杉山:社団法人のデータ流通推進協議会を立ち上げて理事をやっていますが、これはつまりばらけて存在している様々なデータで共有できるものはみんな共有しよう、という集まりです。各地域のあらゆる団体が、情報を出し合って、何かしらを盛り上げようとみんな頑張っています。過疎化が進んだ場合に、それぞれの地域に大事なことは団結すること。今年になって業界別のIoTプラットフォームが次々と誕生しています。個人や1つの会社だけ頑張ればいい、他のみんなは敵だ、という考え方の元では物事は成立しなくなっていますよね。
斎藤:キーワードはクロスオーバー人材だと思います。長年の経験が意味を持つ時代ではだんだんなくなっています。AIの進化はすさまじく、専門分野で仕事が成立する時間はどんどん短くなっています。じゃあ、人間の役割はどうなるのか、と考えると、いろんな分野を見渡すことができる能力ではないだろうか、そしてそれらをうまく結びつけるクロスオーバーな発想が不可欠です。コミュニティーの役割はいわば別々の分野を繋げる窓のような存在です。人の価値観やロールモデルはコミュニティーを通じてしか知り得ない。単に本を読んだり、ネットで検索するだけでは、本当の意味でのその人との共感はあり得ない。コミュニティーに積極的に参加することでクロスオーバーな視点を育てていかなくてはならない。企業どうのではなく、人として追求していかなくてはならないテーマです。
清水:企業の最小単位は人であることは間違いないです。事業には様々な側面がありますが、それぞれの社員が何かに興味を持ち、興味を持っている分野に積極的に参加することが重要だと思っています。グローバル人材ばかりが大切なわけではなく、興味を持っている人にチャンスを与える、そしてそういう人を増やしていく努力をすることこそが大切なのではないでしょうか。
小島:私の前職のアマゾンは大企業になっても多くのイノベーションを起こしていますが、やはり人を、そして人の好奇心を大切にしている社風があって「Learn and Be Curious」というスローガンもあります。やはり外に気持ちが向いていないと変化の時代に対応できません。逆にその気持ちがあれば創業して20年以上経ってもイノベーションを起こすことができます。個人個人が好奇心を持ち続けることが推奨されていることがやはり大きな影響を与えているのではないでしょうか。
「今日はトーク全体を通して、ゲームチェンジが起こっていること、コミュニティーが重要だということを理解していただけたかと思いますが、この話を聞いた後、実際にコミュニティーに参加したい、と思ってもらえればいいな、と思います」と小島氏が締めくくり、パネルディスカッションは幕を閉じた。
(テキスト:データのじかん編集部 PHOTO:Inoue Syuhei)
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