


お馴染みのスマホ画面を並べた写真撮影会
関西Kaggler会 交流会は、関西を拠点とするKaggler(カグラ―)のコミュニティー、関西Kaggler会により、継続的に行われている。Kaggler(カグラ―)は、Kaggle(カグル)の競技会に参加する人のことを指す。Kaggleは、機械学習やデータ分析の競技会のプラットホームを指し、その規模は全世界に渡る。
交流会は継続的に行われ、今回が2025年で3回目となる。参加者(参加申込+事務局)は154名であった。前回は、関西以外からの参加者の方が多かったが、今回は関西89名、関西以外65名であった。関西Kaggler会 交流会は、初参加者が多いのも特徴であり、初参加者は全参加者の約3分の1にあたる55名だ。また、参加者のKagglerランクは、Expertが34名、Masterが38名である。

熱気に包まれた会場
なお、2025年まで、関西Kaggler会 交流会は年3回のペースで開催されてきたが、2026年からは年2回(5月、11月)の開催となる。年3回から年2回に減少するが、これは関東Kaggler会 交流会とのバランスを考慮したものだ。関東Kaggler会 交流会も、2026年は年2回(2月・8月)のペースで開催される。ただし、開催する曜日や形式が関西と関東では異なる。関西は金曜日、オンライン配信は「なし」である。一方、関東は土曜日もしくは日曜日に開催、オンライン配信は「あり」だ。

IOAIをプレゼンするRyushiさん(左)とpaoさん(右)
交流会のメインは、参加者によるプレゼンだ。プレゼンは3部構成となり、第一部は初心者向けのやさしいテーマ、第二部はKagglerガチ勢による本格的な内容、第三部はスポンサーからの最新情報である。
プレゼンの中で、最も印象に残ったのはRyushiさん、paoさんによる国際人工知能オリンピックの紹介だった。国際人工知能オリンピック(IOAI)は、中学生・高校生を対象にした科学技術に関する国際大会である国際科学オリンピックのひとつである。国際科学オリンピックに含まれている大会として、国際数学オリンピックや国際物理オリンピックが挙げられる。
IOAIは、中等教育終了前の学生を対象とした人工知能(AI)の国際大会だ。創設は2023年であり、世界各国の優秀な生徒が、AIの可能性を追及すると同時に、次世代のAI人材を成長させることを目的としている。IOAIは2024年からはじまり、初回はブルガリア、2回目となる今年は中国で開催された。
IOAIに参加する日本代表の選抜・育成・派遣を行うのが、IOAIから国際認証を受けた組織「JOAI」である。プレゼンターのRyushiさんとpaoさんは、本業の傍ら、JOAIのメンバーとしても働いている。

IOAIに関するスライド
プレゼンでは、IOAI2025に向けた取り組みが紹介された。本戦への流れとしては、2025年4月から5月にかけて、日本代表選抜のためのコンペをKaggleプラットフォーム上で実施。参加者は154名にのぼった。なお、この予選では、大学生や社会人も参加できる「オープン枠」を設けた。そのため、154名のうち、選抜枠での参加者は66名となる。
予選に参加した中高生は理系が多く、「科学オリンピックに興味がある」もしくは「AI・Kaggleに興味がある」といった理由が多かったという。IOAIを知ったきっかけは、学校にある告知ポスターとのことだ。
代表メンバーになった4名に対して、JOAIでは育成として、グランドマスター・マスター主導の勉強会を実施した。勉強会の頻度は毎週であり、育成に力を入れたことがうかがい知れる。
本戦は、2日間で6タスクという超短期のコンペということもあり、育成では理論というよりかは、実践重視の内容となった。具体的には、一般のコンペに一緒に参加するなど、二人三脚で取り組んだ。育成の甲斐もあり、8月2日~9日にかけて中国・北京で開催された本戦では、個人戦で金メダル1枚、銀メダル1枚、銅メダル2枚を獲得した。
今後の課題として、paoさんは「育成強化」と「IOAIの認知度向上」を挙げた。なお、JOAIではスタッフを募集している。育成、設計、運営、企業協賛など、さまざまな形から入れるので、「未来のAI人材の育成」にピンと来た方は、JOAIにコンタクトしてもらいたい。

atmaCupと他コンペとの比較をプレゼンしたたかいとさん
交流会で必ず聞こえてくる単語のひとつに、「atmaCup」(アートマカップ)が挙げられる。atmaCupとは、atma社が行っているデータ分析コンペであり、国内に存在するコンペプラットフォームのひとつだ。外れコンペはなく、設計がしっかりしていることから、Kagglerからの人気も高い。また、短期間の開催で、主催のgoto(山口さん)からのチュートリアルもあることから、初心者にとって参加しやすいコンペとなっている。そのため、最近では企業との協賛開催も相次ぎ、第三部でのスポンサー枠では、協賛atmaCupの紹介が相次いだ。
さて、Kagglerの立場から、atmaCupと他コンペとの比較に関する興味深いプレゼンを行ったのがたかいとさんだ。

atmaCupはatma株式会社が主催するオンサイトデータコンペ
たかいとさんはatmaCupは得意にしているが、他コンペでの成績は振るわなかったという。そこで、atmaCupと他コンペとの差異を「開催期間の違い」「言語の違い」「提出方法の違い」の3点から説明した。
開催期間の違いでは、atmaCupでは1週間~10日程度の一方、他コンペは2~3ヶ月が主流だ。たかいとさんによると、スタートダッシュは得意だが、長期戦はコンペに費やす時間が取れず、苦戦が続くとのこと。確かに、たかいとさんは多忙な日々を過ごし、物理的にコンペは難しい。スライドでたかいとさんの1日のスケジュールが表示されると、ゲスト席から驚きの声が上がった。
次に言語だが、atmaCupは国内開催ということもあり、言語は日本語だ。一方、他コンペは海外での開催となり、言語は英語となる。たかいとさんは、英語が苦手ということで、ディスカッションの内容把握に時間を要するという。
また、提出形式ではatomCupはnotebookなのに対し、他コンペはcsv形式である。そのため、手元で学習したモデルを、Kaggle上で動かすのに苦労するという。
そこで、他コンペではチームを組むことにより、時間や言語の問題を何とか乗り越えようとしている。もちろん、チームを組むにあたっては、個々の能力向上が必要である。

懇親会は参加者同士で話に花が咲いた
今回は、交流会後に行われた懇親会にも参加した。懇親会は立食パーティーの形をとり、18時から20時まで行われた。冒頭述べたように、初参加者も多かったが、気軽にKaggler同士で交流していた。総じて、交流会に参加したKagglerは優しく、初参加者の満足度も高いように感じた。初参加者に交流会の感想を尋ねると、「Kaggleへのやる気が上がった」とか「大変刺激になった」という声が返ってきた。
また、Kaggler同士の夫婦にも出会えた。現在は、片方がKaggleをしている際、片方が家事を手伝う、というスタイルで、うまくバランスが保たれているという。一方、まだ夫婦でのチーム戦はやっていない、とのことだった。

次の交流会は2026年5月22日に開催することが決まっている。詳細は、関西Kaggler会のホームページをのぞいてほしい。
(TEXT:新田浩之 編集:藤冨啓之)
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