About us データのじかんとは?
世界で有数の長寿社会である日本。少子高齢化が進む昨今、シニア世代のライフワークスタイルの重要性も高まってきています。
そこで、今回は内閣府が公開している「高齢社会白書」の令和4年版より最新の高齢化の状況や、高齢者の方々の心境についてデータで迫ります。
日本国内の人口は、2021年時点で1億2550万人、そのうち、65歳以上の人口は3621万人となっています。総人口に対する65歳以上の人口の割合で算出する高齢化率は28.9%となっています。
また、65歳以上人口一人当たりを支える64歳人口の数は2.1人ということです。1950年代には65歳以上人口一人当たりを支える64歳人口の数が12.1人だったことを考えると、70年かけて六分の一まで減少しているということになります。
年代別の人口の推移の実測値と推計値をプロットしたのが以下のグラフです。
少子化に改善が見られない中、2065年には高齢化率は38.4%、労働人口1.3人に当たり一人の65歳以上の高齢者を支える計算になります。
国民年金法が全面導入され、国民皆年金が実現したのが、1961年当時は労働人口11.2人で高齢者一人の人口を支えていたことを考えると、改めて、制度をどのように運用していくのが適切か、ということを考えさせられます。
続いて、高齢者の労働状況についてデータを見ていきましょう。
以下は、60歳以上の年代別の就業率です。
どの年代も就業率は増加傾向にあり、60歳から70歳までの就業率は年代問わず、ここ10年で10%以上増加しています。
また、75歳以上の就業率も上がっており、2021年には10人に1人が就業している計算になります。
こうした背景には、年金の受給年齢の引き上げや、物価高に伴う資金の不足など、社会的な情勢の変化とともに、健康寿命及び平均寿命の変化の後押しがあると考えられます。
男女別の平均寿命と健康寿命をグラフ化したものがこちらになります。
2001年からおよそ20年で、男性は3.4歳、女性は2.5歳程度、平均寿命が伸びており、それに伴い健康寿命も男性で3歳、女性で2.5歳程度増加しています。
寿命が伸びる一方で、年金の受給制限は厳しくなり、先の見通せない中、歳を重ねても、仕事に打ち込む人が増えていると考えられます。
加速する高齢化に歯止めをかける目処の立たないこれからの日本社会。超高齢化社会で、さまざまなリスクと向き合いながら、個々人が、「生きがい」を感じながら歳を重ねるためにできることはどんなことなのか、そのキーワードが探れる調査が「高齢社会白書」に掲載された「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」です。
高齢者に生きがいを感じる程度についてヒアリングした結果が以下になります。
どの年代、性別でも半数程度が「多少感じている」と回答。一方で、20〜30%程度の人は「あまり感じていない」「全く感じていない」と回答しています。
では、歳を重ねて、「生きがい」を感じている人はどのような特徴があるのでしょうか?
そのヒントとなるのが「他者との交流」です。
こちらは、「近所の人との付き合い方」ごとの生きがいを感じる度合いをグラフ化したもので、縦軸が「近所の人との付き合い方」への回答となります。
どの項目でも、交流がないよりもある方が「生きがい」を感じやすいことがわかります。また、「趣味をともにする」のように交流の度合いが深くなるほど、「生きがい」を感じやすくなる傾向も見られます。
さらに「生きがい」を感じる度合いについて「親しくしている友人・仲間をどの程度持っているか」という質問の回答に応じてグラフ化したものが以下になります。
友人や仲間を持っている、と感じる度合いが高いほど、顕著に「生きがい」を感じる傾向が高くなっています。
これからの長寿社会において、人々が身近な他者との交流を大切にすることが、ますます重要になっていくのかもしれません。
【参考資料】 ・令和4年版高齢社会白書(概要版)(PDF版)| 内閣府 ・年金[年金制度の仕組みと考え方] 第4 公的年金制度の歴史 | 厚生労働省
(大藤ヨシヲ)
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