マーケティングとデータは密接に関わっており、特に成長の著しいデジタルマーケティングの領域では、データドリブンであることが不可欠といっても過言ではありません。
そんなマーケティング×データの領域で注目したいキーワードのひとつ「インテントマーケティング」を皆さんはご存じでしょうか。
インテントマーケティングとは何か、どのようなメリットがあるのか、どのように実践すればよいのかを本記事で丸ごと押さえましょう。
インテントマーケティング(Intent Marketing)とは、ターゲットの意図や関心(インテント)を特定し、それに基づいてパーソナライズされたマーケティング活動を展開する手法です。
消費者のインテントを理解するにあたって活用されるのが検索エンジンでのキーワード検索やウェブサイトでの行動、ソーシャルメディアでのインタラクションなどから得られる「インテントデータ」。これは、行動データの一種であり、「過去」の蓄積である行動データを「現在」の意図・関心へと転換するのがインテントマーケティングの肝といえるでしょう。
インテントマーケティングの代表的なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・インテントに着目することで、今まで気づけていなかった/アプローチできなかった見込み顧客の発見につながる
・行動データを現在の購買意思・意図につなげることでマーケティングの精度が高まる
・消費者のニーズに応じた適切なタイミングで、適切なメッセージを届けることにより、コンバージョン率を向上させられる
・競合他社よりも早く消費者の意図を把握し、対応することで競合優位性を獲得できる
・広告やプロモーションの無駄を減らし、マーケティングのROI(投資対効果)を高められる
なお、インテントマーケティングは、特定の特定のターゲット企業にカスタマイズされたマーケティング戦略を展開するという点で、ABM(アカウントベースドマーケティング)の一種とも考えられるでしょう。
インテントマーケティングを実践するにあたって真っ先に浮上するのが、「どうやってインテントデータを取得するのか」という問題です。
前述の通りインテントデータは”現在 “の行動データという側面があり、通常の行動データと取得方法に大きな違いはありません。「ファーストパーティデータ」「サードパーティデータ」をいかにリアルタイムで取得し分析できる環境を整えるかが、インテントマーケティング実践のカギとなります。
それぞれの定義と取得の流れは以下の通り。
GA4のリアルタイムレポートや資料のダウンロードなどを通して得られる、自社が直接取得したインテントデータです。ウェブサイトの訪問者がどのページを見たか、どの製品に興味を持ったか、フォームに入力した情報、ニュースレターの購読などの情報が含まれます。これらのデータは、顧客管理システム(CRM)やデータ管理プラットフォーム(DMP)に集約し、分析を行います。自社だけが得られるファーストパーティデータとその他のデータを掛け合わせることで、インテントマーケティングにおいて競争力を発揮できるようになります。
自社以外の企業が保有するインテントデータです。その取得方法はパートナー契約を結ぶ方法、購入する方法などさまざまに存在します。系列企業やメディア企業から提供されるデータはセカンドパーティデータと呼ばれる場合もあります。
インテントマーケティングの盛り上がりとともにサードパーティデータを販売するプロバイダやインテントデータを分析するためのツールは数多く勃興しており、それらを適切に選定できるかがインテントマーケティング成功を左右します。
最後に、インテントマーケティング実践の流れを確認しておきましょう。
まずはどの顧客セグメントをターゲットとするかを決定し、キャンペーンの成功を測定するための重要業績評価指標(KPI)を定義します。ターゲット像を明確化・共有することは、インテントマーケティングの有効性を大きく左右します。
ツールを用いてデータを収集し、そのデータを分析して顧客の購入意向や興味のある分野を特定します。この情報はマーケティング施策をパーソナライズするための基盤となります。
収集および分析されたインテントデータに基づいて、具体的なマーケティング施策を計画、実行します。この対象には、デジタル広告、Eメールキャンペーン、コンテンツマーケティングなどが含まれます。
実施したマーケティング活動に対する各ターゲットの反応を分析し、スコアリングすることで、ターゲットのインテントの有無や段階を評価します。ここでPDCAを繰り返し、インテントマーケティングからインテントセールスにつなげるまでの評価基準を適切に設定することがコンバージョンなどの成果を大きく左右します。
施策の有効性を評価し、必要に応じてマーケティング戦略を調整します。これにより、継続的に施策の精度を高め、より良い成果を目指すことができます。
インテントデータを活用して実行される営業手法を「インテントセールス」といい、2023年10月に実施された調査では、アウトバウンドで営業を行っている会社員であると回答したモニター1,008人のうち、92.3%が「インテントデータを自社業務で使えたら受注率・商談率が改善する見込みがある」と回答しています(Sales Marker調べ)。
インテントマーケティングとインテントセールスの両者を俯瞰し、連携させる仕組みづくりは、最終的に成果を得るために欠かせないことも押さえておきましょう。
インテントマーケティングについて、データの取得方法や実践の流れにも言及し、解説してまいりました。
ユーザーがどのような意図をもってサービスを検索しているのか、どのようなニーズを抱いているのかを特定することはマーケティングの基本です。そこにデータドリブンかつ戦略的なアプローチで挑むのがインテントマーケティングの特性といえるでしょう。まだまだ日本に浸透しはじめたばかりのこの手法を実践できる仕組みを構築していきましょう。
(宮田文机)
・【BtoB営業の実態調査】アウトバウンド営業を実践する企業の89%が事業成長を実感〜商談率と受注率には課題を感じるも、92.3%が課題解決に「インテントデータ」の活用が有効と回答〜┃SalesMarker ・ABM戦略で欠かせない「インテントマーケティング」とは?┃accesight ・廣崎 依久『サードパーティインテントデータ 実際の運用から学んだ成功点と失敗点』┃01GROWTH
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