改めて言うまでもなく、「人財」は規模や業種を問わず、すべての企業にとって最も大切な財産です。これがなくては企業が存在することもできず、また目的をともにする人財なしに成長もありません。自社という組織にとっての価値観や理念が共有でき、設定したゴールへ向かって一致団結し、それぞれの役割を全うできる人間が企業には必要なのです。
ただし、こうした理想論とは裏腹に、現実の企業にはさまざまな性格を持つ人間が集います。すべてのスタッフが、企業のトップである経営者と同じ思想を持つわけではないのです。そこで必要になるのが、スタッフ一人ひとりのパフォーマンスを理解し、個々の貢献度や理解度をいち早く把握することです。
IT的な視点から、人財をデータとして捉えるにはどうすれば良いでしょうか? たとえば離職率を見るだけでも、どのような職場でどれくらいの年齢層が早めに辞めてしまうのかが分かります。全社的に見て、ひとつの部門にそれが集中していれば、そこに不満要素が隠れている可能性があるので、問題を早期発見すべきです。また、人事部が把握している従業員の性格に関するデータや従業員アンケートの結果など、人格を図れる情報があればさらに詳しいことが分かるかもしれません。
こうした人事データ活用は、何もネガティブな部分を発見するばかりではありません。例えば、現在活躍している従業員がどのような経緯を経て入社し、どんな業務をこなしてどのような結果を残してきたか仔細に見ることで、これから伸びていく人財の早期発見に繋げられる可能性も十分にあります。さらに、こうした情報の分析を自動化できれば、健全な人材活用を実行しながら、スムーズなビジネスが展開できるはずです。
企業にとって有益な人財のデータ活用ですが、一方で人をデータ化することが難しいと考える会社もあります。確かに人の心のすべてをデータとして捉えることはできませんが、ビジネスに関していえば一定のレベルでそれは可能です。
何かの目標を作り、その達成具合を指標化することは、営業職や販売部門などでは当たり前にやっています。それを他部署でも、あるいはこれまでやっていなかったアクションに対しても、目標を決めてそれに数字を当てはめることで、物事を具体的にかつ、それが現時点でどの程度の影響があるのか見える化することができます。
例えば、管理部門のように普段、他者との接点が少ない部署に「人脈を広げる」というテーマを与えます。これに、今月は10名と名刺交換するといった具体的な目標を付ければ、その達成具合によって数値化されたデータが集まります。まったく広がらない人もいれば、あっという間に数十名と名刺交換する人がいるかもしれません。そういったデータを蓄積することで、隠れた才能を発揮することもできるのです。
これはほんの一例ですが、こうした人材のデータ化を企業側が実行する際には必ず実現可能なレベルを設定すべきです。せっかくの目標も継続性がなければ意味がありませんから、できることからはじめるのが最善です。
(企画・構成・デザイン:野島光太郎)
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