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平均寿命が世界的に伸びたのは、乳幼児の死亡率が低下したためだ、とよく言われます。それが本当であれば、我々は乳幼児の生存率を上げることのみ成功し、他の年齢層の生存率は変化していない、ということになります。つまりそれは、幼少期を過ぎた人は何世紀も前と同じ平均寿命で今を生きている、ということを意味します。

しかし、この主張は正しくありません。実際、平均寿命はすべての年齢層において伸びています。今生きている人は今何歳であるかに関わらず、昔と比較すると長生きできる、ということが予測されています。

イギリスとウェールズの年齢別平均寿命

出典:Our World in Data

このグラフは、過去3世紀にわたるイギリスとウェールズの平均寿命を示したものです。

赤い線は新生児の平均寿命を示しています。

19世紀半ばまでの新生児の平均寿命は約40年でした。もちろん、40年よりも短い場合も多く見受けられました。

赤以外の線は、ある人が特定の年齢に達したあと、何歳まで生きることができるかを示しています。例えば、薄緑色の線は、10歳に達した子供の平均寿命を表しています。

最も顕著な変化が見られるのは、19世紀半ば以降の平均寿命です。なんと出生時の平均寿命が40歳から81歳へと倍増したのです。これはイギリスとウェールズに限ったことでなく、19世紀後半以降、世界のすべての地域で平均寿命は2倍になりました

実は、人類がこのような改善を成し遂げたのは過去150年に限定されます。近代以前の人口データによると、全乳児の約4分の1は生後一年以内に死亡し、ほぼ半数が成人する前に死亡していたことを示しています。(こちらを参照)、近代に起きた健康状態の改善以前の平均寿命においてはこれといって傾向と呼べるものはありませんでした。このチャート以前の何世紀かの間の平均寿命は30年から40年の間で推移しており、これほどまでに顕著な増加は認められませんでした。

平均寿命は全年齢において伸びている

平均寿命が2倍になったということに対してもっともありがちな反論は「乳幼児の死亡率が下がったことに起因するにすぎない」というものです。仮にそれが事実であったとしても、それはそれで人類の偉大な功績の一つであると思いますが、この主張は全くの誤りだといえます。死亡率が低下し、結果的に寿命が伸びたのはすべての年齢層においてです。

それは上のグラフを見てもらえば一目瞭然でしょう。

たとえば乳幼児の死亡率の大幅な低下を加味せずに、平均寿命がどれくらい長くなったかを見てみましょう。乳幼児の死亡率とは、5歳の誕生日を迎える前に亡くなってしまう子供の割合と定義されています。そこで、5歳児の平均寿命を見て、子供の死亡率を加味せずに平均寿命がどのように変化したかを見てみましょう。その答えは上のグラフの黄色の線で示されています。1841年には、5歳児は55歳まで生きると予想されていました。現在では、5歳児は82歳まで生きるとされており、なんと27年も伸びているのです。

これは、年齢層が高い場合でも同じことが言えます。例えば、50歳の人は、かつては71歳まで生きると予想されていましたが、現在では83歳まで生きると予想されています。実に、13年伸びたことになります。

これは世界各国でも当てはまることといえます。下のグラフは、世界の10歳児の平均寿命のデータです。

出典:Our World in Data

このグラフにおいて着目すべき第二の点は、1918年の平均寿命の大幅な低下です。これは、世界的に大流行したインフルエンザ、スペイン風邪によって引き起こされました。下記のグラフは1830年から2019年のそれぞれの国における平均寿命を示したものですが、こちらでも1918年に全ての国において平均寿命が大幅に低下したことがわかります。

出典:Our World in Data

たしかに乳幼児の死亡率の低下は、平均寿命に大きな影響を与えます。しかし、私達が見てきたように、平均寿命が2倍に伸びたという結果はその恩恵の範疇を遥かに超えています。ここで見てきたように、この(医学の)進歩の恩恵を受けたのは乳幼児だけではなく、すべての年齢層の人々なのです。

(注:この記事はOur World in Dataに掲載されていた記事をデータのじかん編集部が独自に翻訳したものです。)

(原文:It’s not just about child mortality, life expectancy improved at all ages/翻訳:小林玲実・データのじかん編集部)

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