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消費者の行動を予測!?データ・ドリブン・マーケティングに欠かせない『ハフモデル』とは?

         

ハフモデルとは

データを使ったマーケティングをしている人はハフモデルという言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

ハフモデルとは「消費者が、ある店舗で買物をする確率を求める確率」といいますが、ぱっと言われてもイメージがしづらいかと思いますので、この記事では、

  • ハフモデルとは何か
  • ハフモデルの活用方法
  • ハフモデルの欠点

について説明してみようと思います。ぜひ最後までお付き合いください!

ハフモデルとは

ハフモデルとは、1960年代に、米国の経済学者であるDavid Huff(ディビット・ハフ)が作成したモデルです。

冒頭にもちらっとだけ説明をしましたが、「消費者が、ある店舗で買い物をする確率」を算出することができます。

「消費者は大きな店舗へ足を傾けやすいが、但し、近いほうがいい」という傾向を前提に、消費者が店舗を選択する確立を店舗の面積と距離から算出することが可能です。

ハフモデルで使われる要素 ① 距離


ハフモデルで使われる要素の1つとして距離があります。

これは、自宅や職場などの生活圏と店舗の距離は近ければ近いほど、そこで買い物をする可能性は高まる、という前提です。

ハフモデルで使われる要素 ② 魅力


もう1つは魅力値と呼ばれています。

同じ基準で測ることができる方が良いため、多くの場合は規模(面積)が使われるようです。単純に言ってしまえば、売上面積が大きい方が魅力が大きいという考えです。

ハフモデルの計算式


ハフモデルの計算式ですが、調べてみたところぱっと見かなり難しいので軽くみるだけで十分かも知れません。。。下記のような計算式です。

 

Pij :i地点の消費者が、店舗jで買い物をする確率
Sj :店舗jの売場面積
Dij :i地点から店舗jまでの距離(時間距離の場合もある)
λ :距離の抵抗係数
n :競合店舗の数

となっています。

ハフモデルを使うメリット

ハフモデルを使うことで、計画段階で他のお店の競合状況を踏まえて考えることができます。

お店を競合が多い場所に出店してしまっては効果の最大化は見込めません。せっかく出店するのであれば最適な場所を選択するべきです。

ハフモデルを使えば、特定の場所でお店を出すと仮定した際に、消費者が別店舗に買い物に出かける可能性を算出することができます。

実際には複数の要因が絡むといえど、シンプルな数値として結果が見えるので、1つの検討材料にはなります。検討材料は何もないよりも一つでも多い方が良いです。

ハフモデルの欠点、限界

とは言え、他の計算モデルと同様にハフモデルには限界がありますから、合わせて欠点も押さえておきましょう。

魅力値の変化


ハフモデルでは魅力値と距離が分析要素です。魅力のある店舗に人は引き寄せられますが、自社と競合の両方の魅力を同じ基準で投入をする前提で考えられていました。

ですが、面積の広さ、ただ大きいだけの店舗は今求められていません。なので、魅力値は面積ではなくて別の魅力値を設定する必要があります。

ですが、これが比較対象ごとに違う魅力値であれば設定が難しく、ハフモデルでは出せないことになります。

今ままでは「量的変数」

  • 売り場面積
  • 駐車場台数

重要視される「質的変数」

  • 交通ネットワーク
  • 地域のブランド力
  • 店舗のブランド力

日本では1980年代に修正ハフモデルというものを現在の経済産業省(当時通産省)がだしました。

大規模小売店舗法に基づく出展審査の基準として設定したものですが、この修正ハフモデルをもとに大規模店舗が近隣商店街に及ぼす影響が予測されていました。

近年では、インターネットの普及、消費の多様化が進んでいるので、新業態の店舗が増えることは明らかです。

従来の面積や距離だけでなく

  • 広さ
  • 営業時間
  • 価格
  • 設備の状況
  • 利便性
  • 交通ネットワーク
  • 地域のブランド力
  • 店舗のブランド力

などが関わってくる要素だと言えます。

わかりやすくいえば、床面積が同じくらいのコンビニエンスストアであれば、ブランド力が強い方を人は選びがちですが、そのために大通りを渡る必要があるのであれば、ブランド力よりも立地が

距離の考え方


距離の考え方もシンプルに考えるのではなく、何を買うのかによって距離の重みが変わります。

例えば、飲み物やタバコを買うとなるとわざわざ大きなお店にいって買うというよりも近くのお店で買ってしまうでしょう。

ですが、何十万もする電化製品ともなると近くの小さなお店よりか、大きなお店で購入をしたくなります。

また嗜好品としてのものファッションなどこだわりがあるものに関しては距離よりも魅力がはるかに勝ると考えられます。

トライ・アンド・エラーの必要性


上記2つを考えても近年ではハフモデルが通用していないエリアもあるかもしれません。

その場合には、まずはトライアンドエラーをしてみましょう。

店舗の中には売上実績がわかるお店もあるでしょう。その場合はハフモデルを使い既存のお店の売上と数値を見比べてみるのがよいでしょう。

終わりに

ハフモデルを使って計画段階からより緻密な数字をもとに経営企画がたてられるはずです。もちろん、不確定要素はありますが、何が不確定要素なのかがわからない状態では計画も立てられません。

ハフモデルを使えば、何がデータによって明確になり、何が不確定要素として残っているのかが明確化できるはずです。より細かい街のデータを活用したいのであれば、あさひる統計などを活用してみるとよいかもしれません。

これまで勘や経験などといった感覚に頼っていた部分がデータによって置き換えられ、より確信を持ってビジネスを行える時代になってきています。運用業務を効率化するだけでなく、消費者にとってもよりよいサービスが提供できる環境は確実に整いつつあります。ハフモデルもその中の手法の1つとして有効に使える場面があるはずです。ここだ、という場面があればぜひ活用してみてください!すぐに活用する場面がない場合でも、いつかそのチャンスが巡ってくるかも知れません。その時にここぞとばかりに有効活用できるよう、頭の片隅にぜひ留めておいてください。

それではみなさん、その日までハフ・ア・ナイス・デイ!

(桑折和宗)

 
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