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全てのクリエイターに自由を!個人間での撮影機材の貸し借りをマッチングしてくれるアプリ『Totte』に開発者が込めた想いとは(前編)

         

『Totte』は個人間での撮影機材の貸し借りをマッチングしてくれるアプリです。まだサービス提供が開始されていないので、知っている方はまだあまりいないかと思いますが、このアプリを開発・運営しているのが、CREARC株式会社の代表取締役、五十嵐典之氏。

『Totte』は2018年8月末にリリース予定なのですが、五十嵐氏がどういう経緯でこのアプリのアイデアを考えつき、どういう想いでこのサービスを立ち上げたのか、今回伺ってきました。

Totteとは

Totteは、使用頻度が少ない撮影機材を保有している貸し手と機材を使いたい借り手をマッチングさせ、撮影機材をシェアリングできるアプリです。

カメラのほか、レンズ・照明などの機材や、ドローンなども借りられます。個人間の貸し借りのため、レンタル会社に比べて安価に借りられるのが大きなメリットとなっています。大手損害保険会社とオリジナルの保険を作り連携しており、万が一機材になにかあった場合でも安心です。

Totteを思いつくまで

私はもともと通信系の会社で、ネットワークやサーバー周りの仕事をしていました。それと並行して、映像制作や広告デザインを独学で学んでいたのです。TEDxなどのイベントメンバーとしても活動しており、仙台で開催されたTEDxTohokuやTEDxSendaiといったイベントではステージ周りの演出を担当しました。

2014年に上京してからは、個人での仕事を続けながら、「ドコモgacco」に在籍し、大学での講義をオンラインで、しかも無償で学べる映像コンテンツ制作に関わっていました。具体的には、講義の内容を大学側と調整したり、公開される講義動画を撮影に携わったり、必要に応じで特設サイト、プロモーション動画、ポスターなどの制作をしたりしていました。

そのような活動をしている中で、ある時元同僚の若い知人から「五十嵐さん、実はカメラ貸してほしいのですが…」と言われました。ちょうどカメラが家にしまってあったので、私のカメラを貸したのですが、その時に「あれ?もしかしてこれってビジネスになるかもしれない」と思ったのです。私はデザイナーでありクリエイターだったので、カメラは持っていたのですが、普段はカメラを使っておらず、趣味の範囲でしか使っていませんでした。

高価な撮影機材などを使ってない期間安心して貸し出しできるシステムがあれば、もっと借り手のアウトプットは増えると思いますし、貸し手はレンタルしたお金を使って新しいレンズや機材を購入する機会が生まれるのでは?と考え、ビジネスとして成立するのではないかと考えるようになりました。このようにしてTotteは生まれたのです。

生き残るのは、「特化型」のシェアリングサービス

見渡せばシェアリングビジネスがたくさんある現在、このタイミングであればもしかすると機材シェアリングサービスも普及するのではないかと思い、どういったシェアリングビジネスが成功しているのか調べてみることにしました。

その結果、成功しているシェアリングサービスというのは「何かに特化している」ということが分かりました。例えば、洋服レンタルのairClosetさんやブランドバックレンタルのラクサスさんは、ある分野に特化していますよね。そう考えると、あちこち手を出すよりも、そういう特化型のシェアリングサービスのほうが成功するのではないかと考えました。実際2年前に、家にあるものをすべてシェアリングできるサービスがあったのですが、そのサービスはもう終了していました。

特化していることのもう一つのメリットは、ユーザーのペルソナが明確になるということです。うちのユーザーは撮影機材好きな方々(スチール撮影・動画撮影)がほとんどですから、MAU(月間アクティブユーザー)とかDAU(1日あたりのアクティブユーザー)が増え、広告を出稿することの効果が実証できれば、関心を持つ企業様も増えるはずだと考えています。

機材の受け渡しは「手渡し」で

Totteは、機材の受け渡しは配送ではなく直接手渡しする形をとっています。

配送だと様々なトラブルが発生する可能性がありますが、手渡しだとトラブルを最小限にすることができる。例えば貸し借りの際にその場で機材のチェックができますので、壊れていないかどうか確認できます。カメラの性能なども聞くことも可能ですね。

さらに、借りたかったカメラの使い方がわからなかった場合には、カメラの使い方講座のような形で1時間のレクチャーをしてもらうこともできるでしょう。単にモノのシェアだけではなく、スキルのシェアもできるようになれば、ますます需要のあるサービスになるのではないかと思います。

利用者を第一に考えたアプリの機能

Totteのアプリを起動すると「カメラを貸したい」という人が一覧で出てきます。中には本格的な機材を持っている方もいて、「フォローする」を押すとフォローしたり、SNSアカウントをチェックしたりできます。もちろん個人のプロフィールページもあります。メッセージのやり取りもでき、どこで機材の受け渡しが可能かを直接問い合わせることも可能です。

機材の表示順位・レコメンドについては検討中です。評価(いいね)順でいくのか、その人の検索履歴から好みを分析するのかなど、いろいろあると思います。貸し出している頻度の多い人や、スキルの教え方がうまい人ほど順位が上がったりするようにもできそうです。やってみないとわからないですが、本格的なプロカメラマンの機材は人気が出そうですね。

貸し手が日本人で借り手が外国人の場合、コミュニケーションはどうするのかというと、アプリのチャット上の言語処理をAIか何かで自動翻訳できるようにしようと思っています。「translate」ボタンを押すと、英語で書いてあった文章が日本語に表示される(もしくは日本語で書いてある文章が英語で表示される)といったことも可能です。保険の補償内容についても、日本語だけではなく英語で表示されるようにしていこうと考えていますね。まずは日本語のみに対応する予定で、2019年には多言語に順次対応していこうと思います。

機材の登録の時も簡単です。Totteの検索画面に、例えばキヤノン EOS 5Dと入れます。Totteにはほとんどのカメラのスペックデータが入っているので、総画素数とか撮像素子サイズとか、いちいち入力する必要がありません。借り手にとっても、スペック情報から機材を検索することができます。

これは今後の実装になるのですが、アプリ登録時の機材本体の撮影において、カメラのロゴを自動で認識する機能も搭載しようと思っています。例えば「キャノンEOS 6D」のカメラなら、本体にあるEOS 6DというロゴをAIが自動で認識し、キャノンEOS 6Dの情報を代わりに入力してくれるのです。これができるようになれば、貸す側の負担はほとんど無くなりますよね。このデータベースを作るのは本当に大変で、いまエンジニアが一生懸命作っています(笑)

後編に続きます)

(安齋慎平)

 

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