「リープフロッグ現象は身近なところではどんな現象なの?」
「なぜ、リープフロッグ現象が起こってしまうの?」
「リープフロッグ現象の由来は?」
このようなことがわかります。自分の会社ではIT化が進んでいないと思う方は必見です。企業で重視すべきテクノロジーも紹介しますので解決の糸口になりますよ。
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リープフロッグ現象とは“既存の技術を経ることなくいきなり最新の技術に到達する現象”のこと。カエルが一足飛びにジャンプするように大幅なステップアップを遂げることからリープフロッグ(カエル跳び:本来の由来は馬跳びという説もある)現象と呼ばれます。
例えば、現在政府や企業により推進されるキャッシュレス化でもリープフロッグ現象は起こっています。日本のキャッシュレス決済比率は32.5%なのに対し、中国は83.0%のキャッシュレス決済比率です。ほんの10〜20年前は技術面で水をあけていた国々に、今では倍以上の差をつけられています(2020年のデータ)。
リープフロッグ現象の原因として以下のものが挙げられます。
それぞれの原因を解説します。
先進国によってすでに技術が開発・改良されているため、新興国は必要なコストや時間をカットできます。
また、新興国は市場が未開拓で、他社製品との差別化の必要がなく消費者のニーズもまだ複雑化していません。そのため、最低限の機能のみ搭載したシンプルな製品をリリースでき、わかりやすさから普及が進みやすいです。
例えば、華為(ファーウェイ)やOPPOなどの中国企業のスマホは、iPhoneのようなブランドや突出した機能の代わりに、そこそこの機能と安価な価格設定によって普及したといわれています。
先進国のようなインフラや教育環境が整っていない新興国では福祉や金融、医療、教育などの分野で大きな改善が求められています。特にこのような分野に対しては、国として率先して援助する新興国が多く、導入し改善すると決めてからの発展が著しいです。
そのような点からも最新の技術に目が向けられ、福祉や金融、医療、教育などの分野でのイノベーションへのニーズが生まれることが多いです。
過去の設備・機器が整っていないことは躊躇なく新しい設備、技術を導入できることです。まだガラケーが使えるからとスマホの購入をためらった経験を持つ方は多いのではないでしょうか?他にも、工場の設備などは数千〜数億円のコストがかかっており、設備を入れ替えると従業員の学習コストも生じるため、なおさら新しい技術の導入が遅れることにつながります。
一方で、中国やインドでキャッシュレス化が進んだ一因には、偽札の横行や高額紙幣の廃止により従来の紙幣の信頼性・利便性が低くなりました。そのため「電子マネーのほうが良い」と考える人が多かったためといわれています。
新興国は法律や制度が十分に整っていないので、先進国のように規制を受けることなく新しい技術の実用化や売買、宣伝活動を進めることができます。また、一部の新興国ではコピー製品(海賊版)に対する規制や抵抗感が十分でないことも、新しい技術の普及には有利に働くようです。
リープフロッグ現象の事例として以下の3つを紹介します。
それぞれについて解説します。
ルワンダの医療分野でのリープフロッグ現象の事例を紹介します。ルワンダで輸血用血液を運ぶドローンは当初シリコンバレーのスタートアップ企業Zipline(ジップライン)によって米国内での展開を目標に開発されました。
しかし航空局の規制が事業の前に立ちはだかり、事業の展開先を途上国へと変更しました。路面が整備されておらず輸送のイノベーションが求められており、政府がICT産業に注力するルワンダへの導入が2016年に決定したといわれています。
ケニアの電子マネーでのリープフロッグ現象を紹介します。モバイル決済サービス「M-pesa(エムペサ)」はプリペイドチャージ式が多いアフリカの国の中のケニアで、チャージした通話料がそのまま送金したり現金化したりできるサービスです。
ケニアでは銀行を利用する環境が整っておらずお金の保管や送金に困る人が多い環境でした。その結果、M-pesaはたった4年で成人の約80%に普及しました。
インドにおける身分証明システムでのリープフロッグ現象を紹介します。インドの生体情報データベース「Aadhaar(アドハー)」は出生証明書や運転免許証などの身分証明書を持つ人がインド国民全体の半分以下という状況を改善すべく導入されました。福祉の需給だけでなく銀行取引やローンの契約などさまざまな領域で身分証明が役立つようになりました。その結果Aadhaarは成人の99%以上が登録を済ませているそうです。
リープフロッグ現象は国と国同士の関係で起こるだけではありません。冒頭で言及した通り、大企業とベンチャー企業の関係でも起こりえます。
やる気のあるベンチャー企業や中小企業はイノベーションへのニーズが大きい点、過去の設備や機器、制度が足かせとならない点で新興国と重なります。一方、大企業はレガシー設備や稟議制度により新しいものを取り入れるスピードが遅くなりがち。「日本特有のSI業界の産業構造」などもあいまって諸外国に比べIT化が進まない現状があります。
こうした現状を打破するには、“いまや日本はテクノロジー環境において新興国を追う立場である”と危機感を持って新技術の導入に積極的に取り組むことが求められます。
企業において重用すべきテクノロジー7種は以下の通りです。
※ユーザー企業IT部門4,000社を対象に行ったアンケート調査の1〜3位を合計し一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)がランキング化。
引用元:企業IT動向調査2019 (2018年度調査)┃一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)
これら7種のテクノロジー活用に貴社はどれだけ積極的に取り組めているのか、立ち止まって考えてみてください。
リープフロッグ現象について、国家・企業の例を紹介しつつ取り上げました。
新興国やベンチャー企業ににテクノロジー環境で後れを取りつつあることに危機感を覚えた方も多いのではないでしょうか? 近年では新興国で普及した技術やサービスが反対に先進国に持ち込まれる「リバース・イノベーション」が起こることも珍しくありません。
IT化の新規技術の導入や更新において既存の技術が存在する先進国や大企業は不利であるという現状を踏まえて、新興国・他社を“追う”意識で環境の刷新に取り組んでいきたいですね。
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