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マインクラフトで個人データ保護について学習できる!? 「Privacy Prodigy(プライバシーの天才)」は子どもたちに何をもたらす?

         

全世界1億4,100万人(2021年8月時点)、毎日320万人がプレイしているといわれる世界的ゲーム『マインクラフト(Minecraft)』。子どもやその友人がプレイしているという方は少なくないでしょう。2023年の2月7日、EUのSafeBordersプロジェクトの一環として定められた「Safer Internet Day」に、個人データ保護について学べる同ゲームの新クエスト『Privacy Prodigy(プライバシーの天才)』がリリースされました。

本記事ではその内容やマインクラフトの教育向けセクション『Minecraft Education』、大人も学べるゲーミフィケーションの世界などについてご紹介します!

マインクラフトってそもそもどんなゲーム?『Minecraft Education』とは?

マインクラフトは、3Dブロックで構築された世界を自由に冒険したり、材料を集めてアイテムを作ったり、建物やピクセルアートを創造したりと、自由度高く遊べるのが魅力のゲームです。Nintendo SwitchやPS4、XBOXと言ったゲーム機をはじめ、パソコンやスマートフォン、タブレットなどプレイ可能な端末も幅広く、2022年、株式会社ゲムトレが小学生348人を対象に実施した「いま一番遊んでいるゲームタイトルは?」というアンケートでは26.14%で1位にランクインしました。

引用元:【ゲームに関するアンケート調査2022】〜 ゲーム実況Youtuber 1位は3年連続HikakinGames、ゲームタイトル1位は「マインクラフト」〜┃ゲムトレ

このようにゲームのなかでも小学生など低年齢ユーザーが多いマインクラフトのラインナップには、2016年11月にはMinecraftを学習ツールとして活用することを目的にした『Minecraft Education』が登場しました。代数学、プログラミング、異文化、共同作業などを子どもたちが興味深々なマインクラフトの世界で学べるようにする試みは拡大が続けられており、教師が生徒の居場所や状態を把握できる「Classroom Mode」や教員向けの教え方トレーニングも用意されています。

ゲームを娯楽以外の目的に応用する試みは最近では数多くの分野で行われていますが、『Minecraft Education』は最も実践的な実例の一つと言ってよいでしょう。

「Privacy Prodigy」の遊び方 子どもの教育で何が一番のメリット?

今回取り上げる「Privacy Prodigy」も『Minecraft Education』の一環としてリリースされたクエストです。

対象年齢は8~18歳。ストーリーは『1.個人情報について学ぶ』『2.個人情報を守る』の2つのセクションで構成されています。

前者では、医者や先生、ゲーム友達といったNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の質問や要求に対し、正しく答えながら「電話番号」「パスワード」「病歴」といった個人情報を収集していきます。

例えば親しげに話しかけてきた医者は「カルテになぜ君が学校を休んだか書く予定なんだけど、誰がそのノートを見るべきかな?」と尋ねてきます。

そして提示されるのは「ゲーム友達」「先生」「ヘルプを見る」の3つの選択肢。

そうして、正解の選択肢を選ぶことで学びを深めつつ、マップを広げながら個人情報の種類についても理解を深めていくというわけです。

『2.個人情報を守る』は逃げ出した個人情報たち(個人情報たちは、下の画像のようにキャラクター化されており、動いたり話したりできます!)を捜索し、適切な場所へ返しながらダークウェブなどの敵意あるNPCを剣もしくは弓矢で倒します。


引用元:『Privacy Prodigy – Trailer┃Minecraft Education YouTubeチャンネル』0:06のスクリーンショット

先の例の通り、学べる内容はかなり初歩的であり、全クエストを制覇し「プライバシーの天才」になるためにかかる時間はおおよそ1~2時間といったところでしょう。後半にはアクション要素も用意されており、子どもが飽きずに楽しみながら個人情報の種類や扱いについて学べるのが一番のメリットのように感じました。

子どもも大人も! 教育×ゲームの世界は広がっている

ゲームを子どもの教育に生かそうという発想は、『Minecraft Education』に限ったものではありません。先の調査で小学生が一番遊んでいるゲームタイトルの2位にランクインしていた『フォートナイト(Fortnite)』にも、島やゲームの制作を通じて空想力やプログラミング思考について学べる「クリエイティブモード」や、「ゲーミング英会話」などの可能性が開かれています。

また、任天堂も自分でコントローラーを創造する『NINTENDO LABO』や各種学習ソフトなど、ゲーム×教育に力を入れていることはよく知られています。

また、ネコ語翻訳システムの開発を通して機械学習の仕組みを学べるwhile True: learn()』やプログラミング学習RPG『コードクロニクル』のように、より大人向けの内容を組み込んだゲームも数多くリリースされています。また、金沢工業大学からはデータサイエンスについて学べるカードゲーム「データサイエンスゲーム」が公開されており、サイトから無償でダウンロードできるようになっています。

終わりに

コンピューターセキュリティ企業Kasperskyの調査よると、2022年、子どもに人気のオンラインゲーム13種類に対し仕掛けられたサイバー攻撃は700万件以上。2021年から57%の増加であり、その55.8%がマインクラフトを使用したものでした。ゲームは子どもたちの個人情報保護において、一番の脅威ともなります。だからこそ、子どもたちに「プライバシーの天才」になってもらうことはプレイの必須条件といえるのではないでしょうか。

【参考資料】
・PRIVACY PRODIGY┃MINECRAFT EDUCATION
・PRIVACY PRODIGY LAUNCHES Adventure and protect your data!┃MINECRAFT
・【ゲームに関するアンケート調査2022】〜 ゲーム実況Youtuber 1位は3年連続HikakinGames、ゲームタイトル1位は「マインクラフト」〜┃ゲムトレ
・正田拓也『マインクラフトで個人データ保護を学ぶ「Privacy Prodigy」のワールドが公開』┃インプレス
・教育版マインクラフト徹底解説(前編)、子どもたちが熱くなるクリエイティブな学びをつくろう――無料でインストールが可能、体験版レッスンも紹介┃インプレス
・ゲームをする子どもたちへの2022年のサイバー攻撃は前年比57%増加┃PRTIMES
・フォートナイト クリエイティブを教室で利用する方法を学びましょう┃UNREAL ENGINE
・「フォートナイト」で英語を学習 「ゲーミング英会話」って何?┃毎日新聞

(文:宮田文机

 
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