6月29日、関東甲信地方が梅雨明けしました。共同通信によれば、関東甲信が6月に梅雨明けするのは統計を始めた1951年以降で初めてだそうです。早くも夏到来。ビールが美味しい季節ですね。ところで、ビールが売れ始めるのは最高気温が何度以上になった時だと思いますか?
FoodWatchJapanというサイトによれば、ビールが売れ始めるのは最高気温25度以上だそうです。その他、アイスクリームなども最高気温25度以上で売れ始めるとあります。気温によって商品の売れ行きが変わるというのは面白いですね。
かき氷ののぼりが吊るされるのも、気温の上昇が関係していそうですね。先日テレビを見ていたのですが、ある日本の砂浜の近くにある飲食店の店長が「(梅雨の時期なのに)暑いから今日からかき氷を始めました」と話していました。当初は7月以降に開始するはずだったかき氷を、天候によって6月に繰り上げて販売を開始したようです。このような経営判断は、ウェザーマーチャンダイジングと呼ばれています。
ウェザーマーチャンダイジングとは、天気や気象情報を販促計画に生かしていく行動のこと。温度や天気によって変わる販売量を考慮して、商品の発注を増やしたり在庫を減らしたりすることができます。
暑い日には冷たいものが売れ、寒い日には温かいものが売れるというのはなんとなくわかりますが、さらに深いところまで分析して小売業や外食業に情報提供を行っている会社があります。それが、株式会社ライフビジネスウェザーです。
FoodWatchJapan編集長の齋藤訓之氏がライフビジネスウェザーを取材した記事によると、商品には「昇温商品」と「降温商品」の2つがあるそうです。前者は気温が上昇するに従って売れる商品、後者は気温が下降するに従って売れる商品のこと。昇温商品にはビールやアイスクリームのほか、カレーライスや冷やし中華、豆腐サラダや海藻サラダなどがあります。降温商品には、天丼、鍋焼きうどん、日本酒、ハンバーグなどがあるそうです。
興味深いのはおにぎり。梅、サケ、明太子、辛子高菜は昇温商品である一方、ツナマヨネーズが降温商品となっています。なぜツナマヨが冬に好まれるのか不明ですが、記事によれば夏は和風、冬は洋風の味が好まれるとあり、これが原因なのではないかと推測されます。
同記事によれば、商品が売れ始めるのは以下のようになります。なお、気温というものは一日で変動するものですが、昇温商品・降温商品が売れ始めるのは、その日の最高気温・最低気温を軸に考えます。
32度以上…かき氷
25度以上…アイスクリーム、ビール
24度以上…すいか、ぶどう
23度以上…メロン、牛乳
22度以上…ざるそば
20度以上…アイスコーヒー
18度以下…おでん
16度以下…シチュー
15度以下…日本酒、ホットコーヒー、鍋料理
このデータによれば、最高気温が32度を超える日が続けば続くほど、かき氷が売れます。ゆえに、小売業・外食業はかき氷を出すか出さないかを判断することが可能になるのです。
徹底的なウェザーマーチャンダイジングを実践している小売店というと、セブンイレブンが思い浮かぶかもしれません。セブンイレブンでは、第6次総合情報システムとして、動画や数値データなどを各店舗に提供し、店舗側は最新の天候情報などをチェックすることが可能です。よって、顧客が欲しい商品をうまくくみ取り、廃棄ロスを最小限にすることを実現しています。季節ごとに陳列されている商品を観察してみると、勉強になることも多いです。
気象情報というと、洗濯物が干せるかどうかとか、傘を持って行った方が良いかどうかといった判断材料に使われる印象があります。しかし、それをビジネスに応用することもできるということがわかりました。
2018年のように、6月に梅雨明けする異常気象ですら、ウェザーマーチャンダイジングを駆使すればビジネスチャンスになります。ぜひこのマーケティング手法を研究してみてください。
(安齋慎平)
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