大企業で「ぜひDXに関わりたい」従業員はわずか12%!
真のDX達成のために今必要なことは?

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みなさんは「ブーム」という言葉に、ポジティブ・ネガティブどちらの印象を持ちますか?
人々の注目が高まり盛り上がりが生まれる、という点に目を向ければプラスに、「一過性」という点に目を向ければマイナスに感じられると思います。

さて、ここ数年「DXブーム」と呼ばれるような状況にありました。ここからブームを乗り越えて真のDXは達成されるのでしょうか? それに対し黄色信号を灯すような調査結果が、2022年5月に発表されました。

本記事ではその結果を取り上げ、DXをブームに終わらせないために必要なものについて考えてまいります!

「ぜひDXに関わりたい」従業員はわずか12%に過ぎない──その理由とは?

2022年5月24日、企業向けITソリューションを提供する株式会社ドリーム・アーツが「大企業の“ヤバい”他人事DXの実態」と題したレポートを公表しました。

ここで注目したいのが「他人事」というフレーズ。

大企業の従業員1,000名を対象としたアンケート調査の結果、「あなたは今後DXに関わりたいか」という質問に対し、過半数を上回る6割が‟DXに対し消極的な姿勢を見せた”というのです。消極的な回答の内訳は、以下の通り。

絶対に関わりたくない

14%

できれば関わりたくない

21%

言われたら仕方がない

25%

そのうえ、残りの4割のうち28%は「少しは興味がある」という回答。
調査対象のうち「ぜひDXに関わりたい」と考えている従業員は12%に過ぎなかったのです。

それはなぜなのでしょうか?

理由についても調査が行われ、「DXの関わりについて否定的な理由TOP3」として以下の3つが掲げられました。

1.面倒くさい
2.大変そう
3.自分にできるか不安

「そんなに消極的でいいのか!」とツッコみたくなった方もいるかもしれません。しかし、これが現場で働く方のリアルな感覚という現実は受け入れるべきでしょう。

このようなDXに対する消極的な姿勢は大企業に限ったものではありません。独立行政法人 中小企業基盤整備機構が2022年3月に全国の中小企業者等を対象として行った『中小企業の DX 推進に関する調査』で、DXに「すでに取り組んでいる」と回答した企業は7.9%、「取り組みを検討している」と回答した企業は16.9%。

一方、「必要だと思うが取り組めていない」企業は34.1%、「取り組む予定はない」企業は41.1%でした。

これらのデータには、大企業、中小企業を問わず、DXブームが現場の意識や取り組みに反映されていない実態が映し出されています。日々先鋭的な事例を見聞きしていると、「DXは多くの人々・企業の間で重視されている!」とついつい考えてしまいそうになりますが、それとデータに乖離があるということは受け止めるべき現実です。

DXに積極的な人材を増やすために立場や権限より必要な「〇〇」


現状を踏まえたうえで考えたいのが「じゃあ、どうすればいいのか」です。

先述のドリーム・アーツ社の調査レポートでは、DXに消極的な人と積極的な人の違いについても考察が進められています。実は今回のレポートは大企業のDX取り組み状況に関する調査レポートシリーズの第4弾で、これまでも「管理職」「IT決裁者」「DX を理解している人で、かつノーコード・ローコードという言葉の意味を理解している人」の3属性に対し、DXの取り組み状況についてアンケート調査が行われていました。

このなかで最も「DXに取り組んでいる」という人の割合が高いのが「IT決裁者(79%)」で、それに「DX を理解している人で、かつノーコード・ローコードという言葉の意味を理解している人(76%)」、「管理職(59%)」がつづきます。

それに対し、「大企業に勤めている人」すべてを対象にした今回の調査で「DX取り組み中」と答えた人の割合は23%。

レポートでピックアップされているのが、「大企業に勤めている人」のうち、44%はそもそも「DXがわからない」と答えているということです。これに、「管理職」という立場よりも、「IT決裁者」などITにかかわりを持つ人やITへの理解が深い人の方がDXに取り組む割合が高かったことと重ね合わせると、立場や権限よりも「知識を持ってもらうこと」がDX推進への取り組み度や積極性を高めるために重要なファクターなのではないかという推論が成り立ちます。

当たり前のことと感じられるかもしれません。しかし、あなたは社内のDX推進において「DX教育・知識の共有」に力を入れているでしょうか? それよりもPoCの実施やシステムの導入といった‟即効性”が高いと感じられる施策に目を向けている方も少なくないはずです。

現状のDXに関する知識のギャップの深さを踏まえると、DXブームを真のDXに昇華するにあたって、社内のDXに関する知識を「底上げ」することの優先度をもっと高めるべきではないでしょうか。

DXリテラシー教育で使いたい『DXリテラシー標準』


DXについて社内の知識を底上げするにあたって、教えるべき項目を網羅し、教育体制を構築し……というステップにかかる労力は決して少なくありません。

そこで活用したいツールの一つが経済産業省が2022年3月に公表した「DXリテラシー標準」です。DXリテラシーとは、DXを自分ごととして捉え変革に向けて行動できるようになるためのマインド・スタンス、Why、What、Howに関する知識のこと。「DXリテラシー標準」には、それぞれの内容と説明、学習項目例が記載されています。網羅的なDX教育カリキュラムをつくるにあたってひとまずこちらを下敷きにすると、検討にかかる時間・労力の節約につながるでしょう。

実際に行動に移すにあたって意識したいのが、以下の2点です。

1.自社にとって身近な題材を用いるなど、自分ごとに感じられる教育内容にカスタムする
2.経営層など職位の高い人材のリテラシー向上にこそ力を入れる

DXに限らず、自分や社内の活用イメージが具体的に描けない知識は定着しません。また、先のドリーム・アーツ社の調査では、社内で職位が上がるほどデジタル・リテラシーも低くなるというデータが取り上げられています。また、「DXを実現するために必要なもの」として2位に3倍以上の差をつけ「経営のトップのリード」と回答されたとのこと。

単なるデジタル化と違い、企業のビジネスモデルや組織構造のあり方の変革までを条件とするDXでは、トップダウン型の取り組みが不可欠となります。古くから「将を射んとする者はまず馬を射よ」といいますが、DXリテラシー教育においてはまずトップから率先して知識を高めていくことが求められるのです。

終わりに


自分の興味・関心を持つ情報だけを摂取することで、いつの間にか全体像を見失ってしまう現象を「タコツボ化」といいます。

DXに日頃から関心を持ち、情報収集に余念がない本記事の読者のような方こそ、DXリテラシーが高い人の意見に囲まれて、いつのまにかDX関連の見解がタコツボ化してしまうリスクも高いのではないかと思います。

だからこそ、全体の傾向をデータで冷静に俯瞰し、真のDXに取り組んでいきたいですね。

【参考資料】
・【大企業の従業員1,000名に聞いた「DXへの認識」に関する調査】会社がDXを推進しているか「わからない」が4割以上DXへの関わりに“消極的”は約6割、理由1位は「面倒くさい」┃DreamArts
・中小企業のDX推進に関する調査(2022年5月)┃独立行政法人 中小企業基盤整備機構
・デジタルスキル標準┃経済産業省

宮田文机

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