About us データのじかんとは?
「上司からBI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)ツールについて調べろと言われたけど、何を調査すればいいのかわからない」
「BIツールとかデータ分析とかってよく話に聞くけど、ウチの会社でも使いこなせるのだろうか?」
世の中にBIツールは数多く存在します。ですが、インターネットで検索して、BIツールを比較した記事を見ても、今ひとつイメージがわかない。そんな経験をもつ人も多いと思います。
そんな人のために、BIツール研究所のメンバーが、合計8本のBIツールについての記事を作成しました。前半4本ではBIツールを探すポイントや導入時の注意点、そして導入後に実施しなければならないことを解説していきます。後半4本はよりテクニカルな内容で、データ利活用の推進のポイントを解説します。
第1回の本記事では、BIツールを選ぶときにこんな視点を持つといいですよ、という紹介をしていきます。
データアナリストの有志で立ち上げたコミュニティです。ミッションは「BIツールの情報をオープンにし、誰もが意思決定につなげられるように支援する」ことです。各ツールのメーカーの意見ではなく、利用者としての客観的な事実や課題の解決方法について、YouTubeや書籍、メディア記事などで発信しています。
BIツールは、あらゆる情報を可視化し、意思決定の支援をするシステムです。業種や業界を問わず、データを多角的に収集・加工・可視化して次のアクションにつなげる役割があります。
例えば営業部門でBIツールを導入すれば、自分の日々の予算達成率を見たり、自分が保有している商談を一覧で見たりすることができます。いつまでにどのような行動を起こせばよいのか、今までのアプローチ方法のまま進めてよいのかを検討できます。
マーケティング部門の活用例には、ある商品が売れている要因を分析し、お客様が商品を見つけて購入するまでのプロセスを追うことがあります。さらなるプロモーション戦略を練ることが可能になります。
このようにヒトがアクションするために必要な情報を集め・可視化をすることがBIツールには求められます。
このように、BIツールの機能は多岐にわたります。もちろん、海外で作られた製品でも、国産の製品でも、基本的な機能は最低限押さえられていることが多いです。
そのため、「このBIツールにはこの機能があるかな?」という視点でツールを選定しようとすると、どのツールにも「○」がついて困ってしまうケースもあります。
ですが、それぞれのBIツールはこだわった特長を持っているのです。データを表現することに特化していたり、ExcelやPDFにエクスポートしてチャットツールで配布することに特化したりするものもあります。
さて、BIツールを導入したいというときに、まずは何を考えればよいのでしょうか。大事なポイントとして、自社で求めているアウトプットの形式を考えてみるとよいと思います。
世の中のBIツールのアウトプットはおおよそ以下の3パターンに分類できると考えられます。この3つから自社で求められているのはどのタイプか、またはどのタイプとどのタイプなのかを検討しておくと、BIツールを選定する際に、求めるツールがグッと絞り込めます。
それぞれを解説していきましょう。
レポーティング型のBIツールは、アウトプットの形式が決まっているもので、「定型帳票」や「固定帳票」ともよばれます。すぐに想像できる使用用途をあげてみます。
上述した、営業部門の「自分の日々の予算達成率が見たい」や「自分の保有している商談の一覧が見たい」は、定型帳票を出したいというニーズです。
この場合の検討のポイントは、BIツールが現在活用しているアウトプットと同等のものを出せるかどうかという点になります。また、BIツール検討の前に、「アウトプットの形は本当に固定にしなければならないのか」を考える必要もあります。柔軟性が高ければ高いほど、BIツール導入のハードルが下がってきます。
アナリシス型のBIツールは、固定された形ではなく、データを見たい軸でさまざまに切り分けて活用するケースに使われます。これは「非定型帳票」とよばれたりもします。
例えば、コンビニの売上データを分析する場合に、売上金額を店舗や地域、商品分類や商品名、年月や半期・四半期で見るなどの、ユーザーが見たい項目でデータを集計する形式です。
マーケティング部で「この商品がなぜ売れているのか」という要因を分析するときには、アナリシス型のデータ分析が求められるでしょう。
最後はビジュアライズ型のBIツールです。ダッシュボード型ともよく言われます。
これはデータの分析結果を数字で表すのではなく、ひと目で状況を判断できるように、グラフを使用する形式です。細かな数値を追うのではなく、例えば売上の推移を折れ線グラフで可視化して、過去よりも売上が下がっていないかどうか、という大まかな判断を下すときに使われます。また、予算達成率が80%以下の部門を目立たせて表示させるなど、状況判断をしやすい状態を作ることを目的とします。
経営層が全社の経営情報をひと目で把握したいときなどに、ビジュアライズ型のアウトプットが求められます。
先ほどは自社が求めるアウトプットの形式における分類を説明しました。次はサービスの規模における分類についてお伝えします。世の中にあるBIツールには以下のような分類があります。
お金がいくらかかるのか、誰が使うのか、そしてシステムを構築する人のITリテラシーの程度によって導入する製品が変わることも視野に入れておくと良いかと思います。
少々呼び方が古くなっているかもしれません。エンタープライズBIという名称は、BIツールが日本国内に導入され始めた1990年頃から使われています。
主に全社員が使うBIツールであり、導入コストは高めになります。全社員が同じデータソースの分析結果を見て、アクションを起こすというものです。データの共有に長けているものの、各社員が個別に分析する環境が用意されておらず、現場それぞれで柔軟な分析をするにはハードルの高い製品です。
セルフサービスBIは現場それぞれが柔軟に分析できるBIツールです。
現場導入が可能なため、導入コストを抑えることが可能です。しかし、エンタープライズBIとは逆に、部門を超えたデータの共有など、全社員で共通の情報を閲覧するにはやや不向きな面があります。
オープンソースBIは無料で使用できるBIツールです。
ですが、他の分類と比べて、技術レベルが高い領域にある製品が多いです。ゴリゴリとシステムを触ることのできるエンジニアの方がいれば導入コストをはるかに抑えることが可能になります。
ここまでにBIツールの分類について解説しました。ただBIツールの名前を横並びにして考えるよりも、各BIツールがどの分類に属しているかを整理するとよいと思います。
製品の選定時に何より大切なのは「自社が求めるBIツールの像」をつかむことです。BIツールに求めるアウトプットは何なのか、どのような人が利用するのか、データを集計する人のITリテラシーは高いのか低いのか。
自社でBIツールを導入する目的を整理した上で、ツール選定に臨んでいくとよいでしょう。
本シリーズでは、記事の最後に著者がBIツールを導入したときの「楽しい、いける!」「やってみたい」といった感情を伴ったときの「アハ!体験」を載せていきます。
私は”自動化”という単語が好きで、手作業をせずにプログラムが全て処理をしてくれる環境をつくることに生きがいを感じます。
BIの領域で、自動化を考えると次のようになります。
例えば、前日までの売上分析の情報が毎日手元に届き、連携・加工時にエラーが発生しない(大抵のエラーはプログラム内で解決する)処理が完成し、運用が安定したとき。「これを手作業で処理したら、毎日どれくらいの時間がかかるだろう。その時間を別のことに使えるなんて幸せ」なんて考えちゃいますね。
りょうさん
フリーランスのBIエンジニア。新卒から8年間はITベンダーでBIのシステムエンジニアを経験し、その後BIメーカーでセールスエンジニアとカスタマーサクセスを学ぶ。2020年3月にフリーランスに。現在はデータ分析に関するコンテンツマーケティングやデータエンジニアリングを行うかたわらで、町中華のデータ分析基盤の構築に着手。町中華のすべてのデータを可視化することが目標。
ホームページ:https://data-parade.com
Twitter:https://twitter.com/RyosanBIMania
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