近年、SNSの普及率が増えたことで、小さな不祥事が企業に大きな影響を与えるリスクが高まっています。
そんな中、コンプライアンス遵守がより一層重視されるようになり、企業や従業員のコンプライアンス意識が企業価値を左右すると言っても過言ではありません。
この記事では、企業や個人によるコンプライアンス遵守のための取り組みや考え方を解説します。
具体的な事例を挙げながら詳しく解説するので是非参考にしてください。
コンプライアンスは、直訳すると「法令を遵守する」という意味です。国会や行政が定める法律や命令、条例などの法令を遵守するということです。
しかし、ビジネスにおいての「コンプライアンス」は、法令だけでなく、社内規則や社内倫理の遵守が求められます。具体的には、企業が従業員に向けて示す就業規則や社内マニュアル、社会から求められる倫理観、道徳などです。
コンプライアンスに具体的な定義はありませんが、ビジネスの世界では、「企業が守るべき社会的規範から逸脱せずに企業活動を行う」ことを意味します。
企業においてコンプライアンス意識をもつことは、社会的信用の維持の観点から非常に重要であると考えられています。コンプライアンスを強化し、それを対外的にアピールすることで企業のイメージ向上や発展につながるのです。
顧客や取引先、投資家などの関係者からも支持され、安定した事業運営ができるようになるでしょう。
企業がコンプライアンスを遵守しない場合、社会的信用やブランドイメージが低下する可能性があります。
コンプライアンス違反例として、管理不足による個人情報の漏洩、従業員への過重労働やハラスメントなどが挙げられます。このような企業の不祥事が公になれば、関係者から不信感を抱かれるでしょう。そうなれば、売上減少や取引停止、資金調達ができないなどの事態が生じ得ます。
企業がコンプライアンス遵守しないということは、経済的損失や倒産のリスクを招くのです。
個人や会社員が高いコンプライアンス遵守することは、企業における自分自身の権利が守られ、さらに会社全体の発展や利益の向上につながると考えられています。
「法令遵守なんて自分には関係ない」「コンプライアンスは会社が守るもの」という考え方は、企業に悪影響を及ぼし、自分自身も会社にいられなくなるリスクがあります。
自身のコンプライアンス意識が企業活動に大きく関わることを十分に理解すべきでしょう。
従業員のコンプライアンス意識が低いと、企業から懲戒処分や損害賠償請求を受けるリスクがあります。
例えば、粉飾決算などの不正を働きそれが公になった場合、減給や降格、懲戒解雇などの処分が下され、最悪の場合は、会社から損害賠償を請求される可能性があります。
コンプライアンスを遵守することが企業の発展につながると考えられる一方で、個人の場合は、自分自身が会社に残るため、権利を維持するためと考えられがちです。
特に役員や管理職以外の一般社員の立場だと、自身のコンプライアンス遵守が企業の運営に大きく関わるという意識を持つことが難しくなります。
コンプライアンスを遵守することは、個人のためでもあり、自身の属する会社のためであるということを周知徹底することが重要なのです。
ここからは、コンプライアンス遵守を成功させるための企業の取り組み事例を紹介します。
1つ目は、会社にコンプライアンス相談窓口を設置することです。
コンプライアンスの専門部署があっても、担当者が現場の状況を隅々まで把握することは困難です。従業員からの内部告発を含めコンプライアンスに関する相談窓口を設けることで、より多く現場の声を聞くことができるでしょう。
2つ目は、コンプライアンスに関する社内ルールやマニュアルを作成することです。
ルールを作成し明文化することで、コンプライアンス違反にならないための必要な知識や、コンプライアンスの重要性を周知できます。業務上、生じ得るリスクや課題などを洗い出し、それをルールやマニュアルに落とし込むことで、コンプライアンス違反のリスクを軽減できるでしょう。
3つ目は、従業員に向けてコンプライアンスに関する社内研修を実施することです。
一度の研修ではなかなか理解が深まらず、内容を忘れてしまう可能性があるので、定期的に実施するのが良いでしょう。個人のコンプライアンス意識を高めるにあたって、従業員へのコンプライアンス教育は欠かせないものです。中途入社の社員が漏れなく研修を受けられるよう、教育プログラムに盛り込んでおくことをお勧めします。
4つ目は、社内の内部監査を実施することです。
社内ルールの作成や研修を実施したところで、それを遵守していなければ意味がありません。また、ハラスメント問題などは社内でもみ消されてしまうことが多いため、定期的にルールに基づいてコンプライアンスが遵守されているかチェックを行う必要があります。
ここからは、コンプライアンス遵守を成功させるための個人の取り組み事例を紹介します。
1つ目は、情報管理の徹底です。
例えば、社外での従業員同士のお喋りが原因で営業情報が洩れる、個人情報を外部に持ち出した際に個人情報が洩れるなどのケースが挙げられます。秘密情報や個人情報の漏洩は、会社員にとって身近なコンプライアンス違反であり、十分に注意する必要があるのです。
2つ目は、コンプライアンスに関する個人目標を立てることです。
業界や職種、役職などによってリスクや課題は異なりますが具体的な例文として、「マニュアルに沿って情報管理を徹底する」「作業工程を見直し月の残業時間を15%削減する」「金銭管理のミス・事故をゼロにする」などが挙げられます。
個人がそれぞれコンプライアンスを意識した目標を立てることも重要なコンプライアンス対策です。
3つ目は、コンプライアンス標語を考案することです。
自治体のイベントなどで、コンプライアンス意識向上・啓発を目的としたコンプライアンス標語コンテストが開催されています。個人が考案したコンプライアンスに関する川柳を募集するもので、2023年の最優秀作品は「部下の指導 強要よりも 教養で」という標語でした。
このようなイベントがあった際に、1人1人が真剣に取り組むことで、全体的なコンプライアンス意識の向上につながります。
4つ目は、個人が身近なコンプライアンス違反事例を意識することです。
例えば、従業員が備品で悪ふざけしている写真がSNSで拡散され炎上した、何気なく投稿した写真に個人情報が載っていたなどの事例は、個人レベルでも十分に起こり得えます。倫理・道徳的な行動や法令遵守といっても、個人レベルではイメージが沸きにくいため身近なコンプライアンス違反を意識するのが効果的でしょう。
コンプライアンスを高めるためには、企業や個人の考え方や取り組みが非常に重要です。
いくつか取り組むべき施策を紹介しましたが、いずれも継続して実施することで企業全体のコンプライアンス意識を高められるでしょう。
著者:sakitsun415
技術職としてキャリアをスタート。その後、行政書士の資格を独学で取得し、現在は大手企業の法務部員として勤務。法律・資格・転職関連の記事を中心にライターとしても活動中。
(TEXT:sakitsun415 編集:藤冨啓之)
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