人口オーナス下で日本社会はどのように変わっていくべきなのでしょうか? 二度と人口ボーナスは来ないといわれる中で考えうる対応策を見ていきましょう。
生産年齢人口が減少する中で生産力を高める手段として挙げられるのが、高齢者や出産後の女性、介護に追われる労働者などこれまで仕事から離れることの多かった人員が働ける世の中にしていくことです。そのためには多様な人材の雇用促進や彼らが働きやすい職場環境の整備などが求められるでしょう。多様性という意味では外国人労働者の参入もひとつの解決策となります。
経済学者の小峰隆夫氏によるとすでに女性や高齢者、外国人労働者の動員は、特に非正規雇用において進んでいるとのことです。
職場や経済紙でここ数年目にする機会が増えた生産性という言葉。労働に関する生産性は正確には労働生産性といい、労働者もしくは労働時間あたりの成果を意味します。
労働生産性を高めることで人口が減ってもこれまでと同じかそれ以上の成果が出せるというロジックです。そのためには最新テクノロジーの活用や業務の効率化が欠かせません。21世紀の石油―データ―を活用することもそれに大きく貢献するはずです。
人口オーナスを止めるためには少子化を改善していくしかありません。そのために子どもをつくりやすい世の中を生み出す必要があります。具体的には2030年ごろまでに合計特殊出生率(15~49歳までの女性が生涯に出産する子どもの平均人数)が2.07にならなければならないといわれています。2018年の合計特殊出生率は1.42。2.07の達成は難しい状況ですが、子どもが増えることで人口オーナスの負担が軽減されることには変わりありません。
ワーク・ライフバランスや子育て世帯への支援を充実させていくことは、効果の期待できる人口オーナス対策です。
日本の現在を知るための重要キーワード、人口オーナス・人口ボーナスについてご紹介しました。日本経済新聞の一記事では、今後女性・高齢者の労働力増加による歯止めの限界が訪れ、より人口オーナスの深刻度が深まる第二幕が始まるという予測がなされています。
企業は来るべきそのときに備えて労働生産性を高める必要があるでしょう。そのための一助としてデータのさらなる活用を考えてみてはいかがでしょうか?
(宮田文机)
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