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平日昼間に100名以上の気鋭のデータサイエンティストが参加、熱気溢れる関西Kaggler会交流会

関西Kaggler会は7月5日、NTT西日本のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」にて、「関西Kaggler会交流会in Osaka 2024#2(関西Kaggler会交流会)」を実施した。同会は有志によるKaggler(カグラ―)コミュニティである。関西を拠点に、企業や団体の枠を超えて、データサイエンティストの交流を促すことを目的としている。今回の交流会も、その一環として行われた。

 

NTT西日本のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」(写真提供:関西Kaggler会)

         

当日は平日の昼間にもかかわらず、約130名の参加者で賑わった。交流会は参加者による発表で構成され、笑いが起こりつつも、熱心にプレゼンターの講演に耳を傾けていた。夏の暑さにも負けない、熱い交流会の模様をお伝えしたい。なお、記事中のプレゼンターの氏名は、プレゼンのスライドに表示された氏名、アカウント名をそのまま明記する。

Kaggle(カグル)とは? 関西Kaggler会とは?

関西Kaggler会代表として挨拶する太古無限氏

Kaggle(カグル)とはコンペティションのためのプラットフォームの名称である。具体的には、機械学習やデータ分析の精度を争うコンペであり、カグルの参加者は「Kaggler(カグラ―)」と呼ばれる。

カグラ―はカグルで提示されたお題に取り組み、金メダル・銀メダル・銅メダルを目指す。お題は、「ネコ画像の生成」や「クレジットカードの貸し倒れリスク予測」などがある。期間は2~3ヶ月間であり、中には5ヶ月以上を要するコンペもある。

カグラ―はレベルにより5段階(Novice・Contributor・Expert・Master・Grandmaster)に分けられる。参考までに、Masterは国内であれば企業に引っ張りだこ、Grandmasterは世界でも通用するレベルだという。

関西Kaggler会は冒頭に述べたように有志によって結成された、関西を拠点にするKagglerのコミュニティーだ。100名以上のカグルーが集い、12名のGrandmasterも参加するという。交流会や懇親会だけでなくコンペも実施。企業や組織の垣根を超えた、Face to Faceを重視するコミュニティーといえよう。

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平日昼間なのに参加者は約130名 

開始前にかかわらず、会場は熱気に包まれていた

交流会は13時から18時25分まで、約5時間30分にわたる長丁場だった。筆者は12時30分に会場入りしたが、100名ほどの参加者が集まり、熱気がものすごかった。年齢層は30代~40代が主流といったところ。学生の姿もあった。開始前でありながら、積極的に交流が行われ、実にフランクな雰囲気であった。

記念撮影では100台ものスマホが並んだ

12時50分、主催者の呼びかけにより、記念撮影が行われた。記念撮影といっても、一般的なイベントでよく見かける、参加者全員が集まってパシャではない。カグラ―専用の画面を表示させた上で、各人がスマホを並べる。集まったスマホは100台ほど。上から撮影すると、圧巻の一言であった。

13時にいよいよ、交流会がスタート。最初に関西Kaggler会を代表して、太古無限氏から交流会ならびに関西Kaggler会の紹介があった。ここで意外な事実を知る。

関西以外からの参加者も多かった

関西Kaggler会では2021年12月から、忘年会・交流会・懇親会を開催しているが、今回の交流会の参加者のうち、半分くらいが初参加なのだ。しかも、関西以外からの参加者が半分を占める。コミュニティーの交流会はややもすれば身内会になりがちだが、このようなデータを見る限り、まったくそのような雰囲気はない。

プレゼンは3部構成で行われた。第1部は初心者に優しいテーマが中心で笑いあり。第2部はカグラ―ガチ勢によるプレゼン。第3部はスポンサーからの情報提供であった。筆者はカグラ―でも何でもない。そのため、ここでは第1部の中から、ピックアップしてプレゼンの模様をお伝えしたい。

門外漢でも勉強になるプレゼンの数々 

畑氏によるこのスライドで笑いが出た

プレゼンのトップバッターは、関西Kaggler会事務局メンバーの畑氏だ。タイトル名は「つよつよKagglerをボコボコにする方法」。最初に「ハンマーで殴ればよい」というスライドが表示され、ギャラリーからの笑いをとっていた。このあたりは、関西開催の交流会らしい。本題では、自分のハンマー、ようするに自分の強みを活かすことの大切さを解説。また、懇親会などでの交流の意義にも触れた。

山口貴大氏は、やわらかいメッセージでコンペ主催へと誘った

独自の主催コンペ「atmaCup」を実施しているatma株式会社取締役の山口貴大氏はコンペ開催の魅力を解説した。そもそも、筆者はコンペそのものを知らずに、交流会に参加した。まったくの門外漢にもかかわらず、コンペの概要を把握でき、知らない世界を垣間見るワクワクを感じた。

コンペを主催するには、問題の設定など、入念な準備が必要だと説く山口氏。一方、コンペを主催することにより得られるスキルは、仕事・プライベート問わずに活きるという。このあたりは、イベント主催にも通じる話だと思い、興味深く拝聴した。

チームの重要性を語るたかいと氏

コンペでの経験談、失敗談を共有するプレゼンもあった。たかいと氏、ぐちやま氏のプレゼンはこれに当てはまる。苦労話からにじみ出るカグラ―のおもしろさに、思わず引き込まれる。関西Kaggler会交流会でとどめるには、もったいないくらいだった。

プレゼン後は質問時間を設けていたが、参加者から積極的な質問が相次いだ。質問というよりは対話に近く、プレゼンの内容を深掘りする形だ。かりに質問できなくても、交流会後の懇親会にて、プレゼンターに尋ねることは可能。プレゼンを下敷きにし、参加者全員で深め合う意識の高さを感じられた。

ちょりーぬ氏は産技大の体験を話した

ところで、今後のキャリアのヒントになり得るプレゼンもあった。ちょりーぬ氏は、東京都立産業技術大学院大学(産技大)の経験談を話した。筆者は文系大学院出身だが、産技大が専門職大学ということもあるが、大学院の性格の違いに驚いた。また、完全オンラインの授業、学生同士の意識の高さ、授業料の補助等の情報は、リスキリングを考えている社会人にとって有益だ。

プレゼンターに耳を傾ける参加者

このように、第一部は初心者用ということもあり、一社会人として勉強となるプレゼンばかりであった。最近は文系、理系の垣根を取り払うべき、という意見が散見される。文系出身であっても、第一部は理解できる内容のため、理系の世界を垣間見るという目的で参加しても、おもしろいと思う。

配信無しが生み出す活発なコミュニケーション

しくじり話も飛び出したぐちやま氏の発表

ところで、カグラ―の交流会自体は関西だけでなく、関東でも開催されている。関東と関西の間で違いはあるのだろうか。関東から来た参加者によると「関東は同時配信があるが、関西はない。そのため、関西はぶっちゃけ話やしくじり話が出るので、おもしろい」とのことだった。

現在はイベントの同時配信が主流になっている。しかし、同時配信を実施しないからこそ、活発かつユニークなコミュニケーションが生まれる。そこが、関西Kaggler会が主催する交流会の最大の魅力ではないだろうか。その他、X(旧Twitter)を見ると、「Kaggleモチベが爆上がりする最高の1日」とか、「時間が少なすぎる」といった嬉しい悲鳴もあった。

ノベルティも数々の企業とコラボするだけに充実した内容

ともかく、文系、理系関係なく、少しでも興味を持ったら、関西Kaggler会交流会に参加されてはいかがだろうか。
なお、7月5日実施の関西Kaggler会交流会のスライドは本リンクからも見られる。

交流会開催後は、懇親会も開催された。

著者・写真撮影:新田浩之
2016年より個人事業主としてライター活動に従事。主に関西の鉄道、中東欧・ロシアについて執筆活動を行う。著書に『関西の私鉄格差』(河出書房新社)がある。
 

(取材・TEXT:新田浩之 編集:藤冨啓之・野島光太郎)

 
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