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KPIによる数値化マネジメントを利用することで 何が変化するのか?実際の事例をもとに解説!

         

年度末や期初に限らず、企業の業績向上を目指す上で、KPI(Key Performance Indicator)の設定やマネジメントが注目を集めています。特に、新年度が始まり、多くの企業でKPIの見直しが行われるため、4月には注目が高まります。KPIは目標達成のための指標として重要であり、適切に設定・管理することが業績向上につながります。

それでは、KPIによる数値化マネジメントにより業務はどのように変化するのでしょうか?以下、書籍『数値化の鬼』の著者である安藤広大氏が代表を務める識学総研に掲載されたコンテンツを許可を得てお届けします。



ビジネスのマネジメントにおいて、「KPIにより数値化させる」という考えは日本でも徐々に浸透してきていますが、完全に浸透しているようには感じられません。

日本企業ではマネジメントの教育が少なすぎると一般的に言われています。マネジメントにこそ、数字は絶対的に必要な要素です。

そこで今回はKPI(key performance indicator)を利用した数値化マネジメントについて改めて考えていきたいと思います。

メジャーリーグによる「数値化」を考える

大谷翔平らが活躍するメジャーリーグを見ることができる機会が日本でも多くなりましたが、日本の野球中継と比較して「そんなことも数字化するの?」と驚くことがあります。メジャーリーグを例に、物事を数値化させることでどんな効果があるかを最初に考えていきます。

「大谷翔平のすごさを教えてください」

大谷翔平のすごさは誰でも知っています。

しかし、それを他人に伝えられる「技術」をもっている人間は実はそう多くありません。「誰でも真似できない、投手と打者の二刀流の選手だからすごい!」という言葉では、あまりに不足しています。ここでちょっと時間をかけて考えてみてください。

こういった場合には、そのすごさを数値で説明するのが最も説得力を持ちます。説明例としては「大谷翔平選手は、日本プロ野球の歴史で誰も成しえなかった“2桁勝利・100安打・20本塁打”を達成した選手です。

投手として最速投球記録の165km/hの記録を持っており、ロサンゼルス・エンゼルスに移籍後は1年目に投手としても4勝の実績を残し、22本の本塁打を記録しました。

アメリカのMBLでも他に類がなく、100年前の伝説的人物ベーブルースと比較される野球選手です。」どうでしょう、数値化させると客観的な事実を伝えられるために、説得力を持ちます。

スポーツを数字化するメジャーリーグのここがすごい!

アメリカのメジャーリーグでは「スタットキャスト」と呼ばれるデータ収集のための設備が全球場に設置されています。もともと、軍事用のデータとして開発されたこれら仕組みが収集するのは野球選手のデータです。ありとあらゆるデータを数値化し、「ホームランになりやすい打ち方」などを客観的に割り出すことも可能で、変化球でも「カーブが最もホームランを打たれにくい」という事実も数字によって証明してみせました。選手の価値や、どれくらい勝利に貢献したかを数値化することが出来ます。

数字化することで得られるものは一体何か?

マネジメントにおいて最も重要なのはメンバーに「納得」してもらうことだといわれます。どんなに優れたビジネスマンでも、チームメンバーにその考えやアイデアを浸透させることが出来なければ個人プレーが優れているだけです。マネジメントという「組織最適化」のためにはメンバーに納得・理解してもらい、賛同を得て協力体制を創るというのが基本です。その「納得」してもらうための武器となるのがKPIによる数値化の利用なのです。

KPIによる数字化マネジメント

日本の企業では相変わらず「精神論」でビジネスを語ることも多いですが、もはやそんな時代ではなく、上司や教育係すら「審査の対象」となる時代です。単純に目標や考え方を語るのではなく、「そのプロジェクトの成功」までの過程をいかに数字化させチームで共有できるかが鍵になります。

日本企業における教育制度の最大の問題点「俺の若いころは」

日本では基本的なマネジメントというのはそのマネージャーのやり方次第になってしまっているのが現状です。マネジメントの教育を受けていないので、マネージャーはプレイヤーであった当時をなんとなく振り返り「俺の若いころは」と言い始めます。この記憶は非常に曖昧なもので、且つチームのメンバーには全く興味が持てない話です。具体性が無いからです。

「精神論」から問題を具体化させるコミュニケーションへ

ビジネスにおいて、「目標数字を設定しているからKPIを利用している」と考える人がいますが、大きな間違いです。その目標達成のために必要な行動を数字化することが、基本的なKPIの考え方です。マネージャーの管理はメンバーの行動の数字を確認することです。

(例)目標A ←Aの達成のために行動Bを10回 ←Bを10回やるために行動Cを100回

これを時間ベースで落とし込むというのが基本的な考え方です。この数字は極めて客観的な結果であり、明確な目標設定が「数値で共有化」できます。人間関係の好き嫌いに関係ないのです。

KPIを用いることで得られる「平等理解の共有化」

数値というのは極めて客観的なものであり、100は誰が見ても100という真実があります。チームで目標を達成するにはKPIを利用し、日や時間で行動を落とし込んでいきます。そうすることによりメンバー全体で「共同作業」という意識が生まれ、その結果に気持ちの浮き沈みがあまり発生しなくなります。極端にいうとマネジメントとはメンバーに「やるべき事を明確にする」ということに尽きます。やるべき事を数値化できるのがマネージャーです。

ソフトバンクで用いられるKPI

実際にソフトバンクでKPIを利用したビジネス事例や考え方をみていきます。ソフトバンクの孫正義社長はビジネスを数値化させるプロフェッショナルとして知られています。社員にもそういった「数値で考え、数値で語る」という考え方を徹底教育しています。

数字化させる最大のメリットとは何か?

誰にでも経験があると思いますが、「体重を落とす」という目標と「体重を3ヶ月後までに6kg落とす」というものは全く違います。計算すれば、1週間で0.5kg落とさなければ達成できません。次のアクションを明確にしてくれます。ビジネスを数字化させる最大のメリットは、「次に何をすべきか」ということを教えてくれることです。「問題は何か」という事を数字化させるのがソフトバンクの基本的な考え方なのです。ソフトバンクがADSL事業を始めた当初は、コールセンターに月に100万件以上の問い合わせやクレームがかかってきていました。当時、社長室に配属されていた三木雄信氏はこの電話の内容を7種類にまず分類し、そのうちの2種類の内容が全体の8割を占めていることをつきとめます。そこでその2つの問題を徹底的に調べます。その結果「モデムの改良をすればコール発生率を5%から4%に減らせる」「1%のコール発生率を減らすことは毎月4,000万円のコスト削減になる」ということがわかりました。その結果、モデムはすぐに改良されコールの発生率を減少させることに成功したのです。数字を金銭に換算し「問題は何か」を示す好例といえるでしょう。

数字をネガティブなものからポジティブなものに変えるKPIの考え方

ビジネスマンであれば、一般的に数字というものは「ノルマ」などのネガティブな印象を受ける人も多いでしょう。それは、その目標達成のための行動が数値化されていないからです。日本のマネジメントの欠点はその点にあるといえます。目標設定が見えており、それが「達成可能」な数字であるとしたらビジネスはポジティブになれるはずです。誰もがその組織に貢献したいという気持ちは持っています。その気持ちを無駄にしない客観的な管理の仕方がマネージャーには求められているのではないでしょうか。

まとめ KPIによる数値化マネジメントについて

いかがだったでしょうか。今回はKPIによる数値化マネジメントを利用することで何が変化するのか、ということをアメリカのメジャーリーグの「スタットキャスト」というものから考えてビジネスにおけるマネジメントについて考えてきました。

私自身、サラリーマン時代には上司から数字詰めにされ、「今日1件、明日1件」という意味のない目標を立てて気合だけで毎日を生きていたものです。気合と根性というものは時には必要な要素ではありますが、成功するには客観的な分析と効果的な行動が必要です。また、そういった成功するための行動を数値化できないと、あんなに嫌いだった上司と同じことをメンバーに言ってしまうことになります。

目標達成できる数字を提示し、ゲーム感覚で挑戦する環境を作ってあげるというのがマネージャーの仕事です。誰にでもわかる数字で、納得してもらいメンバーに良い仕事をしてもらいましょう。


 

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