リーガルテックとは?
何ができるのか、なぜ日本で今必要とされるのかをわかりやすく解説!

Share!

法律(Legal)とテクノロジーを掛け合わせたリーガルテックに今、注目が集まっています。大量の調査や資料作成が求められる法律業務において、高速かつ人的ミスのないITシステムを導入することで効率化を達成できるというのがそのメリット。

企業活動において法律は避けては通れない規制の代表例。すなわち、どの企業、あるいは個人も利用する可能性がある技術ということです。

本記事では、リーガルテックで何ができるのか、現在の市場、注目が集まる背景などの基本情報をわかりやすくご紹介します。

日本のリーガルテックを知るための4分類

まずはリーガルテックが実際にどのような業務に適用できるかについて見てみましょう。
2019年5月13日に経済産業省のもとで開かれた『第4回 国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 法務機能強化 実装ワーキンググループ』にて使用された資料にて、日本のリーガルテックにまつわる技術を以下の4つに分類しています。

1.契約書関連
2.登記・電子署名
3.調査・分析
4.紛争解決

「1.契約書関連」で挙げられているのが、AIがNDA(秘密保持契約)などの契約書に齟齬がないかレビューを代行したり、契約書の基本情報を自動登録し、管理・検索を容易にするシステム。この分野では質問に答えていくだけで契約書の草案を作成できるドラフティングサービスにも注目が集まっています。

「2.登記・電子署名」には、クラウド上で項目を記入すれば、紙や印鑑なしに本社移転、役人変更、株式分割などに伴う登記や契約作業を完結させられるサービスが該当します。「3.調査分析」は、アメリカの民事訴訟において必要なeディスカバリ(訴訟に関わるEmailといった電子データの収集・開示)や、判例や法令の調査・絞り込みの代行などが当てはまり、まだまだ発展可能性の高い分野と考えられるでしょう。

「4.紛争解決」では、インターネット上で弁護士に相談できる法律相談サービスが例として挙げられます。また、先に挙げたeディスカバリや判決予測など訴訟・紛争の解決に向けたサービスも関連分野として挙げられるでしょう。

このほかに、法律事務所や企業の法務部門の案件管理、知的財産権の管理などでもリーガルテックの可能性が開かれています。主に活用が進められているのが上記の4分類とお考え下さい。

2019年より傾向は変わらず、電子契約サービスの市場は拡大した

2019年の『第4回 国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会』資料では、リーガルテックの各分野の中でも日本では「契約書の作成・締結・管理」に注目が集まっていると説明されています。

以下のグラフは独立系ITコンサル・調査会社であるITRが2021年9月に発表した電子契約サービス市場の2020年度までの売上データと2021年度移行の売上予測です。

引用元:2020年度の電子契約サービス市場は前年度比72.7%増 コロナ禍によるテレワークの推進により急拡大が継続ITRが電子契約サービス市場規模推移および予測を発表┃ITR

ご覧の通り、2019年から2020年の間だけで58億円から101億円と70%以上市場規模が拡大しており、2025年まで右肩上がりに上昇が続くことが予測されています。

これは、そもそも業務効率化やペーパーレス、印紙税などのコスト削減の観点から電子契約サービスに注目が集まっていたところにコロナ禍が生じ、その流れが加速したから生じた流れと考えられます。

リーガルテックに注目が集まる背景──日本企業における法務部門強化の重要性

データの利活用やグローバル市場への対応など企業の成長戦略にあたって、法務の重要性はかつて以上に高まってきています。2018年5月にはEEA内で「GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」が施行され(詳しくはコチラ)、2022年4月には日本でも「改正個人情報保護法」の施行が予定されています。

データは国家、企業、個人にとって「21世紀の石油」であり、だからこそ法律で取り扱いを厳しく規定しようという流れが加速しています。データ利用について相手方とどのように合意形成すべきなのか、データをどのように安全に管理しなければならないのか、万が一データが流出してしまったときにどのように対処すべきなのか……。違反すれば制裁金が科されるだけでなく、レピュテーション(評判)リスクも生じます。

しかし、日本企業の法務部門は時代とともに拡充が進んではいるものの、他国ほど重要性が認知されていないという問題が指摘されています。

例えば、経済産業省が2018年4月に作成した『国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書』によると、日本の法務部門の職員数が平均18.9名であり、そのうち弁護士有資格者は17.4%であるのに対し、米国アンケートでは40~80名が平均的な水準でその平均7割弱が弁護士有資格者でした。また、経営者から法務部門が意見を求められる頻度も米国では「毎日あるいは週数回」が7割弱なのに対し、日本では「毎日」は3.2%、「週数回」は18.9%で、「月数回」が53.0%で最も多くなっています。

こうした状況で企業の攻め、守り両方の観点で法務部門の強化が求められており、その一環としてリーガルテックに期待が集まっているのです。

終わりに

リーガルテックというと、法律家以外に関わりない言葉に思えますが、電子契約やネット上の法律相談サービスを利用したことがあるという方は少なくないのではないでしょうか。
普段意識することはなくとも、人が何か活動しようとすればそこに必ず法律は関わってきます。

そこで誰かの権利を侵害しないために、あるいはやみくもにリスクを避けて機会を失わないために、法律との向き合い方もアップデートしていきましょう!

【参考資料】
・長島・大野・常松法律事務所 (著), MNTSQ株式会社 (著) 『LegalTech Kindle』金融財政事情研究会、2020
・国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会_事務局資料┃経済産業省
・2020年度の電子契約サービス市場は前年度比72.7%増 コロナ禍によるテレワークの推進により急拡大が継続ITRが電子契約サービス市場規模推移および予測を発表┃ITR
・国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書┃経済産業省

(宮田文机)

関連記事

人気のカテゴリ