総務省が2013年にまとめた報告書(*)には、これまでネットワークにつながっていなかった「モノのICT化」により、「データの社会インフラ化」が進展。企業内・組織内のデータ利活用は、企業間・組織間の枠を超えたものとなり、さらにオープンデータや世界中のビックデータの利活用へ発展していくことが予測されている。
実際、2016年はIoT躍動の年となり、企業はいまだかつてない変革が求められるようになった。そうした中、ウイングアーク1stは、データ活用により顧客の企業価値向上に貢献する「Data Empowerment Company」という方針を前面に打ち出した。その詳細とこれからの展望が語られた「WingArc Partner Conference 2017」をレポートする。
*:総務省「ICTコトづくり検討会議報告書」
2017年4月14日、恵比寿のウエスティンホテル東京で開催された「WingArc Partner Conference 2017」には、ウイングアーク1stのパートナー企業の営業・技術者などおよそ500名が参加。例年と異なるのは、パートナー制度「WARP」の契約企業だけでなく、アライアンスパートナー企業や幅広いビジネス関係者も数多く参加したことだ。そこには「ビジネスモデルの変革」に向けた姿勢が表れている。登壇した影山泰仁執行役員CSOは、システムやソフトウエア、サービスの提供だけでなく、その先にある、顧客の求める「成果」の実現に応える企業へと変革する方向性を力強く表明した。 それは自社だけではなく、パートナー企業やさまざまな企業との「共創」によってはじめて実現できるとし、その「成果」につながる場=ビジネスプラットフォーム化への参加が来場した各企業に呼びかけられた。その具体的なイメージを、ゲストとして登壇したコミュニティマーケティングの第一人者である小島英揮氏は「ボーリングピン戦略」という言葉で解説した。
「ボーリングで10本のピンを倒すために10個のボールを必要とはしません。適切なピンに当てればいい。変化の激しい時代にあって、何が適切なピンかを探し出せば、マーケット全体にリーチできるのです。その時に大切なのがコミュニティです。たとえば、あるサービスを使っているユーザーに、その良さを“自分ごと”として一歩先へ伝えていただく。そうすれば伝えられた相手も“自分ごと”として捉えやすい。WARPや関係企業が、良いと思い、広めることに関わっていくことでビジネスが大きくなっていく。この“自分ごと”化が『共創』です」(小島氏)
イベント中盤では「WingArc Partner Award 2017」の受賞式が行われた。これは昨年度1年間に目覚ましい実績をあげたパートナー企業に贈られるものだ。受賞企業からはウイングアークとの『共創』による成果や同社に対する期待などが語られた。
「我々は、創業以来、情報が価値創造の源泉だと考えてきました。そしてERPの中にある業務データを深掘りし、状況をしっかり把握して経営に活かす、ということを長くやってきました。現在、企業の“中”にあるデータは多様化し、大量の文章、IoT、さらには会話の中にも価値あるデータがある。これらを交換、あるいは合算し何かが見えてくる。そして企業の“中”だけでなく、“外”の業界のデータ、あるいはオープンデータ、さまざまなデータと掛け合わせることでさらに新しいものがみえてくるでしょう。そこにイノベーションを起こし、価値を生む、「知の探索」を可能にする環境を実現していくことを考えています」
そこで大切なのが自社のポジションだと内野弘幸代表取締役社長CEO は言う。顧客に「ウイングアーク1stは、公平なポジションにいるから“つながって”ビジネスができる」と言われることが、自社の強みだと分析。その力、リソースは“社員そのもの”であることを強調した。その上で、「イノベーションを起こす企業」として、将来の自画像を描く上で必要なのは、さらなる社内の変革、社員の意識変革が必要だという考えを示した。
ウイングアーク1stでは、すでに社内の「働き方改革」に積極的に取り組み、その実践が紹介された。就労制度の模索、テレワークの活用、朝活や夕活、コミュニティルームを活用したさまざまなチャレンジ、それを社員自ら思考し実践するための「BIコンテスト」には、全社的な応募を募り、146名が応募した。コンテストでは、会社がクラウドのプラットフォームを用意し、社員は自社のソリューションを活用してさまざまなアイデアを形にしていった。こうした取り組みを、企業の枠を超えて実践し、イノベーションを起こしていく。相互に企業価値の向上を図る。それこそが、ウイングアーク1stが目指す、オープンイノベーションの姿だ。
最後に、内野CEOは、参加者にこう呼びかけた。
「継続的なイノベーションの仕組みを作って行くために必要なのは、“変えたい”と本気で思うこと。そしてそれを実行することです。みなさんも一緒にやりましょう!」(内野CEO)
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