多くの企業は、製品・サービスの顧客への販売・提供を営利としています。
顧客と企業の橋渡しの役割を担う“営業部門”は経験や勘を頼りに活動する風習が強く、個人のスキルに大きく依存していると考えられていました。
営業は“足で稼ぐ”、“ツテやコネを活用する”といった指導を受けた営業職の方も多いと思います。
顧客のニーズ、企業のビジネスの複雑化が進む昨今では、このような営業スタイルが非効率で成果に繋がりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか?
営業のミッションである「売上向上」もこれだけの指示では、精神論的指導に近く、経験不足の若手では効率的に成果を上げることはできません。
ところが「売上を上げるために、訪問件数を“KPI”にしたので、この“KPI”の達成を目指す」と指示したらどうでしょう?
企業の経営指標をかみ砕いて数値化した指標であるKPIについてはのちほど解説しますが、このような指示であれば、ミッションが顧客訪問であり、具体的な行動が起こしやすくなります。
訪問先の選定が適切でありさえすれば、売上向上に可能性も高まり、効率的に活動することができるようになります。
昨今では、「見える化」することで潜在する課題・問題、解決策・対策を明らかにしてくれるKPI(ロジック)ツリーとKPIマネジメントの導入が進んでおり、複雑化が進んでいる営業職に適切な対策と活動を導出してくれます。
営業は、自社の製品・サービス・情報などの購入を見込み客に促し、売買契約を結ぶことが主な目的の職業です。
営業の種類は以下のように細分化されており、
対象顧客・種別、活動地域などで分類されています。
営業職の主な業務は以下になりますが、製品・サービスの販売だけでなく、顧客の意思決定に繋がる企画や調査、接待、アフターサービスも含まれます。
宣伝・広告職との兼務体制を敷いている企業も多く、また小規模・個人事業主では事務・庶務も行うことが多いため、営業職には様々な業務の知見が求められます。
そのため、商品の知識と顧客のニーズ・動向については、あらゆるデータを活用して、把握する必要があります。
また昨今のコロナ禍は営業部門にも大きく影響を及ぼしており、現状の把握、代替戦略の画策にもKPIの活用はとても効果的です。
ロジックツリーとは、問題をツリー状に分解し、その原因や解決策を論理的に探すためのフレームワークのことです。
問題を頂点とし、原因や解決策で分解し、それらを線で結んだ図が“木”に見えるため、”論理の木“とも呼ばれています。
KPIツリーは、もともと問題解決プロセスであるロジックツリーから派生したものです。
問題をKGI(Key Goal Indicator/経営目標達成指標)に、原因や解決策をKPI(Key Performance Indicat/重要業績評価指標)やそのKPIを達成するためのより細かいKPIに置き換えます。
KPIはKGIの中間目標に位置付けられ、それに紐づいた日々のアクションの実践の進捗を示します。
そのため、KPIツリーでは、他のロジックツリーと異なり、各要素の数値化を前提としています。
この各KPIの数値を進捗として、タイムリーに確認することでKGIの達成に向けた企業の動きが管理しやすくなります。
営業部門では、営業機会数、営業案件数、成約率、顧客単価などをKPIとし、これらの向上が経営指標の達成に繋がると考えています。
昨今ではITの発展により、ターゲットの顧客が自ら情報を収集しトレードオフが行えるため、目的の要件を満たすだけの売り込みだけでは、成約に至らないケースも少なくありません。
機能、価格ともに競合を上回っていることが成約の前提になっており、差別化を図るための“One to Oneマーケティング”が顧客と営業部門との関係の複雑化を推し進めてしまっています。
選択肢が増え続ける需要者の購買意識は流動的に変化するため、営業パーソンが高い成約率を維持するには、購買意欲の高い顧客の優先が必要不可欠です。
十人十色とも言える心理状況を事前に把握した上で売り込みをするのとのそうでないのとでは、成約率に大きく差がでるからです。
こういったケースの対処には、KPIツリーとKPIマネジメントがとても効果的で、収集したデータを適切に分析し、BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールで「見える化」することで、より深部に潜伏する問題・課題を捉えてくれます。
顧客の興味・関心の高低はCRM(Customer Relationship Management)、BI(Business Inteligence)などのデータで判断することができ、また膨大な案件の自動化はSFA(Sales Force Automation)が支援してくれますが、人の行動が決め手となる営業では、KPIは重要なペースメーカーの役割を果たしてくれます。
営業の場合、顧客の獲得(成約)までを業務範囲にしている企業が多く、KPIは新規顧客に関連したものを重視しています。
これは既存顧客への営業は、売上の維持対策にはなるものの、向上にはつながりにくいからです。
サービス業においては解約・クレームなどへの応対も業務に含む場合が多く、顧客満足の低下の予防に役立てるためにも、これらの件数や内容などはしっかり把握する必要があります。
指標 | 概要 |
---|---|
新規リード獲得数 | 広告や、各種販売活動やマーケティング活動によって獲得した見込み客の数 |
有望見込み客数 | 新規リードに対して営業活動を行い、確度が高いとみなすことができる見込み客の数 |
有望見込み客転換率 | 新規リード数から有望見込み客数への転換率 |
有望営業機会数 | 有望見込み客が成約につながった件数 |
有望営業機会化転換率 | 有望見込み客数から有望営業機会数への転換率 |
新規顧客数 | 成約に至った新規顧客の数 |
新規顧客化転換率 | 新規の有望見込み客数から有望営業機会数への転換率 |
平均新規顧客単価 | 新規で獲得した顧客から発生した平均顧客単価 |
新規顧客売上 | 新規で獲得した顧客から得た売上 |
平均既存顧客単価 | 既存の顧客から発生した平均顧客単価 |
既存顧客売上 | 既存の顧客から獲得した売上 |
リードタイム | 営業担当者がリードに初めて接触(商談、リード獲得)した日付から顧客化(受注)までに要した日数 |
解約件数 | 既存顧客の解約件数 |
クレーム数 | 既存顧客からのクレーム件数 |
KPIの導入は、ただやみくもに指標を設定するのではなく、あらゆるデータを様々な観点で分析し、具体的なアクションとその効果まで十分に検証した上で使用する必要があります。
特に営業の場合、顧客の嗜好・行動・心境の変化などが売上減少を招いている場合があります。
顧客と企業との関係は複雑化し続けており、見込み客の動向と絶対数の把握は、有望見込み客の接触を試みる際の重要な判断材料になります。
新規開拓領域がまだある状況で撤退を選択する営業部門も実はかなり多く、表面上に見えていない潜在顧客のマイニングが売上獲得に繋がるケースも少なくはありません。
表面上に見えない課題・問題の多くは、深部に潜んでいるため視覚や推測で捉えることが難しく、それにはデジタル技術によって蓄積したデータ活用が必要不可欠です。
昨今の営業部門が活用できるシステム、ITツールは自部署だけなく、マーケティング、カスタマーサービス部門などの他部門が持つ情報を連携する機能を備えています。
全社横断で共有したデータは、データベースエンジンとBIツールを活用することで、KPIロジックツリーの作成のみならず、KPIマネジメントにも活用することができます。
昨今の企業の宣伝・広告はWebを主媒体としており、リード(見込み客)の詳細な情報を個々に収集することが出来ます。
ユーザー育成・体験を経たリードは、自身が抱える問題・課題・ニーズの解決が企業の製品・サービスにあるという認識を持ち始めます。
HPへのアクセス、資料のダウンロード、問い合わせなどの使用・申し込み数、内容でユーザーの関心・興味を分析することで顧客に転換する可能性が高い見込み客の傾向が把握できるようになります。
成約に至るまでの商談、提案のプロセスでは、営業の活動を支援するSFAを活用することで新規率、売上、単価、セールスサイクルなどが把握できます。
数値を知ることで営業部門を効率化するプロセスが策定できようになります。
セグメントとは、KGI、KPIがそれより下位のKPIの足し算で成立する場合の項を指します。
例えば、“売上に対するセールス方法”の場合、インバウンド営業、インサイト営業、プロダクト営業、ソリューション営業、代理店営業などの和がKPIとして求められます。
セグメントに分解したKPIをさらに分解すると、様々な“行動”が「見える化」されます。
営業が有望見込み客をピックアップする際、消費者の購買行動を示すAIDMA(アイドマ)で分解し、商品やWebで計測したユーザーの心理データと照らし合わせる事で、対象が鮮明に判別できるようになります。
ちなみにAIDMAの法則とは、消費者が物を購入するときには“注意”→“興味”→“欲求”→“記憶”→“購入”の流れを無意識に行っているというマーケティングのフレームワークで、営業部門でもターゲットを決めるプロセスとして活用されており、
の頭文字をとって「AIDMA」といいます。
これら一つ一つが占める割合などを定量的に把握することで、購買層なども「見える」ようになります。
KPIは、KGIや上位のKPIとリンクする事は必要不可欠ですが、さらに数式化することで定量的に取組みが実践できるになります。
成約数は見込み客×成約率で成り立ちますが、さらに細分化(セグメント化)した要素を数値化することでどのKPIの向上に注力すべきか?といった優先順位や戦略が考えられるようになります。
KPIに設定できる可能性はあるものの、その要素の正体が不明確なケースは実は少なくありません。
データ化が可能なものは、新たに分析する事で追従できますが、そうでないものに関しては、仮説を立てて、検証する必要があります。
仮説を明らかにするための施策は、PDCAで実践する事でより高い確度で進められます。
仮説が立証されたKPIは、上位のKPIに繋げることで経営指標の達成に活用できるようになります。
先程紹介した仮説で更なるデータの分析でも行動に至る要素が分析できない場合、カットアンドトライ、消去法といった施策でその構造を明らかにしていきます。
これらの多くは、システムの未導入、施策の未活用に潜伏しているケースが多く、例えば、
といったことを要素としている可能性があります。
営業は、「足で稼ぐ」といった考え方が根付いていたため、自動化されていないプロセスがかなり多く、このような領域をフォーカスすることで高い効果を得ることが期待できます。
構造の実証には比較的時間を要し、また上位のKPIに繋がらない可能性もあるため、全体のKPIから切り離した方が実証はスムーズに進みます。
セグメント、行動で分解したKPIを抽象度の高い要素を頂点に置き、それの要素になるKPIを線(枝)で結びます。
これをツリーの末端となる要素(葉)まで繰り返すことでKPIツリーが完成します。
KPIツリーを作成する事で、具体的な施策に至るまでのプロセスが網羅できるようになります。
また、いざ実践をするにあたって、注入すべきマンパワーや投資なども「見える化」されるので経営リスクの回避にも繋がります。
KPI向上は設備投資で対処できるものは即座に対応し、そうでないものはノウハウ、ナレッジ化といった観点で取り組むことで着実な向上が期待できます。
営業で経営指標の達成率を高めるにはKPIの「見える化」が必要不可欠です。
データを集約・可視化するウイングアーク1st社の「MotionBoard」を採用し、KPIツリー、KPIマネジメントに成功した営業部門の導入事例をご紹介します。
顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するコアコンセプト・テクノロジー社様が営業活動の効率化を図るためにSalesforceと併せて採用したMotionBoard Cloud for SalesforceとVyNDEXの導入事例をご紹介します。
会社名 | 株式会社コアコンセプト・テクノロジー |
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設立 | 2009年 |
本社所在地 | 東京都豊島区 |
事業内容 | コンサルティング/システム開発/解析・シミュレーション/IoTソリューションの開発・販売/システムエンジニアリングサービス |
URL | https://www.cct-inc.co.jp/ |
MotionBoard上に地図情報と営業ルートを取り込むことで、営業活動の効率向上を実現した歯科技工の専門商社として歯科医院と歯科技工所の橋渡しを行っている株式会社成田デンタル様の導入事例を紹介します。
会社名 | 株式会社成田デンタル |
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設立 | 1983年 |
本社所在地 | 千葉県千葉市 |
事業内容 | 歯科技工物の販売業務、歯科医療事業所に対してのコンサルティング業務 |
URL | http://www.narita-d.co.jp/ |
営業やマーケティング部門だけでなくバックオフィス部門にもSVF Cloud for Salesforceの導入することでVisualforceやExcelで作成していた見積書や注文書、検収書の発行がシームレスにおこなえるようになったSalesforceや Pardotの導入支援を行うtoBeマーケティング株式会社の導入事例を紹介します。
会社名 | toBeマーケティング株式会社 |
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設立 | 2015年 |
本社所在地 | 東京都千代田区 |
事業内容 | マーケティング支援事業 |
URL | https://tobem.jp/ |
今回は「営業」の経営指標の達成の成功率を高めるためのKPI(ロジック)ツリーについて紹介させて頂きましたが、データ活用とBIツールが重要な役割を担うことをご理解頂けたでしょうか?
最後に今回紹介させて頂いた要約をまとめとして、以下に記載させて頂きます。
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