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ちょびっとラビット耳よりラピッドニュース #056 :女性なくして社会は回らない!それを世界に知らしめたアイスランドの「女性の休日」とは?

ちょびっとラビット耳よりラピッドニュース #056 :女性なくして社会は回らない!それを世界に知らしめたアイスランドの「女性の休日」とは?

         

まいどどうも、みなさん、こんにちは。

わたくし世界が誇るハイスペックウサギであり、かのメソポ田宮商事の日本支社長、ウサギ社長であります。まさかとは思いましたが、またもや水曜日がやってまいりましたのでこうしてまた記事を書かせて頂いております。いやぁ、それにしても、野球のワールドシリーズは盛り上がりましたね。わたくしはリアルタイムでは視聴しておりませんでしたが、テキストアップデートで延長戦の様子を追っておりました。先日のトランプ大統領と高市首相の対談も一緒に野球を見ていて開始が遅れた、というくらいには大谷翔平選手を始めとするロサンゼルス・ドジャースの活躍はある種、世界的なセンセーションとなっていると言ってもよいのではないかと思います。就任早々、外交の日々が続く高市首相ですが、初の女性首相ということもあり、日本の政治に新しい風を吹き込む存在になっていただければ、と秋空の下、期待に空高く耳を伸ばしているわたくしであります。ニュースで断片的に見るだけでも各国首脳と対面する際の表情が豊かであり、石破さんとは真逆の感じが個人的には好印象のスタートなのではないかと感じております。

日本における政治と女性の略歴:

思えば、女性が政治に参加できるようになってから、というか、政治に一般市民が投票という形で参加できるようになった「普通選挙法」が制定されたのが1925年と100年前に遡るわけですが、それ自体もそう考えるとまぁまぁ最近なわけです。ちょうど山手線がぐるっと一周繋がったのと同じくらいに時期に当たるわけですが、女性の政治参加となるとそれよりだいぶ後になります。具体的には、GHQ(連合国軍総司令部)の占領政策のもと、日本政府が女性参政権を認める方向へ転換し、1945年12月に改正「選挙法」が公布され、20歳以上の男女すべてに選挙権が認められました。そして1946年4月10日、戦後初の衆議院議員選挙が行われ、39名の女性国会議員(全議席の約8.4%)が誕生しました。そういう意味では女性の選挙権が認められてから議員誕生までの期間はかなり短かったことがわかります。

しかしながら、女性議員の比率は低いままに推移していき、女性の総理大臣が誕生するまでにはそれからなかなか長い年月が必要でした。選挙権が男女に認められ、女性国会議員が誕生するまで20年くらいですが、女性が首相に就任するまでにはそこから80年近くかかったことになります。

女性によるストライキの歴史

女性が政治に参加することであったり、職場で平等な賃金や地位を手にしたりするために女性たちはあらゆる手段をつくしてきました。今の時代であれば、そこまで違和感のある話ではないかも知れませんが、違和感というのは所詮世論と言いますか、マジョリティがどこにあるのか、自分の立場がどこなのかなどによっていとも簡単に変化してしまうどこまで言っても「それって個人の感想ですよね?」で片付けられてしまう範疇のものなので実は当てにならないことこの上ありません。やはりデータや歴史的事実に基づく考察が必要なわけであり、そのためのデータのじかんであるわけであります。

さて、女性が女性の権利を求めて立ち上がった事例は歴史上それ以前にもいくつかあり、代表的なものを言うと、1908年にアメリカ・ニューヨークで被服工場の女性労働者が劣悪な労働環境に抗議してストライキを起こしたり、1917年ロシア・ペトログラードで「パンと平和を求める」女性労働者のデモが行われました。このように前例はあったものの、1975年10月24日にアイスランドで行われた「女性の休日」はまたそれまでの流れとは一線を画すものでした。今回はこの「女性の休日」について少し掘り下げてみようかと思っております。

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女性の休日とは?どのようなインパクトがあった?

1975年10月24日にアイスランドで行われた「女性の休日」の何が革命的だったかというと、何か物珍しいことを「やった」というよりも、普段やっていたことを「やらなかった」という点に尽きます。その日、アイスランドの女性の約90%が、有給労働と無給の家事・育児などのいわゆる無給労働を1日ストップさせたのです。彼女たちはオフィスや工場、商店、学校・保育所など、女性労働者が多く従事する職場をボイコット(出勤・就業を停止)しました。そして、家事・育児・家庭内労働を普段通りには行わず、「通常通りの家の仕事をしない」ことで、これらのタスクを男性や他の家族に丸投げし、女性が担ってきたケア労働の「見えなさ」と「重要さ」を浮き彫りにしたのです。そして女性たちは各地でデモや集会を開催しました。首都レイキャビックでは2万5000人もの女性が集まりました。

その結果、多くの女性が従事していた水産加工工場は休止に追い込まれました。そして学校・保育所が閉鎖または部分的に機能停止、新聞の印刷が女性タイプセッターの不在で遅延するなど、社会インフラの多くが女性労働に依存していることが浮き彫りになったのです。これにより、「女性がいなくては社会は回らない」という極めてわかりやすいメッセージを国全体に鮮明に刻み込んだわけであります。

このストライキの影響は甚大でした。翌年1976年には、アイスランド議会が「男女の平等な権利」を保障する法律(Gender Equality Act)が成立し、性別による差別を法的に禁止する体制が整備されました。そして、ストライキから5年後の1980年8月にはビグディス・フィンボガドッティル(Vigdis Finnbogadottir)氏が女性として初となるアイスランドの大統領に就任しました。

このストライキが成功した要因として「ストライキ」という名称を用いなかった、という点が指摘されています。ストライキというと「戦い」を連想させますが、彼女たちが実行したのは「日々の戦いからの休日」でした。この言葉の置き換えにより多くの女性たちがこの運動に賛同し、かつ参加するハードルを下げ、結果的に9割近くの女性たちが参加することになった、と言われています。この女性の休日が引き金となり、アイスランドは、その後も長年に渡り、国際的な「ジェンダー差別の少なさ」ランキングで上位を占めるようになりました。女性の休日がいかにして実現したのかに興味がある方はドキュメンタリー映画「女性の休日」をぜひご覧になってみてください。

まとめ:「やる」は「やらない」に勝るとは限らない

男女平等を促すきっかけとなったインシデントとして「女性の休日」の話はよく使われますが、その重要性は当然のことながら、わたくしとしてはこの「休日」という言葉のマジック、そして、休むことによって生み出されるインパクトの重要性を最後に強調しておきたいと思います。女性たちは、普段やっていることを「やらない」選択をすることにより、普段やっていることの重要性を他者に体感させることに成功しています。わたくしのように経営者をやっておりますと、多くの従業員と一緒に働くことになるわけですが、特に日本においては多くの真面目な従業員の方は、自分のやっている仕事の重要さを「やり続けること」でアピールしようとしてしまいます。自分がいないとこの職場は回らないので自分が休むわけにはいかない、という姿勢を何年も続けてしまい、有給休暇もろくに取らないような働き方をする方もいらっしゃるのですが、これは仕事の属人性を高めてしまう、という別の難しい問題を生み出してしまいます。それよりも、ここは一つ、この女性の休日の例に学び、敢えてある程度の休みを取り、自分の不在期間中に自分の重要さを他者に体感してもらう、という無言のアピールという手法を採用してみることをオススメしたいと思います。

本当に自分の仕事が重要で自分がいないと職場が回らないのか否かというのはいなくなってみないとわかりません。鳴り続けている音楽がどれだけ美しいのかに気付くためには音楽は一度止まらなくてはならないのです。美しい音楽には休符があります。楽章も変わります。そこにいる観客とその観客を支配する空気によってフェルマータの質も長さも変わってきます。なにかを「やる」はいつも通りのことを「やらない」に勝るとは限らない、ということをこの女性の休日は我々に教えてくれているように感じております。本当に自分の仕事が自分にしかできないのかについて客観的に判断することも時には必要です。現場のあれこれはあるかと思いますが、経営者目線から言うと、自分にしかできないように仕事を意図的に複雑化している真面目すぎる従業員はそれほどありがたくありませんし、そもそも一人の人間にしかできない仕事なんていうのは本来存在しません。存在するとすればそれは1分将棋になった時の藤井聡太六冠の読み筋の鋭さやワールドシリーズの最終戦に登板することを期待され、それをやり遂げた大谷翔平選手レベルの話であり、一人の会社員においてそんなことが存在している場合はそれは会社の構造としてなにかしらの綻びがあると言わざるを得ないわけです。ですので、たくさんの言葉を並べて理解してもらうよりも、不在を感じてもらい、それが意味することを理解してもらうことで助け合いの精神と互いに対する感謝の気持ちを高める、というのはまことに持って高等極まりない戦術であり、当時のアイスランドの女性たちがそれぞれ感じていた歯痒さが集結し、目に見える形として露呈した結果生み出されたものだったために社会に対する影響力という意味でも非常に強いものになったのではないかと感じる次第なのであります。女性たちなくしてこの世界は機能しない、というのは常にわたくしが強く感じていることであり、今回は、高市さんが女性として初の総理大臣に就任されたことを記念し、よい機会というか一つの歴史的なマイルストーンのように思えたので女性の権利とその軌跡についてのお話しを取り上げてみました。もっと言うなら、男女だけでなく、ニンゲンもウサギも同じように扱ってもらえる世界をわたくしは望んで止みません。もしかしたら、そのうちニンゲンも人格を持ったAIも同等になる世界線が来るのかも知れないわけですし。

そんなわけで、また再来週の水曜日にお会いしましょう。ちょびっとラビットのまとめ読みはこちらからどうぞ!それでは、アデュー、エブリワン!

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(ウサギ社長)

 

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