「The Future of Jobs Report 2020」では、主要国について地域ごとに労働市場についての詳細なデータを紹介しています。
その対象となる国の中には日本も含まれています。レポートによると日本の労働人口は9800万人とされ、 そのうち50.8%がデジタル関連のスキルを有しているとのことです。
日本ではコロナ不況に伴い2020年の第二四半期には失業率が0.4%増加しています。
さらにレポートではワークスタイルの変化が要求される中でそれに伴う戦略を企業にヒアリング。日本においてはテレビ会議ツールを始めとしたデジタルツールの使用によって「作業プロセスのデジタル化を推進する」と回答した企業が93.5%、また、「リモートで作業する機会を機会を増やす」と回答した企業が83.9%となっています。一方でスキルアップや再教育プログラムなどを推進する」のように人員が必要になる取り組みをおこなうと回答した企業は38.7%に留まっています。
さらにテクノロジー関連の採用で対象としている職種について、調査対象の企業の回答を見ると以下のようになったということです。
人工知能(機械学習、ニューラルネットワーク、NLPなど) |
97% |
IoTとインターネットに接続可能な端末(コネクテッドデバイス) |
97% |
ビッグデータ分析 |
95% |
暗号化とサイバーセキュリティ |
92% |
VRおよびAR |
83% |
Eコマースとデジタル貿易 |
81% |
テキスト、画像、音声処理 |
78% |
ロボット、非ヒューマノイド(産業オートメーション、ドローンなど) |
68% |
ブロックチェーンなどの分散型台帳技術 |
60% |
ロボット、ヒューマノイド |
59% |
AIやIoTの需要が高い一方、DXやクラウドコンピューティング、3Dモデリングなどの需要は高くないことが伺えます。
専門的な技術が必要とされる職種の需要が高まる中、スキルアップに向けて企業はどのような対策をとっているのでしょうか? レポートでは対象企業にスキルアップのためにどのような機関を使うのかという調査が行われています。
社内学習と開発 |
40.4% |
外部のオンライン教育 |
20.3% |
プライベートトレーニングプロバイダー |
18.5% |
私立教育機関 |
7.1% |
公立トレーニングプロバイダー |
7.1% |
公立教育機関 |
6.6% |
回答した企業のうち40%が社内学習などに留まっており、私立や公立の教育機関を利用するという企業は10%未満となっています。
こうした日本企業の回答の傾向としては、スキルアップのための人員の導入や教育支援についてはあまり積極的ではない一方でデジタルツールなど簡単に導入できる部分については積極的に推進されるという傾向が見られます。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い、これまで以上にデジタル化が進んでいます。
企業の目線から見ると便利で安価なデジタルツールの導入に伴って様々な人員が削減できるというのは魅力的かもしれません。一方でデジタルツールは人の暮らしを補助するものであって、それによって失業者が増えて人々が困窮してしまうと本末転倒になります。
そうした中でデジタルツールをきちんと活用してより効率的で創造的な仕事ができるように人々のスキルアップを援助することが非常に重要になってきます。人間と機械そのバランスの中でより良い未来を模索するための岐路が迫っているのかもしれませんね。
【参考引用サイト】 ・ The Future of Jobs Report 2020
(大藤ヨシヲ)
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