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【iSTC Evolution TOKYO 2019】日本企業のデジタル化をいかに進めるか?製造・経営・金融、それぞれから見たデータ活用の可能性 (前編)

         

日本の製造業の発展を左右するキーワードであるスマートファクトリーとは、AIやIoTの活用によって機器・設備の稼働状況が見える工場を意味します。

そんなスマートファクトリーを中心とした最先端技術のイベントが「iSTC Evolution」。できるだけ少ない投資金額でスマートファクトリー化を実現させることにより平日残業ゼロや年間2億円以上の労務費削減に成功した経験を活かし、これまでに200社以上の中小企業を支援してきたiSTC(i Smart Technologies)株式会社の3周年を祝して2019年9月12日にウイングアーク1stイベントスペースで開かれたセミナーイベントを取材しました。

登壇者はiSTC/旭鉄工株式会社代表取締役社長の木村哲也氏や株式会社ウフルのチーフ・イノベーション・オフィサー八子 知礼(やこ・とものり) 氏といった豪華メンバー。

前編では、デジタルトランスフォーメーションの“現在”やiSTC社が提案する新サービスiXacsの全貌についてレポートします。

「日本の競争力は低下しています」世界で進むデジタルトランスフォーメーション

木村氏の開演挨拶を経て登壇したのは、IoT×コンサルタントで企業をサポートする八子知礼氏。監修・執筆した『IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科書』は好評を受け2019年9月12日現在7刷です。

出典:Twitter

八子氏の講演は、近年のIoTにまつわるデータ・予測の紹介から始まりました。

  • 電子メールの利用数は2015年→2018年で25%低下
  • AIビジネスの市場規模は2018年→2025年で12倍
  • 2025年、世界でつながるIoT機器は416億台、データの年間生成量は79.4兆GB
  • 超高速・大容量な5G回線への移行はゆるやかに進む

いずれも、世界でITによる企業活動の変革―デジタルトランスフォーメーション(DX)―が進んでいることを示しています。そんななかで「日本の競争力は低下しています」と八子氏。その原因は“データを活用してビジネスを進める企業が足りていないから”と同氏は主張します。

世界ではデータをビジネスに活用する企業が増加しており、蓄積したデータの販売やデジタルツインを利用したものづくりの「仮想化」などの取り組みが進められています。設計・デザイン~出荷まで各段階で行われる仮想化の具体例は以下の通り。

  • AIによる無機物や生物などさまざまな構造体のデータを生かしたデザイン・設計
  • デジタル環境で自動的に行われる設計・製造・機械制御
  • 3Dプリンターを利用した組み立て済み部品や完成品の出力
  • AIによる品質検査

5G環境が整えば在庫ゼロの操業や海外でのリアルタイムの製造も可能となるでしょう。

日本企業が競争力を高めるには、デジタルツインの実現に取り組み、データから得た知見を現実にフィードバックする体制を構築しなければなりません。その先に、現実世界が完全にデジタル上に再現され、スマートフォン一つで制御できる「AfterDigital」の世界が待っているのです。

iSTC社の取り組みと今後のビジョン

八子氏の後にはイベントの主催であるiSTC社の発表が3名の登壇者により1時間半にわたって行われました。

最初のスピーカーはiSTC/旭鉄工株式会社代表取締役社長であり、「Small Factory 4.0 第四次「町工場」革命を目指せ! IоTの活用により、たった3年で「未来のファクトリー」となった町工場の構想と実践のすべて」の著者でもある木村哲也氏。テーマは「iSTC社 の取り組みと今後のビジョン」です。

出典:【WAF2018 NAGOYA】1時間で始めるスマートファクトリー:旭鉄工株式会社 木村哲也社長(前編)

生産数=(稼働時間-停止時間)÷サイクルタイム

上記の方程式に基づき「稼働時間」「停止時間」「サイクルタイム」にフォーカスしたデータ取得を行うことで、iSTC社は低コストで効果の高い現場の改善に成功しました。詳しくは2018年開催のイベント「WAF2018 NAGOYA」の記事にて木村氏が詳しく語っています。

iSTC社が今後のビジョンに掲げているのは「改善加速ツール開発」、「お客様サポートツール充実」、「デジタルトランスフォーメーションの推進」です。

製造現場に限らないデジタルトランスフォーメーションの例として挙げられたのが、経営や金融の分野。前述の方程式における生産数は売上に、稼働時間は労務費に、停止時間は改善余地に直結します。つまり経営に使える情報の宝庫といえるのです。

これらのデータはレンディングやデューデリジェンスといった金融業務にも非常に有効です。これまで財務諸表など過去のデータからしか判断が難しかった工場の経営実態が数字で見えるようになり予測を立てることも可能になるとのこと。現在、iSTC社は東京海上日動クレジット・プライシング・コーポレーション(取締役 松浦元(まつうら・はじめ)氏が後編で登壇)と共同で新たなサービス開発に着手しているとのことです。

 

iXacsが日本のデータ活用を促進する

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