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コロナ禍を経て、リモートワークが広がり、働き方が多様化する昨今。年収はどのように変わっているのでしょうか?
データのじかんでは過去にもジェンダー・学歴・雇用形態などの違いによる年収状況をまとめた記事を公開しましたが、今回は世代別の平均年収に焦点を当て、それぞれの世代においてジェンダーギャップがどのくらいあるのかを調べてみました!
収入は日々の生活に大きく影響します。一方でお金は人を幸福にするのでしょうか?
ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマンを含むチームによると、年収50万ドル(7000万円)までは、年収に比例して幸福度も上がる傾向が見られたと言います。
カーネマンは2010年には、年収6万-9万ドル程度で横ばいになり始めると結論づけていましたが、時代の変化によるものか、どうやら結果は変わってきたようです。50万ドルは被験者における最高所得群のため、50万ドル以上の人々において幸福度がどうなるのかはまだ未知ということです。
一方で一年間に7000万円もの高額を稼げる人々はごくわずかというのも当然ながら事実です。それでは、一度現実に立ち戻って日本の平均年収というのは今、一体どのくらいなのでしょうか?
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」のうち、「きまって支給する現金給与額「年間賞与その他特別給与額」を足し合わせ、平均的な年収を算出すると、全体で約507万円(年齢43.9歳、勤続12.4年)、男性の場合は、約570万円(年齢44.6歳、勤続13.8年)、女性の場合は約400万円(年齢42.6歳、勤続9.9年)となっていました。
全体の給与を2019年と比較すると3.4%の増加となっています。
コロナ禍を通じ、見通しが不透明な時期が続いたことで、リモートワークやフレックスタイム制など多様な働き方を支えるさまざまな制度が広く導入されるようになりました。
そうした中で、妊娠・出産や介護などのライフイベントに伴い中断されがちだった女性のキャリアが継続しやすくなった印象があります。
この実感は実際のところどのように数値に反映されているのでしょうか?
その実態を探るため、まずは2023年の最新の状況を整理します。
2023年の年代別の推移を全体、男女別でグラフ化したものが以下になります。
全ての年代において、女性より男性の方が年収が高いことがこれを見るとよくわかります。
女性の年収の増加は30代後半でほぼ横ばいとなり、40代後半でピークを迎えています。一方で男性は定年前の50代後半まで年収の増加傾向が見られます。
ここで、男性の賃金を100とした場合、年代別のジェンダー間の年収比率を見てみましょう。
仕事を始めたばかりの10代後半〜20代後半までは、女性の平均年収は、男性の90%程度。平均年収は女性の方が低いものの、大きな差を感じづらいと考えられます。
一方で、妊娠・出産、育児、介護などライフイベントが発生しやすい30代に入ると年収差はグッと増え、30代後半には、8割を切ります。
そのままギャップは定年まで埋まることなく広がり、50代後半では女性の平均年収は男性の65%程度まで下がります。金額に換算するとその差は260万円となります。
それではここで、2023年と2019年の年収について男女間の差を比較します。
30-50代の世代ではおおむね、2019年よりわずかではありますが、ギャップが埋まっているといえます。
一方で20代のギャップは拡大。さらにギャップが広がっているのが、60代以降です。
ここで、ジェンダー別に2019年から2023年にかけての賃金の増減率を見てみましょう。
特に増加幅が大きいのは、10代女性と60代以降の男性です。
20代においてジェンダーギャップが広がっている背景には、この数年、新卒の給与が上がっているというニュースを聞く機会が増えていますが、女性が多い職種では、賃上げの波が来ていない可能性などが背景にあると考えられます。
一方で給与が大きく増加している10代女性では、介護業界や看護師などの職種で、近年大きく昇給がみられることが影響している可能性があります。
また60代以降の男性の増加幅について、2021年に定年後再雇用について「高年齢者就業確保措置」が追加され、企業に、70歳までの高年齢者の就業機会を用意する努力義務が与えられたことがあります。再雇用においては定年前の年収が考慮されるため、その影響もあり50代のギャップが持ち越される形でジェンダーギャップが広がったのではないでしょうか。
もう一つ、注目するべきは40代後半から50代後半の男性の賃金上昇幅の低さです。氷河期世代に該当し、非正規雇用が多いこの世代において、正規雇用との給与ギャップが反映されているといえます。一方で女性は氷河期関係なくこの年代では、非正規が多いため、影響は少なくなっているといえます。
なかなか埋まらない収入のジェンダーギャップ。一方で今後少子高齢化が進む中、働く女性の存在は非常に重要になります。年収は上がれば上がるほど幸福度が上がる、ということで、男女問わず、年収を上げながら、ギャップを埋めていけることが理想的ですよね。
(大藤ヨシヲ)
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・高年齢者の雇用 |厚生労働省)
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