まるでキャンプファイヤーを連想させる会場の中央から、ファシリテーターを務める株式会社フューチャーセッションズ 上井雄太さんが、セッションの趣旨を語りかける。

仮想キャンプファイヤーの輪を囲みファシリテートするフューチャーセッションズ 上井雄太さん

「働き方やイノベーションを考える時、私たちは過去のデータや実績から組織内で実現可能な方法を選択する“forecasting”の姿勢で臨んできました。これでは、現在を超える変革を導くことはできません。あるべき未来の姿を描き、そこから今為すべきことを考える“backcasting”のスタンスこそが求められているのではないでしょうか。本日のセッションを通じて、未来思考のイノベーションを体感してください」

“自然と、仕事が、うまくいく。”

実際に参加者がワークショップに臨む前に、セッションを共催する株式会社スノーピークビジネスソリューションズ エバンジェリスト岡部祥司氏によるインスピレーショントークが行われた。

「イヌ→Dog、ネコ→Catとすぐに英訳できても、カッパと言われてRaincoatはなかなか想起できません。慣習に支配されやすい人間が新しい視点を得るためには、発想を転換する場と機会と仕組みが必要になります」

アウトドアで“つながり方を変える”ことを提案するスノーピークビジネスソリューションズ 岡部祥司さん

スノーピークビジネスソリューションズは、“オフィスを変え、働く場所を変え、つながり方を変える”ことを提唱する。閉鎖的なオフィスから飛び出し、自然を感じながら会議や仕事の仕組みを変える。アウトドア型のワークスタイルで組織を活性化する各種のサービスやプログラムを提供している。

「スノーピークビジネスソリューションズは、アウトドアライフによる“人間性の回帰”をドメインとする株式会社スノーピーク と、“人と人のつながりができていないのに、システムだけつなげてもうまくいくはずがない”と疑念を抱く株式会社ハーティスシステムアンドコンサルティング代表の村瀬亮がコラボレーションして生まれた会社です。新しい価値は技術革新よりも、人と人のつながりから生まれてくるものと私は考えます」

“外”の世界と“新結合”するための場づくり

株式会社ファイアープレイスは、プロジェクトごとに建築士やデザイナーなどの協働パートナーを募り、人が集まる「場」づくりを行う事業を展開する。

「人は昔から火を囲み、多様な人々と語り合う時間を大切にしてきました。火がある場所に人は集い、そこから新しいコミュニティが生まれます。他者との出会いが、新しい価値を生み出す機会となります

他者と“新結合”できる場づくりが大切と語る ファイアープレイス 渡邊知さん

自分らしい働き方を見つめるSELFTURN Re Sortプロジェクトのメンバーでもある渡邊知代表のトークは、“つながりを変える”仕組みを具体的に提示する。

企業戦士として働く限り、時間を給与に等価交換しているに過ぎません。これでは、人生が不動産化してしまいます。価値を創出する人生を歩むためには、既存の組織やコミュニティの枠組みから越境し、積極的に“外”の世界と“新結合”していく場が求められます」

“対話”と“協働”がイノベーションを誘導する

インスピレーショントークの最後にフューチャーセッションズ 有福英幸氏から、ワークショップに臨む参加者に向けてメッセージが送られた。

“対話”と “協働”が未来思考につながる フューチャーセッションズ 有福英幸さん

フューチャーセッションズは、“対話”と“協働”をモチーフとした未来思考のプラットフォーム「Future Session」を提起し、企業や行政機関、NPO団体、市民の壁を越えた外部ネットワークと連携して、組織変革や街づくりなどの協調アクションを推進する。

「企業や社会が抱える課題は、“自分ごと”に捉え直すことから解決の糸口が見えてきます。“自分が本当にやりたいことは何なのか”。その想いを他者に発信し、“対話”を通して互いに共感し合うことから、“新結合”が生まれます。共感し合う他者が互いに刺激を受けながら“対話”し、あるべき未来の姿を“協働”する作業の中から、組織や社会を変革する新たなイノベーションが創出されます。オープンなコラボレーションが持つパワーを、ワークショップで体感してください」

“外”の世界と触れあうことで、未来の可能性を広げる

“外”の世界との接触が、イノベーションのレンジを広げていく。そのメカニズムを、参加者はワークショップで強く確認する。

フューチャーセッションズが提唱する“対話”のメソッド「フィッシュボウル」を適用し、キャンプファイヤーに見立てた内側の円陣で4人のメンバーが「10年後に広がるオープンコラボレーションの姿」を模索する。円陣を囲む参加者の輪からは、メンバーと交代して自由に会話に加わることができるルールの中で、ファイアープレイス 渡邊氏がはじめに投げかけた「10年後は人間が信頼関係さえ構築すれば価値交換で暮らせる社会が実現するのでは」という問いかけが、大きな広がりを見せていく。

  1. 「企業も、部署単位ではなく個人に投資して新事業を行う組織形態に変わる」
  2. 「信用は過去の成果に対する価値だが、信頼は未来に対する期待。企業内で価値交換できるかは、その人が企業の中で信頼関係を構築できるか」
  3. 「シェアハウスの中でも価値交換は成立する。場を維持するという共通目的のために信頼関係は構築される」
  4. 「信頼関係は地域社会でも求められる。価値交換できる他者とつながる仕組みが大切」
  5. 「高齢者世代のコミュニケーション力は高い。この世代とコラボレーションが鍵になる」
  6. 「昔の町内会のような世代を超えたコラボレーションが、世界中の街で実現したら面白い」

場を囲む輪から、イノベーションのレンジが広がる

“対話”と“協働”が、未来の姿を具体化する

「フィッシュボウル」で描かれた「10年後に広がるオープンコラボレーションの姿」は、“協働”のメソッド「マグネットテーブル」で、より具体的なビジョンへと結実する。

30名の参加者が「自分が取り組みたいオープンコラボレーション」をA4用紙に記入し、響き合うものを感じる他者とともにチームをつくる。その後、チーム内でブレーンストーミングを行い、一枚の模造紙上にビジュアル・ストーリーとしてまとめてチームが目指す「オープンコラボレーションの未来像」を発表する。

組織の“外”で自由に他者と“協働”することが、新たな価値創出につながる

個人の「想い」から「問い」を発し、「想い」を共有する他者とともに“対話”を繰り返し、新たな価値を模索する“協働”する。その作業の中で、多様な「10年後に広がるオープンコラボレーションの姿」が描きだされていく。
この日、渋谷if spaceには、5つの新たなイノベーションが提起された。

  1. 近隣でおかずを貸し借りするように、企業も人材や資材を気軽に交換しあう。近隣に存在することが1つのプラットフォームになる時代がやってくる
  2. 都会、海、山に暮らす人々が互いに働く場所を変え、新しい刺激を受けながら新しい価値を創造する社会が実現する
  3. 日本独自の技術・価値を持つ企業と日本に関心を持つ海外企業・ユーザーが、WIN-WINのクロスボーダーを成立させる
  4. 休眠する地域施設(公園・学校・公民館)を活用し、企業で働く住民がビジネスのノウハウを地域コミュニティに公開。町内会単位での起業・利益創出を目指す
  5. LinkedInアプリに、自分が実現したい生活をサポートする人材を探す仕組みを構築。人々が交流しながら生活のクォリティを高める社会を実現する

“外”の世界から、10年後の未来を変えていく

セッションの最後にファシリテーターの上井氏が、あるべき「オープンコラボレーションの未来」を呼びかける。

「組織の“外”で自由に他者と“協働”する時、私たちは新たな“気づき”の中から創造性あふれるイノベーションを起こしていくことが可能になります。オープンなコラボレーションにより得られる“気づき”を、今日この瞬間だけで終わらせず、私たちの未来を変えるアクションへとつなげていきましょう!」

フューチャーセッションズ、スノーピークビジネスソリューションズ、ファイアープレイスは、「OPEN COLLABORATION CAMP ×SELF TURN Re Sort@岡崎」を共催する。
研修費補助・交通費補助など本気でイノベーションを考える担当者の補助も手厚い。

総務省が推進する「リノベーションまちづくりによる新たな働き方と地域人材の創出を可能とするためのサテライトオフィス事業」と連携したセッションは、岡崎市のアウトドア空間でキャンプファイヤーの火を囲み、地域の人々と“対話”を重ねる中で新たなイノベーションを創出し、“組織の外で自由に他者と協働する場”を自然のダイナミズムの中に実現する。
働く場所を変え、人のつながり方を変えるオープンなコラボレーションが、10年後の企業のあり方と個人の働き方を変えていく。

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