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梅雨真っ盛りで、来る日も来る日もどんよりとした曇り空。気分が滅入ってきますね。はぁ…。
なんてため息をついている場合ではなく、ここからビジネスチャンスを生むのがビジネスマン。というのも、問題解決のフレームワークに「空・雨・傘」というのがあるらしいのです。
いったいどんなものなのか調べてみたので解説します!
さぁ出かけよう、というときに雨が降っていなくても、梅雨の時期ならまずは窓から空を眺めて「雨は降りそうかな?」と考えてみますよね。
そして、たいていはどんよりとした曇り空なので「こりゃ降るな」というわけで「傘を持っていこう」と、傘立てから1本選んで出かけます。
なんでもない梅雨の朝のルーチンですが、これがまさに問題解決のためのフレームワーク「空・雨・傘」なんです。このルーチンを分解すると、 下記のようになります。
まさに、問題解決に欠かせない3つの要素を含んだフレームワークになっているのです。では、「空・雨・傘」のそれぞれの概要を下記にて紹介します。
順に紹介します。
空雨傘の「空」は、現状確認を指します。
空において大事になるのは、「現状」のみを正確に確認・認識し、伝達することです。よって、その現状・事実には解釈や行動を入れてはいけません。
具体的に下記の例を見てみましょう。
「晴れているけど、雲が多いから午後は曇りもしくは雨が降りそう」
上記の場合、現状は「晴れている」のみです。「雲が多い」や「午後は曇りもしくは雨が降りそう」といった点は解釈に含まれます。
「雲が多い」や「曇りそう・雨が降りそう」という基準は人の主観によって変動するため、人によっては「曇りそうだけど雨は降らなさそう」と解釈する可能性もあります。
よって、空は現状・事実のみを確認するようにしてください。
空雨傘の「雨」は解釈を意味します。
「空」で現状・事実を確認したら、次にはその事実に基づいて正しく解釈する必要があります。この解釈が抜けてしまうと、聞き手側には「それでどうするの?」と感じてしまいます。
では、2つの例文を見てみましょう。
①「空が曇っているから雨が降りそうだ」
②「空が曇っているから、明日は晴れそうだ」
①の場合、事実に基づき、ロジックに逸脱していない解釈と言えるでしょう。しかし、②をみると、聞き手側は「なんで晴れそうなんだ?」や「どうしてそう判断したんだろう?」と疑問に持つことが多いと思います。
簡単な例を用いて紹介したため、上記を見ると「そんな間違えはしない」と思う方がいると思いますが、ビジネスでは上記のようにロジックから逸脱した解釈をしてしまう場合が容易にありえます。
例えば、企業の従業員が企業側に不満を持っているとしましょう。(事実)この場合、正しい解釈は「従業員の不満がこのまま溜まってしまうと、退職者がでてしまう可能性がある」となります。
しかし、解釈が飛躍してしまうと、「従業員が不満を持っているのは残業のせいだ」と原因を決めつけてしまい、根本的な解決に至らない結果となってしまいます。
よって、現状・事実に基づいて正しく解釈するようにしましょう。
空雨傘の「傘」は、判断・行動を意味します。
この判断や行動が抜けてしまうと、聞き手側には「どうするのが良いの?」や「そう解釈して、あなたはどうしたいの?」と思われてしまいます。
「傘」において注意するべき点として、「ロジックに対して飛躍・逸脱した行動を取らないこと」と「解釈に対して短絡的な打ち手を取らないこと」の2点が挙げられます。
上記2点はなにを指すのか、具体例を用いてみてみましょう。
「今日は雨が降りそうだから、白い靴を履いていこう。」
上記の例はロジックから飛躍・逸脱した行動です。上記の行動を行ってしまうと、聞き手側は「なぜ?汚くなるよ?」と感じるでしょう。
この場合の正しい判断・行動は、「防水スプレーを使おう」もしくは「長靴を履く」といった行動です。
よって、空雨傘の「傘」に関しては、「ロジックに対して飛躍・逸脱した行動をとらない」や「解釈に対して短絡的な打ち手を取らないこと」に注意して判断・行動をしてください。
前章では、「空・雨・傘」それぞれの特徴を紹介しましたが、ではなぜ空雨傘を意識する必要があるのでしょうか。
本章では空雨傘を意識する必要性を2つ紹介します。
順に解説します。
空雨傘を意識することで、「事実・解釈・行動」を分離して考えることができます。
前章で例を用いて解説した通り、人間は「事実・解釈・行動」を混同させてしまうことが多いです。特に、事実と解釈は混同してしまうことが多いため、空雨傘モデルを意識づけすることで、「事実・解釈・行動」を分離して思考する癖がつくでしょう。
2つ目の必要性としては、「事実から解釈を導き、解釈から行動を導く」という空雨傘の順序にあります。
人間は、望む行動を実現するためなら、解釈や事実を都合よく作り上げてしまうことが多いので、事実から読み取った解釈によって行動を導く空雨傘モデルであれば、都合よく解釈や行動をしてしまうミスは起きづらいです。
たとえば、あなたの会社ではウェブサイトからの問い合わせ数が減っていて、上司から「問い合わせ数が増えるようになにか施策を打ってくれ」と頼まれているとします。
あなたは頭を捻って「問い合わせ数の減少を解決するための施策」を考え始めることになりますが、ここで役立つのが「空・雨・傘」のフレームワークです。
まずは現状を分解して「空・雨・傘」にあてはめて考えてみましょう。
1.空=現状確認
ウェブサイト経由の問い合わせ数が減少している
2.雨=解釈
なぜ問い合わせ数が減少しているのか?
3.傘=判断
問い合わせ数の減少を解決するために何が必要なのか?
上記となります。
「現状確認」は上司からの相談ですでに完了しているので、「解釈」と「判断」をするのがあなたの仕事です。
ここで、あなたは「空=現状確認」した後すぐ「傘=判断」を下そうとしていませんか?
「ウェブ問い合わせが来ない」→「web広告を出す」「webサイトを変更する」などという判断する際に、その根拠を確認していますか?
「空=現状確認」の後、すべきは「雨=解釈」なのです。「問い合わせが来ない」という事実をどう解釈するか?が空・雨・傘のフレームワークのポイントです。
問い合わせが減っているのは、ウェブのアクセス数が減っているのか、アクセス数は同じだがフォームで脱落しているのか?いや、ウェブの掲載されている商品自体に市場のニーズが減って来ているのかもしれない、もしくは、口コミで悪い評判が立っているのかもしれない。
空がどんより曇っていても、雨が降らないと解釈する人もいれば、濡れても良いと判断する人、カッパを着れば良いと判断する人、もちろん傘を持っていく人もいます。どう解釈するかは人によっても、状況によっても異なります。その解釈に役立つのがデータです。
問題を解決するためには、一人で考え込んでいても仕方がないことをこのフレームワークは教えてくれます。
解決策である「傘」を導き出すためには、「雨が降りそうだ」と的確に解釈しなくてはいけませんが、解釈のための材料が自分の中にあるとは限らないからです。
曇り空を見て「雨が降りそうだ」と解釈することは容易でも、問い合わせ数が減少している理由を一人で導くことはできないでしょうし、やるべきではありません。
曇り空を見て「今日は槍が降るかもしれない」と甲冑を着ていくような見当違いをしかねないからです。
Google Analyticsなどのアクセス解析ツールやUIテストの活用、過去の問い合わせの自然文分析などから、なぜ問い合わせが減少しているのかを知らなくてはいけません。
その上で、ようやく「傘」つまりは問い合わせ数の減少の解決策を導き出すことができます。
「空・雨・傘」は、問題解決は「事実確認・解釈・判断」のうちどれが欠けても成立しないことを教えてくれるフレームワークです。
とくに「雨=解釈」の場面ではデータ分析が有効でしょう。問題に突き当たったら、この「空・雨・傘」を思い出してみてください。
(塚岡雄太)
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