About us データのじかんとは?
『データのじかん』では、データに関する記事を多数扱っていますが、データを正しく読み解くには「データリテラシー」が必要と言われています。しかし、そもそもデータリテラシーとはどのようなものを指すのでしょうか? そこで今回は、データリテラシーとはどのようなものなのか見ていくことにします。
データリテラシーとは、「データの内容理解し、活用すべきデータを選んで分析し、その結果を正しく解釈する能力」と定義されており、端的に言うと「情報や知識を活用する能力」のことです。
データを①読み解き、②分析し、③活用すること、そして④説得させることができることが、データリテラシーを身に付けていると言えます。以下で具体例をもとに解説していきますので、まずはデータリテラシーとはなにかを理解していきましょう。
そもそもデータを読解できなければ、データリテラシーがあるとは言えません。一口にデータと言っても、図表やグラフなど様々。なかには単なる数字の羅列だけのものもあることでしょう。それらのデータを集約したり、取捨選択したりする能力が、このデータ読解力になります。
データ読解力を鍛えるには、統計学の基礎を学ぶことです。統計学の基礎を解説した書籍は数多く出版されているので、自分に合ったものを探してみましょう。それに加えて、日頃から国が発表する国勢調査や消費者物価指数、世帯年収などに親しんでおくことが大切です。
データを読み取る力の次に重要なのが、データを分析する力です。資料を基に分析してインサイト(人を動かす隠れた心理)を紐解いていきます。具体的には、Google Analyticsを使ってどのページが読まれているかを調べたり、どのような方法で顧客が自社商品・サービスにアプローチしているのかを調査したりする能力を指します。
データ分析力を鍛えるには、分析ツールに関する書籍を読み、その使い方に慣れることです。分析ツールにはGoogle Analyticsのようなアクセス解析ツールのほか、ERP・CRMなどを分析するBIツール、Googleキーワードプランナーのようなリスティング広告分析ツールなどがあります。
データ活用力とは、データから得た結論をビジネスに活かす能力のことです。データを元に戦略を立てたり、行動の参考にしたりできるようになります。この能力では、分析したデータ群の中から「今必要なもの」を判断し、抽出する必要があります。
データを活用する際には仮説を立てながら進めていくことが求められるため、まずは正しい仮説を立てる能力を鍛えることが大切です。仮説が間違っていれば、その後の戦略や行動も期待通りのものにはなりません。正しい仮説を立てるためにも、データの相関関係・因果関係に注意しましょう。
ビジネスにおいて振り返りの際、力を発揮するのがデータ説得力です。例えば「なぜその行動を取ったのか」という問いに対して「経験則からです」と答えた場合、データ活用が進んだ現代では説得力が弱いです。一方、「データに基づくとこのような予測が立てられました。よってこのように行動しました」と説明できれば、説得力のある答えになります。
データ説得力を身に付けるには、これまで紹介した「データ読解力」「データ分析力」「データ活用力」を総動員する必要があります。いきなり説得力を求めてリテラシーを学ぶのではなく、これらの基礎をしっかりと積み上げていくことが近道です。
データリテラシーが身に付いていると、どのようなことで有利になるのでしょうか? 以下で詳しく見ていきましょう。
データリテラシーが身に付くと、仕事に対する意識も変わってきます。例えば毎日の営業記録や報告書などの類は、何も考えなければ単なる作業でしかありません。しかし、「データを収集する」という目的で捉えられるようになれば、それらの作業が意味を持つことになります。その結果、仕事への姿勢が変わってくるというわけです。
単なる作業は単調でつまらないものですが、意味のある「業務」であればやる気も変わってきます。それは、「もっとこうすれば見やすい報告書になる」とか「このツールを使えばより営業記録が取りやすい」といった創意工夫を生むのです。上司からの評価も変わってくることでしょう。
昨今、どこの会社でも「PDCAサイクルを回す」という言葉が叫ばれています。しかし、なかにはデータを活用せずにPDCAを立てているところもあるようです。
データを用いずにPDCAを立てた場合、そもそもP(Plan)が正確ではないことが多いです。PDCAサイクルとはPlan(計画を立案)したものをDo(実行に移す)し、Check(実行した内容を検証)してAction(検証結果を受け、どのような対策・改善を行っていくのか検討)するものです。もし正確なPlanではない場合、実行に移しても検証の段階で「努力が足りなかった」のような根性論に陥ってしまう可能性があります。それは論理的ではないことは明らかで、成功確率は格段に下がってしまいます。成功確率を上げるためにも、データリテラシーを駆使したPDCAサイクルを回したいものです。
一般的に、企業への投資はデータをもとに行われます。投資家は企業のPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)などを見比べ、投資を行っているのです。自社にもっと投資をしてもらうためには、単に売上を上げるだけでは駄目で、これらのような指標の改善を行っていく必要があります。
経営企画部やIR部に所属していなくても、自社の指標を理解しておくことは重要になります。なぜなら、今の自社の状況を正確に理解できるからです。それは、会社内での自分の立ち回り方に変化を起こします。社内でも頭一つ抜けることができるでしょう。そのためにも、データリテラシーは持っておきたいものです。
データ分析が高度化すると、新しいビジネスが台頭してきます。例えば大手ECサイト『Amazon』の戦略です。従来、小売店はPOSシステムを使い、一部の売れ筋商品を売ることに注力してきました。しかし、インターネットの隆盛によってAmazonのように「細く長く」売ることができるビジネスが成立するようになると、「ロングテール戦略」が取れるようになり、莫大な収益を上げることに成功しました。Amazonが豊富な品揃えのECサイトへと変貌できたのも、高度なデータ分析力があったからなのです。その裏には、データリテラシーを持つ優秀な社員が多数いたことは明白と言えます。
このように、ビジネスの成功にはデータリテラシーは必須要件です。日頃からデータに触れ、スキルを身に付けていきたいものです。もちろん、データのじかんにはデータリテラシーの向上に貢献できる興味深い記事が数多く揃っていますので、この記事を読み終えたあなたはぜひ他の記事もチェックしてみてください!
【参考資料】 ・データリテラシーとは?社会人として必要な新たな常識を解説 | Schoo ・データリテラシーとは?その能力とメリットから鍛え方までを解説 | NECソリューションイノベータ ・「インサイト」とは?マーケティング戦略に役立つ消費者の心理 | WOWOWコミュニケーションズ ・PDCAサイクル | 野村総合研究所(NRI) ・データリテラシーって?重要性が高まっているデータを読み解く力とは | ソフィア
(安齋慎平)
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