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多様な領域で磨いた実践力が、発信を通して縁を繋ぐ–データ界隈100人カイギキュレーターインタビュー vol.07–よしむら@データマネジメントさん

多様な領域で磨いた実践力が、発信を通して縁を繋ぐ–データ界隈100人カイギキュレーターインタビュー vol.07–よしむら@データマネジメントさん

職種としては、情報系からシステムエンジニア、プロダクトマネージャー、データマネージャーへ。業種としては、広告、Webメディア、そしてクレジットカードへ──。多様な領域を渡り歩きながら、常に「自分で手を動かすこと」と「アウトプットすること」にこだわってきたよしむらさん。彼が築いてきたキャリアの軌跡と、いまキュレーターとして向き合う「書く人を応援する場づくり」への想いを聞きました。

         

広告・Webメディアへ、キャリアの土台を築いた10年

佐々木:
まずはご経歴からお伺いしてもいいでしょうか?

よしむら:
大学で情報系を専攻し、今で言う「機械学習」を学んでいました。でも、当時はあまり真面目な学生ではなくて(笑)。ただ、社会人になってから10年ほど経って、データサイエンスに関わるようになったときに、「あのとき学んでいたことって、こういうことだったのか」と腑に落ちたんです。学生時代には理解できなかったニューラルネットワークの概念も、「こういう構造だったのか」と実感を持って理解できました。そういう意味で、勉強ってそのときに意味が分からなくても、後で効いてくることがあるんだと思いましたね。

データ界隈100人カイギ キュレーター よしむらさん|よしむら@データマネジメント データマネージャー

佐々木:
就職してからはどうでしょうか?

よしむら:
はい、2008年にWeb業界の会社に入社しました。今ほどWeb業界が一般的な選択肢ではなかった時代で、私のような不真面目な学生も転がり込めました。当時はメーカーやSIerに行く人が多かったですし、その会社はどちらかというと「情報系の人がなんとなく行く場所」のようなイメージがありました。

入社して最初に関わったのはソーシャルメディア関連のサービスでした。途中から広告のテクノロジー領域に関わるようになって、運用型広告の立ち上げに関わりました。
当時はまだバナー広告を1週間いくらという定額制で売っていて、データもまともに計測されていなかったんです。そこから運用型広告への転換が必要になり、広告のお金周りの処理を行うプロジェクトに関わりました。

佐々木:
Webメディアにも関わられていたとお聞きしました。

よしむら:
はい。広告周りに立ち上げが一息ついたため、一念発起してエンジニアからディレクターへと職種を変えて、同じタイミングで自分が好きだったWebメディアへと異動しました。
その後ディレクターから今でいうプロダクトマネージャーのような立場になり、ビジネス面の責任者となりました。マネタイズの方法としては、どの面にどのような種類の広告を掲載するかであったり、クライアントと話をして新しいアライアンスを組んだりしてました。

また、マネタイズ以外でも新規のコンテンツとしてアメリカ株の情報をどう導入するか、為替の情報をどう掲出するかというようなコンテンツ面も見ていました。

例えば、アメリカ株のプロジェクトでは、米国の証券会社やデータベンダーと契約して、データを取り寄せ、掲示板機能と連携させる。その過程で、金融広告の収益や、FX事業との連携も含めてビジネス面も問題ないように座組を整えるといった取り組みをしていました。

佐々木:
マネタイズについてですが、広告の成果はどうやって見ていたんですか??

よしむら:
広告はPV×CTR(クリック率)×単価で売り上げを見ることができるものです。この中で、CTRは0.01%上がるだけで、何百万円という売上の差が出ます。だから、毎日GA(Google Analytics)で数値を見て、効果が悪いと種類を変更するような運用をしていました。そういう判断を、開発チームやビジネスサイドに任せず、自分たちで全部やっていたんです。企画チームは3人しかいなかったので、営業から施策立案、実装指示まで全部担当していました。

出向で広がった視野と現在地ーー与信からマネジメントへ

佐々木:
人数が少ないからこその大変さでもあり、学べる機会にもなっていそうですね。
その後、出向されたそうですが、どんな理由からだったのでしょうか?

よしむら:
当時の会社での仕事にある程度区切りを感じていたことと、30歳を過ぎた頃にマネージャーとして壁にぶつかったことが大きかったですね。チームマネジメントに苦しんでいて、「このままでは自分の成長が止まるかもしれない」と思ったんです。そんなタイミングで子会社のカード会社から声をかけてもらい、与信の仕事を担当することになりました。

佐々木:
どんなお仕事なのか、詳しく教えてください。

よしむら:
カード会社では、「この人にカードを出してもいいか」「どれだけの利用枠を設定するか」を判断するのが非常に重要です。意外かもしれませんが、カード会社は決済手数料だけではあまり利益が出ないんです。多くの会社は1%程度をポイントとしてユーザーに還元しており、手数料の大半を占めます。

つまり、正しく与信を行い、貸し倒れるリスクが低い人にカードを出すことがビジネス的に重要なんです。そういう人をどう見極めるかが、与信の役割です。

佐々木:
かなり実利に直結した仕事なんですね。

よしむら:
まさにそうです。CIC(信用情報機関)の情報を元に、延滞履歴やクレジットの申し込み件数、保有枚数などを分析し、貸し倒れリスクを予測します。初期与信だけでなく、利用後の途上与信も含めて、利益最大化をするために誰に貸すのがベストなのかを見極める仕組みづくりをしていました。

佐々木:
現在の企業には、そこから転職されたのでしょうか?

よしむら:
はい。現在はエンタメに関わる会社で、データ領域を中心としたアプリや業務システムのマネジメントを担当しています。データを含めたプロダクト開発全体を見ながら、「事業をどう前に進めるか」を考える立場になっています。

佐々木:
データ活用において、企業が陥りやすい落とし穴とは何だと思いますか?

よしむら:
よく「データサイエンティストを雇えばなんとかなる」と思っている企業がありますが、実はそれが最適解ではない場合も多いです。広告や金融のようにデータが直接売上につながる業界なら成果に直結するのですが、普通の事業会社ではそのような案件を見つけるのが難しい。
だからこそ、データを一部の人のものにするのではなく、現場の人が自分でデータを見て、アクションできるようにする環境づくりが大事だと思っています。

集合知の恩恵を受けたからこそ、今は発信で恩返しを

佐々木:
今回、「データ界隈100人カイギ」のキュレーターになっていただいた背景を教えてください。

よしむら:
僕自身、SlackやTwitterを通じて多くの人に助けられてきたんです。ブログを読んでもらってフィードバックをもらったり、登壇のチャンスをもらったり。だから、今度は自分が場をつくる側になって、誰かのアウトプットのきっかけになるような場を用意したいと思いました。

佐々木:
具体的には、どんな人に来てほしいですか?

よしむら:
自分と同じようにデータに関する情報発信をしている人、具体的には「ブログを書いてる人」ですね。しっかりアウトプットを続けてる人たちと一緒に話がしたい。たとえば「なぜ書いているのか」「どうして続けているのか」という問いを、みんなで共有できたら面白いと思うんです。

佐々木:
よしむらさんにとって、アウトプットすることの意味とはどういうものなんでしょうか?

よしむら:
僕にとってアウトプットは、集合知による業界貢献の一環であると思ってます。自分も特にエンジニア時代にいろんな人のブログを参考にして開発をしてきました。データ領域についてはまだまだナレッジが少ないと感じているので、今度は自分が発信する情報を持てるようになったため、恩返しをしていこうと思っています。

「書く人」を応援したい──静かな情熱を支える場づくり

佐々木:
今後、コミュニティでやってみたいことはありますか?

よしむら:
個人的には、「書く人」が増えるような状況を作るために、今書いている人を応援したいですね。たまったナレッジを言語化して書き続けている人。そういう人たちが集まって、書く理由や継続のコツを語る場を作りたいと思っています。

よしむらさんが執筆する保険会社で事務員として働く宮西さんは、会社がAI時代に対応するために新設したデータ部門に突然配属されました。事務員からデータマネジメントのリーダーへと成長していく宮西さんの奮闘記を描いた物語は、現在、データのじかんでも連載中の他、電子書籍などでも購読できます。

実は今、「データマネジメントになろう」という同人誌の下巻を作っていて、技術書典18で頒布する予定です。それも、アウトプットを形にしたいという気持ちから始まったことです。同人誌という形だからこそ、SNSでは書きにくい内容も自由に表現できるし、それを読んで何かを始める人がいたら嬉しいですね。

佐々木:
イベントも計画されていますよね?

よしむら:
はい。こちらはデータ横丁さんから声がかかったもので、「エンタメ業界のデータエンジニアリング最前線」というイベントで司会を行います。登壇だけのイベントじゃなくて、誰かの問いが、誰かのきっかけになるような、対話ベースの空間にしたいという意味を込めて登壇の後に展示会のようなものをしようと考えています。

佐々木:
最後に、このコミュニティに参加する方に向けてメッセージをお願いします。

よしむら:
100人中10人が、イベント後にブログを書いてくれて、その中の1人が書き続けてくれたら、それだけで十分なんです。たとえ1人でも、アウトプットを通じて世界が変わる人がいれば、それだけでこの場の意味はあると思っています。

 

データ界隈100人カイギ運営事務局 主催
データ界隈100人カイギ #02
ラーニングヒーロー会

イベント名データ界隈100人カイギ#02「ラーニングヒーロー会」
開催日時2025年7月18日(金) 18:30~21:00
会場ウイングアーク1st株式会社コラボスペース
〒106-0032 東京都港区六本木三丁目2番1号 六本木グランドタワー36階
主催データ界隈100人カイギ運営事務局
対象者データに携わる全ての方
・ITツールベンダー
・コンサルタント
・Chief Data Officer(CDO)
・データサイエンティスト
・エンジニア
・ビジネストランスレーター など
参加費・定員・現地参加:1,000円(定員:40名)
・オンライン参加:500円(定員:20名)
・学生の方:現地・オンライン参加ともに無料(定員:10名 ※各5名)
URL2025年07月18日開催|データ界隈100人カイギ#02|ラーニングヒーロー会

 

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