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筆者の暮らすベルリンでは、どこのアパートの中庭にもゴミ用コンテナが置いてあります。曜日や時間関係なくいつでもゴミを捨てることができ、ゴミのタイプごとにコンテナの色が違うので分別がしやすいのが嬉しいところ。

分別ルールは割とオーソドックスなのですが、いつも「リサイクル可能なプラスチック」と「不可能なプラスチック」の仕分けで迷います。筆者の判断基準は、洗剤の容器などしっかりした素材はリサイクル行き、食品パッケージなどの不純物が付いた薄手のものはリサイクル不可。

しかし、リサイクル可能として分別されたプラスチックでも、多くの場合がリサイクルされずに埋め立て地に送られることをご存知でしたか? 現在の技術ではプラスティックを分解してチップ状にするとクオリティが著しく下がってしまい、買い手がつかないことが多いからです。そのため実際にリサイクルされるプラスチックは全体の20%以下だそう。

リサイクルは諦めて、徹底的なプラスチック削減に取り組むしかない。そのような声が聞かれる中、効率的なリサイクル手法の開発に取り組むカナダ人女性2人組のスタートアップが注目を集めています。

あらゆるプラスチックをリサイクル可能にする技術

この環境系スタートアップを立ち上げたのは、カナダ人のミランダ・ワンさんとジェニー・ヤオさん(共に25歳)。18歳のとき高校のリサイクルクラブで知り合った2人は別々の大学に進学したものの共同研究を続け、2015年にカリフォルニア州サンホセでBioCellectionを設立しました。

ユネスコによると全世界では毎年2.2億トンものプラスチックが生産されており、そのうち80%以上が埋め立て地に送られ、最終的に800万トンが海洋に流出します。海洋中のプラスチックは2050年には全世界の魚の総重量よりも多くなると予想されているのです。

こうした状況に立ち向かうべく、当初ワンさんとヤンさんはバクテリアを使いプラスチックを水へと分解する技術を研究していました。しかしこれは現実的なアイディアではないことが判明。すると次は様々な化学物質を使って低品質のプラスチックを分解し、製品原料へと変える研究に方向転換しました。

ワンさんは分解プロセスについて次のように説明しています。「当社はポリエチレンを商用素材に変換しようと取り組んでいます。非常に低温で働く触媒を使ってプラスチックを化学的成分に変換してから、その素材を純化します」

ポリエチレンは食品パッケージ等に使用され最も一般的に出回っているにもかかわらず、リサイクル頻度が最も低いプラスチックです。

理論的には重さに対して99.5%のプラスティックを製品原料に変えられますが、現時点でBioCellectionが達成できている数値は80%で、商業化するには90%を超える必要があると言います。現在BioCellectionチームは食品の残骸や汚れが付着したプラスチックを処理する過程を調整中です。

彼女たちのビジネスモデル

BioCellectionは同社が開発中の素材に向けた新市場を作るのではなく、既存のリサイクル素材の上位互換として売り出したい意向です。そうすることで、製造業者は既存の供給連鎖プロセスを変えることなくBioCellectionの製品を使用できるからです。

同社の技術により純化された素材は白い粉状で、1トンあたり1,600ドルから21,000ドルまでの価格がつくと見られ、香水や塗料、靴底などの原料に使用できます。

既存プロセスでは500〜1000度の高温で処理する必要があり、エネルギーコストが高くつきます。一方、現在当社が開発中のプロセスでは約120度ですみます」とワンさんは説明します。

BioCellectionは研究内容が高く評価され、2018年11月にはUCLA主催のプリツカー賞(Pritzker Emerging Environmental Genius Award)を受賞、10万ドルの副賞を獲得しました。また2017年からはサンホセ市と共同でリサイクルのパイロットプログラムに取り組んでいます。しかし現時点でBioCellectionが処理できるポリエスチレンは約10リットル/日に過ぎず、市の1日の処理量12,750リットルにははるかに及びません

「しかし革新的技術というのはこうしてスタートするものです」とサンホセ市の担当者は言います。プリツカー賞受賞式のスピーチでワンさんが語ったように、「近い将来、埋め立て地のプラスチックが掘り起こされ、資源として活用する日が来るかもしれません」。

水中からマイクロプラスチックを除去する手法を発見したアイルランドの天才高校生フェレイラくんといい、若い才能の環境問題についての画期的アイディアには頭が下がるばかりです。

参考リンク:
・A 24-year-old has invented a new way to break down plastic waste and prevent it from landing in the ocean 
San Jose’s recycling pilot program with Silicon Valley startup in final phase  

佐藤ちひろ

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