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ドイツ・ベルリンの中心部、ミッテにあるオシャレな雑貨屋兼カフェ。客足が途切れたお昼時に、オーナーのニナさんとアルバイトのマルテくんが雑談をしています。

財務会計と管理会計の違い

ニナ:そういえばこのあいだ、ショップ経営者仲間から管理会計をつけるように勧められたの。税務署への申告なら税理士さんにお願いしてるって言ったら、それとは違う種類の会計だって言われて。マルテくん、大学ではビジネスマネジメント専攻だったわよね。何がどう違うのか教えてくれない?

マルテ:僕の専門は会計じゃないんですけど、まあ知っている範囲で言うと…

税務署の申告に使うような会計は「財務会計」と言って、外部への公開を想定してある程度報告事項が決まっています。損益計算書キャッシュフロー計算書とかはマストですね。あと、決算期とか確定申告の時期とか、作成時期が決まっています。

管理会計というのは社内向けの資料として経営判断に役立てるものなので、特に報告事項や作成時期は決まってません。原価計算に基づいた原価低減なんかの経営判断や、経営分析のために日常的にニナさんが使うもの、と考えてもらったらいいと思います。

ニナ:なるほど、外部向けと内部向けね。

マルテ:あと、重視する利益の種類が違うかも。

ニナ:というと?

管理会計で重視される「限界利益」とは

マルテ:財務会計では、売上総利益とか経常利益とか、全体のざっくりした利益が重視されることが多いです。それに対して管理会計では、限界利益という指標を重視します。

ニナ:限界利益って?

マルテ:売上高から変動費を差し引いたものですね。変動費には仕入にかかる費用とか、ディスプレイ用資材の購入費なんかがあります。それとは別に固定費というのがあって、例えば店のテナント料とか僕の人件費は固定費に含まれます。

この場合、営業利益が黒字に見えても、限界利益から固定費を引いたらマイナスになる、てこともありえるんですよ。

ニナ:ああ、確かに原価計算をして在庫を資産に計上すると、赤字が見えにくくなるかもね。四半期ごとに実際に手元に残るお金っていう視点で見ないと。

マルテ:Genau(その通り)。この状態が続くと、一見利益が出ているようでも実際は赤字ってことなので、経営的にはマズいですね。

損益分岐点を突破せよ

ニナ:大丈夫かな、うち。税理士さんに任せっぱなしで細かいことは分からないのよ。私アートスクール出身で、会計とか苦手だから。

マルテ:でも原理はシンプルですよ。出ていくお金と入ってくるお金の収支計算ですから。

限界利益と固定費がトントンな状態を、損益分岐点(CVP:Cost-Volume-Profit)と呼びます。限界利益が固定費を下回っている場合は、変動費や固定費を減らして何とか黒字に持っていく必要があります。

ニナ:例えばマルテくんのお給料を減らしたりね~。

マルテ:やめてくださいよ! とは言え、管理会計で経営状態を細かく観察することは、経営の健全化に繋がりますよ。

ニナ:なるほどね~、ありがとう。マルテくんすごく詳しそうだから、うちの管理会計やってくれないかしら。仕事上がりにタダでビール飲んでいいからさ。

マルテ:いや、ビールで誤魔化さずに時給上げてくださいよ……

管理会計のポイントまとめ

・財務会計は株主や取引先などの利害関係者に公開したり、税金の申告に使うための会計。
一方、管理会計は、会社の経営状態を把握し業績改善に役立てるための内部データ。

・財務会計では売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益といった「外部向けの利益」を重視。一方、管理会計では、売上高から変動費を差し引いた「限界利益」を重視。

・損益分岐点とは、限界利益が固定費と同額になる点。限界利益が固定費を下回る場合は真の赤字なので、変動費や固定費の低減が必要。

参考リンク:
管理会計とは?経理担当なら知っておきたい基礎知識と実務
管理会計とは?財務会計との違いから活用例まで解説

(記事中の人物や店はすべてベルリン在住の筆者の想像によるものです。写真と記事の内容に関係はありません)

佐藤ちひろ

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