フェムテック(FemTech)、という言葉をご存知でしょうか?
この造語は、英語で女性を意味する「Female」と「Technology」を組み合わせたもので、技術を活用して女性特有の課題を改善するウェルネスサービス分野を表します。
女性の生き方が多様化する今、女性の体の周期や健康に寄り添う新たなサービスの需要がどんどんと高まっており、その期待の一翼を担うのが、フェムテック、というわけです。実際、ここ数年で、海外のスタートアップ市場でもフェムテック分野の新規事業の存在感が増してきています。
そこで、今回は、女性だけでなく、パートナーや友人、会社の同僚など様々な立場で女性と関わる男性にも知ってもらいたい、フェムテックという新しい分野について解説します。
多くの女性を悩ませる月経や妊娠、出産に関する様々な課題について技術で寄り添うフェムテック。そんなフェムテック関連の市場規模はいったいどのくらいなのでしょうか?
アメリカ大手の調査会社、CB Insightsによると、2013年から2018年にかけ、フェムテック関連事業の取引数は倍増し、2018年には、全体で5億ドル(約540億円)の資金調達がなされています。
こうした状況の中、マーケティングリサーチを専門にする調査会社のAbsolute Markets Insightsは、今年、2027年までに530億ドル(約5兆7000億円)規模まで成長する、という見立てをつけており、その期待値の高さが見てとれます。
フェムテックと一口に言っても、実際、どんなサービスがあるのか、なかなか想像がつかないという人も多いのではないでしょうか。そこで、フェムテックのメインストリームとなる事業をいくつか紹介します。
フェムテックの中でも注目度が高い分野が不妊治療です。
例えば、2016年に2億ドル(約220億円)の資金調達を行ったスタートアップ「Prelude Fertility」は、不妊治療クリニックのネットワークを作り、体外受精や卵子提供、遺伝子検査、卵凍結などの不妊治療に関するサービスを提供しています。
また、実際に医療を施すわけではなけれど、医師の監修のもと、不妊治療関連の情報を共有できるサービスなどもあります。
多くの女性にとって欠かせないのが、手軽な月経周期の管理です。月経周期は、妊娠のほか、様々な病気の影響も反映されやすいため、女性の健康を測る重要なバロメーターであり、近年では、スマホアプリなどで管理する人が増えてきています。ほとんどの女性にとって必要である、というだけに、マーケットとしても非常に安定している分野です。
その中でも特に話題になったのが、中国発の月経周期を管理する女性向けヘルスケアアプリの「Meet You」です。同社は、2016年に、1億5100万ドル(約160億円)を調達し、スタート。また、アップルが提供するiPhoneの最新版であるiOS13でも、デフォルトで月経管理機能がつくなど、大手も注目しつつある分野です。
人生のターニングポイントとなる、妊娠、育児をサポートするサービスは妊娠の経過記録や、子供の成長状態を教えてくれるアプリから、胎児の心音を確認する機器、さらに、ウェアラブルな搾乳機など、多岐に渡ります。
産前から産後にかけて、体型が大きく変化する人も少なくなく、特に影響の大きい骨盤を補助するための機器なども人気のある分野です。
乳がんや子宮頸がんなどをはじめ、深刻なものから軽度のものまで、婦人科系の病気に関するサービスにも期待が集まっています。例えば、オンデマンドの遠隔医療を提供する「Maven Clinic」は、医療の他にも、女性の心身に関する専門家のネットワークを提供したり、企業や学校向けに、学生と従業員が気軽に女性特有の病気に関する相談をできるオプションを提供しているということです。
また、遺伝子検査なども人気で、特に、2013年に女優のアンジェリーナ・ジョリーが遺伝子検査から乳がんのリスクが高いとして、健康な乳房を切断し再建手術に臨んだ、と言うニュースがきっかけで世界的に認知度を高めました。
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