普段乗っている乗用車。その一台一台にデータを取得し自己診断を行う機器が備え付けられていることはご存知でしょうか? その機器はOBDと呼ばれるものなのですが、現在は新バージョンのOBD2が普及しています。またそこから得られるデータを利用した関連商品も多数販売されています。
この記事では、クルマを円滑に整備するため日々行われているデータ活用についてご紹介します!
OBDはOn Board Diagnosticsの頭文字をとった言葉です。直訳すると「車上診断」という意味になり、“自己診断機能”を意味しています。自動車にはECU(Electronic Control Unit)というコンピューターが搭載されており、エンジンやトランスミッション、ブレーキなど各部位のデータを備え付けのセンサーで計測し、制御しています。そのセンサーから得られたデータを自動車の不具合や環境への影響の診断に生かすのがOBDの役割です。
OBDはエンジンの回転数・速度やバッテリーの状態、水温などを計測し、それらに何らかの異常が生じるとランプや警告音でドライバーに知らせます。さらに整備時には、専用のコネクターに「スキャンツール」と呼ばれる機器を接続することでより細かいデータを提供します。スキャンツールにより詳細なデータの取得が可能になり、従来は五感に頼っていた修理をよりエビデンスベースで行えるようになりました。
OBDが登場した1980年代後半時点ではコネクターの形状や診断方法、故障コードなどは自由とされておりメーカーによってバラバラの状態でした。その状態が改善されコネクターの形状や故障コードが統一されたOBDを“OBD2”と呼びます。OBD2は、一台のスキャンツールでどんなクルマの診断でも行えるようにしたものです。「最近のクルマの修理はODB2の診断機がないと話にならない」といわれるほどその普及は進んでいます。
OBD2の搭載は1996年に米国内で義務化され、その後世界各地で普及し始めました。
日本でもJ-OBD2として2009年10月以降、新型車への搭載が義務化されています。現在ではOBD2は2021年10月1日以降に製造された国産車(輸入車は2022年10月1日以降製造のもの)の車検に活用される予定となっています。
OBDから取得できるデータは整備や車検以外だけでなくより身近なことにも活用できます。
例えば、OBDから得られる車速データを活用して、時速〇kmを超えると自動的にドアをロックし、エンジンが止まると解除されるドアロックが市販されています。ほかにシフトレバーをバックにいれたことやドアを開いたことを感知して自動でハザードランプを点滅させる商品も。
もちろんOBDが取得した詳細なデータを見やすく可視化してくれる商品もあり、残りのガソリン量や燃費、平均速度などをスマホで確認するといった使い方も可能になります。
いずれの商品もOBD2のコネクターが統一されているからこそ、どの自動車でも共通して使うことができるのです。
OBD、OBD2の意味と成り立ち、関連商品についてご紹介しました。知らない方も多いOBDですが現代の自動車整備にかかせない機器となっています。関連商品を活用することでカーライフがさらに快適になるかもしれません。ぜひ次に自車に乗るときはOBDコネクターがどこにあるか実際に確認してみてください!
(宮田文机)
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