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10月18日は「統計の日」です。これは明治3年に、日本全国の生産物の動向を調査した「府県物産表」に関する太政官布告がなされた日にちなんでいます。
統計の日の今日、統計とデータ分析の違いについて押さえておきましょう!

10月18日は「統計の日」

5月5日は「子供の日」、9月1日は「防災の日」、では10月18日は何の日でしょうか。
正解は「統計の日」です。明治3(1870)年のこの日、国内初となる近代的生産統計である「府県物産表」に関する太政官布告がなされました。当時日本では旧暦を利用していたため、実際に布告がなされたのは9月24日でしたが、現在の太陽暦に換算すると10月18日に相当するため、昭和48(1973)年の7月に10月18日を統計の日として定めることになったのです。

ちなみに府県物産表とは、農・海産物や地域の生産物など産業製品について府県ごとの生産高を集計した表のことです。原本を見ることはできませんが、インターネットで検索すると、『「明治七年 府県物産表」の分析』という論文(*1)がヒットし、当時の各地域における産業を知ることができます。この論文によると、当時の日本全体における産業は、農産物が61%、工産物が30%、原始生産物が9%であり、当時の日本は農産を主軸とする農業国だったことがわかります。

「統計」と「データ分析」の違いとは

今、ビジネスの世界では、統計やデータ分析などのスキルやノウハウが注目されています。しかし、統計とデータ分析は混同されがちですが、同じものではありません。そして残念なことに、統計とデータ分析を混同しているビジネスマンが多いのです。ここでその違いを押さえておきましょう。

まず、言葉の定義を見ていきます。なお「データ分析」に関する公式な定義はまだ定まっていないため、ここでは「分析」としておきます。

統計(statistics)

集団における個々の要素の分布を調べ、その集団の傾向・性質などを数量的に統一的に明らかにすること。また、その結果として得られた数値。

【統計学】
数量的比較を基礎として、多くの事実を統計的に観察し、処理する方法を研究する学問。

分析(analysis)

(1)ある物事を分解して、それを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。(2)(化)物質の検出・特定、また化学的組成を定性的・定量的に識別すること。(3)(論)(ア)概念の内容を構成する諸微表を要素に分けて明らかにすること。(イ)証明すべき命題から、それを成立させている条件を次々に遡ってゆく証明の仕方。

(以上、広辞苑第六版より一部抜粋)

以上を見ると、統計や分析に関し、共通する概念があることがわかります。それは「ある物事の『要素』を分解し、それを『数量的』に明らかにしたり、または『定量的』に識別したりする」ということです。ただし、統計の場合は「物事の性質や傾向を数量的に明らかにすること」という定義なのに対し、分析の方は「論を組み立てる・証明する」という意味も含まれています。実際にビジネスでは、データ分析について「データを使って、仮説を証明したり、現象が起こった要因を考察したりする」という意味で使うこともありますが、それはこうした言葉の定義を暗黙のうちに了解しているためと言えるでしょう。

もう少し簡単に理解したいのなら、総務省統計局が提供している統計データを見てみるといいでしょう。
5年に1度行われる国勢調査は、人口推移や世帯収入などの要素を基に、国という大きな集団の構造や傾向を把握するための統計調査です。また経済センサスのように、ある集団の中から一定の要素を取り上げてその構造を調査し、集団の傾向を探るものもあります。以上のように、数量的に傾向や特性をつかむために、数値の集計や処理を行うことが統計の分野です。

これに対し、特にデータ分析については、結果をより掘り下げて原因や理由を考えたり、仮説を証明・提示したりするために使います。たとえば、ある商品の売上が特定地域だけ突出して良かったという結果が出たとします。具体的に、ほかの地域と比較してどの程度売上が良かったのか、特に売れた時間帯や日付はいつだったのか、どんな人が購入したのか、いろいろなことを調査しなくてはなりません。そんな時、データをドリルダウンしたり、比較表や推移グラフを作成したり、データをさまざまな角度から比較・検討します。そして、そのために使うツールをBI(Business Intelligence)ツールと呼びます。

分解した要素から、集団や事象の傾向・特徴を定量的に明らかにするのか、それとも事業や集団を構成する数値を比較検討して仮説を提示・証明するのかこれがビジネスにおける「統計」と「データ分析」の違いと理解すれば良いでしょう。

いろいろな「統計の日」がある

さて、冒頭に紹介した「統計の日」ですが、実は世界各地にさまざまな「統計の日」があります。国連統計局(UNSD)では、100カ国以上にわたる国々の「統計の日」をリストアップしています(*2)。
アルジェリアやケニア、南アフリカなどアフリカ諸国は、11月18日を「アフリカ統計デー(African Statistics Day)」と定めています。またインドでは、インド生まれの統計学者であるプラサンタ・チャンドラ・マハラノビス(1893-1972)の誕生日・6月29日を統計の日としています。マハラノビス氏は、考古学における骨の判別に統計的手法を取り入れ、その手法は「マハラノビス距離」として現在も名を残しているほか、統計手法を社会へ適用することにも積極的で、1931年にインド統計研究所を設立しました。インド政府は彼の功績を讃え、誕生日を統計の日として残すことにしたそうです。
なお、国連統計委員会 (UNSC)は2010年10月20日を「世界統計デー (World Statistics Day)」に制定しました。

<注釈>
*1 北海道大学 經濟學研究 = THE ECONOMIC STUDIES, 1: 23-58
『「明治七年 府縣物産表」の分析』(著者:山口 和雄)
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/30974/1/1_P23-58.pdf

*2 国連統計局 各国の統計の日
https://unstats.un.org/unsd/dnss/statistics_day/Statistics_Day.htm

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