ついにAmazonが気象コントロールまで?!と思ってしまったみなさん、こんにちは。私もそう思ってました。
まぁ、少し落ち着いて。これは熱帯雨林の方の「アマゾン」のお話です。
というのも、アマゾンなどの熱帯雨林は他の熱帯地域と雨季が若干ずれていることが知られていて、その謎が研究者たちを惹きつけてやまなかったそうなのです。が、近年の研究によってその理由がなんと「木々が自分たちで雨季を呼んでいたから」とわかったんだとか。
つまり、Amazonじゃなくてアマゾンが気象コントロールをしていたということ。(ややこしい)
まだAmazonのほうが現実味ある!
南米のアマゾンをはじめとする「熱帯雨林」とはどのようなところなのでしょうか。
熱帯雨林が存在する赤道付近は、想像通り年中とても暑く、海水が暖められて上昇気流が発生しています。この上昇気流によって水蒸気が空高く持ち上げられ、冷やされ、雲になり、雨が多く降るため、その下に広大な森林が形成され、熱帯雨林になるとされてきました。
しかし、それでは熱帯雨林と熱帯地域で雨季がずれることが説明できません。同じ条件下にあるのに熱帯雨林のほうがやや早く雨季が訪れるのはなぜか?と多くの研究者がその謎の解明に躍起になっていたのです。
そんな疑問に答えが与えられました。
Proceedings of the National Academy of Sciences誌(PNAS)で発表された新たな研究によると、NASAの人工衛星「Aura」が乾季の終わりにアマゾンに発生する謎「水蒸気」の出どころを突き止めたことで、アマゾンの木々が「自力で雨季を呼んでいる」ことが判明したんだそう。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の気象学者、ロン・フー(Rong Fu)氏によると、そのメカニズムは、
1.アマゾンの木々が新葉をつける
2.光合成中に葉の裏から水蒸気を出す
3.それが雲になり、雨を降らせる
ということだそうです。
つまり、アマゾンの木々が一番成長しているときに、自力で雨季を呼んでいるということですね。
これまで、植物は環境に対して基本的に受動的だと思われてきましたが、実は能動的に気候をコントロールしていることがわかったのです。
いや〜、すごいですね!
実は、この研究結果にすごいすごい!と言っている場合ではありません。
植物が能動的に雨を呼ぶメカニズムを持っているということがわかった今、考えなくてはいけない問題がいくつも浮上しているのです。
たとえば、森林破壊による砂漠化の原因は「木々がなくなるから砂漠化する」という一面的なものではなく、「木々がなくなることによって雨が降りにくくなり、砂漠化がさらに加速する」という新たな危機を示唆しています。
また、森林の伐採による干ばつの危険はこれまでも指摘されてきましたが、これは木々による保水力が失われるだけでなく、そもそも雨が降りにくくなるという新しい可能性が出てきました。
今回の調査結果をより確かなものにするべく、研究チームはアマゾンだけでなくコンゴの熱帯雨林でも同じ現象が見られるか調査をする計画だそうです。
まさに神秘というしかない木々の力ですが、それだけに大切にしていかないといつか自分たちの首を締めることになりかねませんね……。
この研究に関するより詳しいデータを見たい方はこちらをどうぞ。
六月のテーマである雨に関する記事をもっと読みたい方はこちらから。
(塚岡雄太)
メルマガ登録をしていただくと、記事やイベントなどの最新情報をお届けいたします。
30秒で理解!インフォグラフィックや動画で解説!フォローして『1日1記事』インプットしよう!