清水:双方に必要だとは思いません。ベンダー側でやることには十分なスピードを感じないので、ベンダー・ユーザー間には不要ではないでしょうか。ですが、ユーザー同士でやることには意味があるように感じていますし、そちらをより重視していきたい。
斎藤:そもそもコミュニティーに参加している人は上質な人がいないです。恐らく忙しいからだと思いますが。忙しいのもあるのでしょうけど、全体的にあまりにも内向きなのではないかと思うんですよ。上司からの要望に応えることにしか、もしかしたら努力していないのではないか、と。外部の世界を取り入れることは余計な仕事を増やすこと、だと取られかねない。そんな風潮がユーザーコミュニティーの繁栄の足かせになっているのではないでしょうか?
清水:今日のこの場もそうですし、去年のウイングアークのフォーラムで話した時もそうですけど、我々が話すことで最も反応してくれるのは実はベンダーではないんです。その場でも、その後、オンラインでアサヒがやっていることに反応してくれるのはユーザーの方です。
斎藤;それぞれの会社がこれは企業秘密だ、と言いますが、企業秘密なんてないですよ。はっきり言って。どうせ真似できないですもん。これをやっているのはうちだけだ、と言いながら実は他社の方がレベルが高かったなんてこともよくあることですよ。
小島:自分たちは最先端だと思っていたけど、実はそうではなかった、というのは多々あります。それでも、そのギャップを知っていた方がいい。今の変化の時代、一番危険なのは外の世界を知らないことです。乗っている船の窓のない宴会場で騒いでたらいきなり水が入ってくるともう助からない。だから、今の時代、せめて窓から外が見えるところで宴会しなくちゃならない。そして時々甲板に出る、と。甲板がコミュニティーに当たるのではないでしょうか。杉山さんはそういう場所をむしろ作るタイプだと思うが、それは他の人にとっても見晴らしのいい場所は良いことだと考えているからですか?
杉山:今は50社くらいのIoTのコミュニティーを運営しているので、その繋がりで会う人たちと頻繁に話すんですが、例えば、今日会場に来ている200名くらいの方も、毎日何かしらのキーワードをグーグル検索していると思います。朝何かしらの記事が出て、それをここにいる人が見たとすれば、それだけでも200分の1の価値しかない情報になっているわけです。そんな情報に価値があるのかどうかを考える必要があります。本当に価値のある技術を持った人たちと手を組んで何かやりたいと考えるなら、メディアに載った情報を追っていてもすでに遅いのではないでしょうか。
小島:すごいわかります。メディアに載るときにはすでにその情報に対してレイトマジョリティーです。その分野では感度が低い、ということになるかと思います。現場で流れている情報をユーザーは持っています。ベンダー側からそれを流してくる頃にはその情報はすでに古くなっている可能性がある。それでは今の硬直した状態は変えることはできないです。
清水:実際、アサヒでも色々なチャレンジはやっていますが、ユーザー同士がやり取りしている内容をベンダーが取りに行くのが一番速いのではないかと考えています。機能性ではなく、ビジネスがどう成長するのか、という話から入って行くと、ベンダーに相談するのは違うのかも知れないですね。
小島:ユーザーにしてみてもベンダーに相談に行くと、その流れで発注しなくてはならない場合も考えられます。それはベンダーロックにもつながりかねない。ユーザー同士で解決することでこの種のロックインからも解除される。そんな理解でよいでしょうかね。
それでは、次の質問に行って見ましょう。
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